上 下
507 / 953
勇者の救出

マルコイの作戦

しおりを挟む
「それで?此処で何を話すつもりだったの?」

しばらく経った後にあやめが言ってきた。
まだ少し目が赤いけど‥

「そうだな。俺としては、此処でお前たちを説得するつもりで呼んだんだ。神聖国を離れろってな。神聖国はお前たちを元の世界に戻す気がないだろうと思ってな。だから神聖国の騎士にお前たちの事を話させようと思って追い詰めたんだけど、思ってた以上の話が出てきたからな。あれを聞いた後だ。何も言わずに神聖国を出るだろうとは思ってる。」

「えっと‥それじゃあ騎士隊長をあそこまで追い詰めたのってマルコイだったのね‥」

「ああ。まああんな奴だったから、用済みだし最後は消えてもらったけどな。」

「そ、その辺はあっさりしてるのね。」

「ん?だってあんな奴生きてるだけで害にしかならんだろ。だったら他に危害を与える前にどうにかしとかないと。」

「ま、まあそうだけど‥あっ!と言う事は、あのミラーハウスもマルコイが作ったんだよね!あの悪趣味な演習も!」

「悪趣味言うな!それで、お前たちはこれから俺が渡す魔道具を持って神聖国に戻って欲しい。」

「話変えても忘れないからね‥絶対にお返ししてやるんだから。」

コイツ本当にいつまでも覚えてそうだな‥

「でもマルコイの魔道具なんて貰っていいの?どうせ神聖国の事だから碌な事に使わないと思うけど。」

「まあ神聖国に渡す分で、誰でも使えそうなやつは効果が低いやつを渡す。筋力向上とかな。それ以外にお前たちに専用の武器を渡そうと思う。光属性を持つお前らしか使えないようの物だ。」

「え?あたし達専用?」

「マジで?ちょーかっくいいじゃん。正人専用ロングソードとか?」

「お、おう。まあそんな感じだ。そんなに大した効果はつけないけど、単純に身体能力の向上に、お前たちの光属性を向上させる程度だ。本当はもっと色々つけたいところだが、お前たち以外が使うと頭がアフロになる回路を取り付けないといけなかったから、そっちにかなりの魔力回路を使ったからな。」

「ご、ごめんマルコイ。それっている?」

「何を言うか!いるに決まってるだろう!光属性を持つ者以外が使うとアフロにされてしまう。そこまでして、お前たち専用武器と言えるんだ。」

全く。
これだから素人は。

「わ、わかったわ。そ、それじゃあそれでお願いします。」

わかればよろしい。

「そしてそれらを持ち帰って、神聖国に献上しろ。お前たち専用の武器があれば、お前たちが無下にされるような事もない。そして後は4人で神聖国を脱国しろ。その後は俺たちがお前らを匿ってやるから。」

「わかった。でもあたし達だけで上手くいくかしら?」

不安そうな表情でこちらを見るあやめ。
ふふふ。
それもスキルのおかげで解決なんですよ。

「心配するな。俺もついていってやる。」

「でもマルコイが来て、顔を覚えられたりしたら後々面倒じゃない?」

「俺が行くと言っても俺自身で行く訳じゃない。お前たちも見たように俺は精巧な人形を作れる。そして俺は意識を別の物に移す事が出来る。」

「あ!そう言う事ね!」

「ん?何がそう言う事になるわけ?人形じゃすぐにバレるっしょ?」

「だから、マルコイが作った人形にマルコイが意識を移すのよ。そしたらマルコイは此処にいたまま、あたし達と一緒に来る事が出来るって事。」 

ご名答。

「あ~あ。なるっしょ。それだったらマルコイさんがまるっきり別の容姿の人形に乗り移ったら、マルコイさん自体が怪しまれる事はないって事?」

「ああ。魔道具の数を多くしてるから、荷物持ちとして雇ってくれたらいい。そしたら俺も神聖国に入る事が出来るだろう。何だったらウルスエート教に入ってもいいぞ。」

お前たちが脱国したら、人形も必要なくなるからな。

「わかったわ!そしたらすぐにでも準備しましょう!恵も心配してると思うから、早く帰って報告してやらないと!」

「ああ。そうだな。」

それじゃあ神聖国に行くとするか。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話

島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。 俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。

全校転移!異能で異世界を巡る!?

小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。 目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。 周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。 取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。 「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」 取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。 そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

処理中です...