290 / 953
ロンギル共和国へ
ロンギル共和国へ入国
しおりを挟む
船で一泊した後に看板に出たら、もう目視できる距離に街が見えた。
「ようやく着きそうだな。」
「そうね。時間は1日だったけど濃いかったもんね。」
クラーケン騒動以降は特に問題も起こらなかった。
しかし船に乗ってる間にロンギル共和国が商人の国だとしっかりと認識させてもらった。
あれから港町に着くまでにオーマルさん以外の商人からも声をかけられまくった。
うちの商品を使って宣伝してくれないか、うちの商会で用心棒をしてくれないかなど。
商人の人たちには懇意の商人がいるからと断った。
とても残念な表情をしていたけど、この街にずっといるつもりもないからな。
甲板で外を眺めているとまた別の商人が声をかけてきた。
「おはようございます。いや~昨日ご挨拶させていただきたかったのですが、すぐお部屋に戻られましたので今日お会いできてよかったです。」
う、嫌な感じがする。
笑ってるけど目の奥がこっちを覗き見しているようだ。
「いや~しかし昨日は大活躍でしたな。あんな大きなクラーケンを撃退できる人なんているとは思いませんでしたよ。」
「はあ、ありがとうございます。」
「ところで昨日少し耳に入ってしまったのですが懇意にされてる商人がいらっしゃるとか?」
「ええそうですね。俺たちでパーティを組んですぐくらいから懇意にしてもらってます。だから他の商会のお仕事はあまり受けさせてもらってません。」
「なるほどそうなんですね。いやしかし私が今回ご挨拶こさせてもらったのは、うちに歳頃の娘がいまして。もしご結婚がまだならご紹介させてもらえないかと。」
はい?
何言ってるのこの人?
見ず知らずの冒険者に娘をやろうとしてんの?
「いや、なぜいきなりそうなるんですか?俺は冒険者ですよ。素性もわからないような奴に娘を紹介しようなんて正気の沙汰じゃないですよ。」
すると男は口角を釣り上げて笑う。
「何を言われますか。あれだけのモンスターを撃退されたんですよ。使ったスキルはたまたま持っておられたかも知れませんが、少なくともAランクはないとまずあのサイズのモンスターに立ち向かおうとはされませんよ。」
それは‥
確かにそうだな。
俺はあのクラーケンより強いやつと戦ってきた。
だからどうにかなると思って戦いを挑んだ。
「だからAランクの冒険者の方とお近づきになるために娘を紹介させてもらおうかと。」
う~むなるほど。
もちろん遠慮はするけど、納得の理由だな。
でも残念。
これが声をかけたのが俺じゃなくてリュストゥングだったら喜んで受けると思うけどね。
でもリュストゥングは海で戦えなかったかな?
いや、水中鎧とかありそうだな‥
「すいません。ありがたい申し出ですが、俺には意中の人がいますから。」
とりあえず断らないとな。
俺は横にいるアキーエを指さしながらそう告げる。
その場を乗り切るためにはこれが1番な気がする。
「な、な、な、なに言ってるのよ!マルコイ!」
アキーエが耳まで真っ赤になって俺の指を握る。
ふっふっふ。
可愛いなぁアキーエは。
痛たたたた‥
アキーエさん、俺の指はそちら側には曲がりませんけど。
いでででで‥
「それは残念です‥ また機会があればお話させてください。」
男はそう言って去っていった。
ふ~む。
ここまで来ると、オーマルさん濃い人だったけど全然まともだった気がする。
俺はエンチャント:水で指の痛みをとりながらそう思うのだった。
もう話しかけられても困るので、港町に着くまで船の居室で待っていると船が止まった。
ようやく着いたようだな。
荷物を持って甲板に出ると船に乗っていた人が次々と陸に降りているところだった。
「色々あったけどなんとかロンギル共和国に着いたな。」
「ほんと。モンスターが出たまではよかったけど、その後の方が大変だった気がするわ。」
そうだな。
俺の指もなんとか普通に曲がるようになったからよかった。
治らなかったら大変だった。
よし、それじゃ情報収集から始めますかね。
「ようやく着きそうだな。」
「そうね。時間は1日だったけど濃いかったもんね。」
クラーケン騒動以降は特に問題も起こらなかった。
しかし船に乗ってる間にロンギル共和国が商人の国だとしっかりと認識させてもらった。
あれから港町に着くまでにオーマルさん以外の商人からも声をかけられまくった。
うちの商品を使って宣伝してくれないか、うちの商会で用心棒をしてくれないかなど。
商人の人たちには懇意の商人がいるからと断った。
とても残念な表情をしていたけど、この街にずっといるつもりもないからな。
甲板で外を眺めているとまた別の商人が声をかけてきた。
「おはようございます。いや~昨日ご挨拶させていただきたかったのですが、すぐお部屋に戻られましたので今日お会いできてよかったです。」
う、嫌な感じがする。
笑ってるけど目の奥がこっちを覗き見しているようだ。
「いや~しかし昨日は大活躍でしたな。あんな大きなクラーケンを撃退できる人なんているとは思いませんでしたよ。」
「はあ、ありがとうございます。」
「ところで昨日少し耳に入ってしまったのですが懇意にされてる商人がいらっしゃるとか?」
「ええそうですね。俺たちでパーティを組んですぐくらいから懇意にしてもらってます。だから他の商会のお仕事はあまり受けさせてもらってません。」
「なるほどそうなんですね。いやしかし私が今回ご挨拶こさせてもらったのは、うちに歳頃の娘がいまして。もしご結婚がまだならご紹介させてもらえないかと。」
はい?
何言ってるのこの人?
見ず知らずの冒険者に娘をやろうとしてんの?
「いや、なぜいきなりそうなるんですか?俺は冒険者ですよ。素性もわからないような奴に娘を紹介しようなんて正気の沙汰じゃないですよ。」
すると男は口角を釣り上げて笑う。
「何を言われますか。あれだけのモンスターを撃退されたんですよ。使ったスキルはたまたま持っておられたかも知れませんが、少なくともAランクはないとまずあのサイズのモンスターに立ち向かおうとはされませんよ。」
それは‥
確かにそうだな。
俺はあのクラーケンより強いやつと戦ってきた。
だからどうにかなると思って戦いを挑んだ。
「だからAランクの冒険者の方とお近づきになるために娘を紹介させてもらおうかと。」
う~むなるほど。
もちろん遠慮はするけど、納得の理由だな。
でも残念。
これが声をかけたのが俺じゃなくてリュストゥングだったら喜んで受けると思うけどね。
でもリュストゥングは海で戦えなかったかな?
いや、水中鎧とかありそうだな‥
「すいません。ありがたい申し出ですが、俺には意中の人がいますから。」
とりあえず断らないとな。
俺は横にいるアキーエを指さしながらそう告げる。
その場を乗り切るためにはこれが1番な気がする。
「な、な、な、なに言ってるのよ!マルコイ!」
アキーエが耳まで真っ赤になって俺の指を握る。
ふっふっふ。
可愛いなぁアキーエは。
痛たたたた‥
アキーエさん、俺の指はそちら側には曲がりませんけど。
いでででで‥
「それは残念です‥ また機会があればお話させてください。」
男はそう言って去っていった。
ふ~む。
ここまで来ると、オーマルさん濃い人だったけど全然まともだった気がする。
俺はエンチャント:水で指の痛みをとりながらそう思うのだった。
もう話しかけられても困るので、港町に着くまで船の居室で待っていると船が止まった。
ようやく着いたようだな。
荷物を持って甲板に出ると船に乗っていた人が次々と陸に降りているところだった。
「色々あったけどなんとかロンギル共和国に着いたな。」
「ほんと。モンスターが出たまではよかったけど、その後の方が大変だった気がするわ。」
そうだな。
俺の指もなんとか普通に曲がるようになったからよかった。
治らなかったら大変だった。
よし、それじゃ情報収集から始めますかね。
10
お気に入りに追加
557
あなたにおすすめの小説
幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話
島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。
俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
全校転移!異能で異世界を巡る!?
小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。
目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。
周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。
取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。
「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」
取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。
そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる