上 下
167 / 953
闘技会本戦開催

ゆるせない思い

しおりを挟む
俺はミミウをアキーエに預けて剣に手をかける。

もし向かってくるようなら全力で相手する。
一撃で命を奪う覚悟を決めて、剣を持つ手に力を込める。

しばらく睨み合いが続く。

「待て待て!先程確認したが、ミミウ氏は意識を失っていた。戦闘行為は不可能だったため勝者はガルヘア氏になる。それにこれ以上続けるようであれば、ガルヘア氏が失格になるぞ。」

運営側の人が慌てて止めに入る。
それを聞いてガルヘアは舌打ちしながら戻っていった。

「危ないやつね。本当に向かってきそうだったわ。」

確かにかなりのダメージを負っていたのに構わずに俺に向かってこようとしていた。
止めるのがもう少し遅かったら襲ってきていただろう。
まぁその時こっちも斬り捨てるつもりだったがな。

場内ではガルヘアが勝ち名乗りを受けている。
そしてガルヘアは俺を睨みつけながら場外へ出て行った。

俺たちはミミウを救護場まで連れて行きミミウが起きるまで救護場に待機していた。
そして30分ほどたった頃、ものすごい大きなお腹の音がなったと思ったらミミウの意識が戻った。

「うぅ‥」

ミミウは気がつくと上半身を起こし周りを見渡した。

「負けちゃったですか‥」

「ああ。でもよく頑張ったな。」

俺はミミウの頭を撫でながらそう言った。

「全力は出したから後悔してないですぅ。」

「でも‥」

「勝ちたかった‥」

そう言ってミミウは俺のお腹に頭をつけて涙を流した‥




しばらくたって落ち着いたのか、ミミウは顔を上げた。
目はまだ赤いけど、とてもいい笑顔をしている。

「お腹空いたですぅ!」

「そうだな。ご飯でも食べにいくか!」

「任せて!ちゃんとミミウちゃんならそう言うと思ってたから場所は用意しとるよ。」

キリーエが親指を立てながらそんな事を言う。

「やったですぅ!」 

元気になったみたいだな。
でも本当によく頑張った。
今日は満足するまで飲み食いすればいい。
それこそ今日の悔しい思いを笑って話せるくらいに。




ミミウは闘っている最中にすでにお腹が減っていたそうで、いつも以上に食べまくってた。
お腹減ってなかったら勝ってたんじゃないか?

そして用意していた分の食材がなくなって、キリーエがあたふたしていた。
わはははは。



宿に戻り明日に備えて休む事にした。
少し気が昂っていて寝れなかったので宿の外に出て夜風にあたる。

明日はSランクとの闘いだ。
昨日までは負けたくないって思っていたが、今日一日で気持ちが変わった。

負けられない。

ガルヘアにはきちんとお返ししないとな。
勝ち上がってガルヘアと闘うかどうかわからない。
でも多分‥
いやきっとガルヘアとは闘う事になるだろう。

その時にミミウのお返しをしないとな。

リュストゥングにももちろんお返ししたいと思うが、ガルヘアは別だ。

闘いが終わった後にやろうとした事は許せる事じゃない。

俺の仲間を傷つけようとした事を絶対に後悔させてやる。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話

島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。 俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。

婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな

カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界 魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた 「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね? それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」 小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く 塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう 一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが…… ◇◇◇ 親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります (『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です) ◇◇◇ ようやく一区切りへの目処がついてきました 拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです

全校転移!異能で異世界を巡る!?

小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。 目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。 周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。 取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。 「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」 取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。 そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4500文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

処理中です...