上 下
269 / 953
ロンギル共和国へ

カーロッタへの道のり

しおりを挟む
数日かけてカーロッタに続く街道を歩いていると見たことのない木の看板が立っていた。

俺たちがカーロッタを出た時はなかったので後から立てたのだろう。

カーロッタへの道案内が書いてあるのかと思い看板の内容見てみる。

『闘技会優勝者マルコイ・アンバーエスト家のあるカーロッタはこちら』と書いてあり、カーロッタ方向への矢印が書いてある。

とりあえず木の看板を引っこ抜いて折ってからその場に投げ捨てる。

ん?
なんだこれは?
頭の整理が追いつかないぞ。

何故街道に俺の名前が書いてある看板があるのだ?

嫌な予感がする。
このままカーロッタには寄らずに先に進むべきだろうか‥

しばらく進むと、またしても木の看板があった。

木の看板にはまた文字が書いてあった。

『あの闘技会で優勝したマルコイ・アンバーエストが育った家があるカーロッタはこちら』

「ふっ!『斬速乱剣』」

木の看板をバラバラに切り裂いた。

カーロッタまで続く道のりを見る。

ぽつんぽつんと看板らしきものが立っているのが見える‥


「なあアキーエ。カーロッタは寄らないでそのまま港に行かないか?」

「わたしは別にいいけど、これこのままほっといて大丈夫?今のうちに修正しとかないと取り返しがつかなくなりそうな気がするけど?」

確かに。
どこのどいつがこんな事をやり始めたのか確認する必要がある気はする。

でも多分村でやってる事だろうから、アンバーエスト家が関わってるのは間違いないよな‥

近寄りたくなかったのに、向こうから歩み寄ってきやがった。
いや、これもう走り寄って来てるよな‥

仕方なく俺たちはカーロッタに向かうのだった。

村に近づくにつけて人がちらほら村に向かっているのを見かける。
村には特に何もないから、こんなに人が来るってのも珍しい。

街道は変わらずモンスターが出てくる。
この辺にでるモンスターは弱いが、そんな危険を冒してまで来る村ではないはずだけど‥


カーロッタ付近に着いた。
村では農業もやっているので、村の外には畑が耕してあった。

しかし俺たちが以前村を出る時よりも畑の数が減っているような気がするのだが‥

畑仕事をしている人を見つけ声をかける。

「こんにちは。」

「おお。こんにちは。旅の人かい?」

「はい。」

挨拶をした人は見た事のない人だった。
そんなに大きな村ではない。
話した事がない人もいたけど、殆どの村人の顔は知っているつもりだったが‥
まさか初めて見る人がいるとは思わなかった。
村の場所間違えてないよな。

「すいませんここの村には長く住まわれてるんですか?」

「はは。そうでもないよ。俺はこっちに来て半年くらいかな。他の街に住んでたんだが、この村は畑の貸し出しをしていてな。しかもかなり安く貸してくれるから移り住んだんだよ。」

「そうなんですね。他にもそんな方はいらっしゃるんですか?」

「そうだね。この村は今観光に力を入れてるみたいでな。村の人達があまり使わなくなった畑を格安で借りれてな。なんでもこの村出身の若者が獣人国の闘技会で優勝したらしくて。その若者は村を治めてる男爵家の子だったみたいだけど、昔どんな子だったとか、どうやって強くなったとかが絵だったり物語とかが生家に飾ってあるんだよ。」

うん。
なにしてんの!
俺にあんまり興味なかったのに、闘技会で優勝したらこれかよ‥
どうなってるのかやっぱり聞くべきだよな‥

「キリーエ。観光に力を入れてるのはいいんだけど、俺は闘技会に毎回でるつもりもない。それなのに畑仕事までほったらかしてやっていけるのか?」

「そうやね‥ただ畑をほったらかしてるなら衰退するけど、それを貸し出しする事で移住者を増やしてるから結果としてはいい方向に向かってると思うよ。今まで畑仕事をしてた人たちが今どんな仕事してるかで今後どうなるかってとこやないかな。」

なるほど。
やっぱり村には行くべきみたい‥
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

旦那様、どうやら御子がお出来になられたようですのね ~アラフォー妻はヤンデレ夫から逃げられない⁉

Hinaki
ファンタジー
「初めまして、私あなたの旦那様の子供を身籠りました」  華奢で可憐な若い女性が共もつけずに一人で訪れた。  彼女の名はサブリーナ。  エアルドレッド帝国四公の一角でもある由緒正しいプレイステッド公爵夫人ヴィヴィアンは余りの事に瞠目してしまうのと同時に彼女の心の奥底で何時かは……と覚悟をしていたのだ。  そうヴィヴィアンの愛する夫は艶やかな漆黒の髪に皇族だけが持つ緋色の瞳をした帝国内でも上位に入るイケメンである。  然もである。  公爵は28歳で青年と大人の色香を併せ持つ何とも微妙なお年頃。    一方妻のヴィヴィアンは取り立てて美人でもなく寧ろ家庭的でぽっちゃりさんな12歳年上の姉さん女房。  趣味は社交ではなく高位貴族にはあるまじき的なお料理だったりする。  そして十人が十人共に声を大にして言うだろう。 「まだまだ若き公爵に相応しいのは結婚をして早五年ともなるのに子も授からぬ年増な妻よりも、若くて可憐で華奢な、何より公爵の子を身籠っているサブリーナこそが相応しい」と。  ある夜遅くに帰ってきた夫の――――と言うよりも最近の夫婦だからこそわかる彼を纏う空気の変化と首筋にある赤の刻印に気づいた妻は、暫くして決意の上行動を起こすのだった。  拗らせ妻と+ヤンデレストーカー気質の夫とのあるお話です。    

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな

カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界 魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた 「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね? それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」 小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く 塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう 一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが…… ◇◇◇ 親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります (『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です) ◇◇◇ ようやく一区切りへの目処がついてきました 拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです

全校転移!異能で異世界を巡る!?

小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。 目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。 周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。 取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。 「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」 取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。 そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

美しい姉と痩せこけた妹

サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...