上 下
524 / 953
勇者の救出

賢者の治療

しおりを挟む
「わ、忘れてないぞぉ‥」

「いや絶対忘れてるじゃん!もう頭の片隅にもないじゃん!」

そ、そんな事ないぞ。
失礼なやつだな。

「そんな事はどうでもいい!今から賢者の治療を始める!」

「誤魔化してんじゃん。」

うるさい正人。
あんまりしつこいと、あとで実験台にするからな。

「ここで出来るのは応急処置的な物だ。俺が全力を出せないからな。」

流石に木の身体では高威力のエンチャントには耐えれないと思うからな。
それにグルンデルさんも見てる。
あまり派手な事をして、目をつけられると困る。

今までのタルタル教信者は、フーラさんのように宗教について明るい人ではなかった。
しかしグルンデルさんは女神ウルスエート教の枢機卿までなった人だ。

どんな方法で崇め奉られるかわかったもんじゃない。

う~ん‥
しかしフーラさんの行動力にグルンデルさんの知識と経験が加わったら、タルタル教がもっと大きくなってしまうのではないだろうか‥

思いきって、ここでグルンデルさんを手伝わないというのも一つの手ではないだろうか‥‥‥いかんいかん。

俺は布袋の中に『スペース』を作り出し、そこから魔力供給の小手を取り出す。

しかしエンチャント:光を見られるのもよくない気がするよな‥

どうにか方法がないものだろうか‥‥

あっ!

そうだった、目の前に勇者がいるんだった。

俺の光属性と勇者の光属性が同じなのかはわからない。

正人から模倣したスキル【勇者】のおかげで使えるようになったから、一緒だとは思う。
しかし俺の光属性はリルに効いたという実績がある。
だから使うなら俺の光属性だろうな。

しかし俺の光属性でやるとしたら、その前に念のため一芝居打っておく必要があるな。

「正人。これから治療するのにお前の光属性の力が必要になる。それをこの小手に流し込むんだ。」

「ああ!わかった!親友の為だ、まっかせとけじゃん!」

お前は真剣なのかふざけているのかどっちなんだ?

そのうち頭に装着する光属性を放つ魔道具なんかを作って頭につけてやろうか。
あっ!
こいつ元々光属性だから通じないんじゃね?
恐るべしは勇者のおバカだ。

正人が魔力供給の小手に魔力を流す。
魔力供給の小手はその光属性の魔力を消化して、通常の魔力として小手に蓄えている。

俺の目には正人が頑張って魔力供給の小手に魔力を流し込んで溜めてもらっているように見える。

だが、他の人から見ると正人の眩い光属性の魔力を小手が吸収して、その光を放っているように見える。

グルンデルさんとか「おお~!さすが女神ウルスエートが使わした御使様だな。」とか言ってるし。

やっぱり俺が使うとまずい事になってたかもしれないな‥

ある程度魔力を流し込んでもらったところで、小手を受け取り、自分の腕に装着する。

エンチャント:光を使うには、この身体が耐えれないかもしれないというのもあるが、魔力が圧倒的に足りない。

魔力供給の小手を『影法師』に装着する事で、通常のエンチャント:光を何とか使える程度だろうな。

俺は魔力供給の小手から魔力を身体に流し、エンチャントを全て発動させる。

身体が悲鳴をあげているな。
もしかしたらどこか壊れるかもしれない。

そしてエンチャント:光を発動させる。
俺の身体が光に包まれる。

そして俺は賢者に近づき‥

賢者の頭を、鷲掴みにする。

リルの時は両手だったけど、今は小手を片手しかしてないから片手で賢者の頭を掴む。

そのままミシミシと音を立てる賢者の頭をそのまま、宙に持ち上げる。

「うぼぼぼぼ‥」

おお、賢者にも反応があったようだ。

「な、なあ、あやめ。あれって絶対アイアン◯ローじゃね?」

「う、うんアイアンク◯ローだね‥」

「卓の身体‥ビタンビタンって陸に上がった魚みたいになってるっぽいけど、大丈夫なんだよな‥?」

「い、今まで反応がなかった事を考えると、大丈夫なんじゃないかな‥」

「そうだよな‥」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな

カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界 魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた 「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね? それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」 小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く 塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう 一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが…… ◇◇◇ 親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります (『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です) ◇◇◇ ようやく一区切りへの目処がついてきました 拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです

全校転移!異能で異世界を巡る!?

小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。 目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。 周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。 取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。 「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」 取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。 そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4500文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。 了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。 テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。 それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。 やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには? 100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。 200話で完結しました。 今回はあとがきは無しです。

処理中です...