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2章 王都への旅立ち
昇格試験①
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翌朝ギルドの練習場にマルコイたちは来ていた。
俺たち3人以外に試験官となるだろう男3人とバーントがいる。
「それでは今から昇格試験を行う。まずはマルコイ。相手はDランクの前衛のハタットだ。」
バーントに呼ばれマルコイは練習場の中央に向かう。反対側からマルコイより10歳程度は上の長い茶髪を後ろで結んでいる青年が進んでくる。軽そうな皮製の鎧にロングソードを下げている。スピード重視の剣士のようだった。
「マルコイ。一応試験内容だが模擬戦となってるが、絶対勝たなければならないわけじゃないからな。」
「ふはは。聞いたかい?坊主。俺の胸を借りるつもりで思いっきりかかってこい。」
う~ん。このハタットって男だが、ドヤってしてるところがムカつく。
しかし俺より格上のDランク冒険者だ。しっかりと勉強させてもらうとしよう。
「準備はいいか?それでは始めるぞ。」
俺は盾とロングソードを構える。村で買ったロングソードとお試しで買った盾だ。Dランクに昇格したら新しい装備にしてもいいのかもしれない。
そんな事を考えているとバーントから開始の合図がでる。
「それじゃいくぞ!多少は手加減してやるから、本気出してかかってこいよ。」
ドヤ顔がやっぱりムカつく。
盾を構えてそう思っていると、ハタットが動く。
「様子見か?じゃあ俺からいくぞ!」
ハタットはそう言って上段から剣を振り下ろす。
???
あまりに真っ直ぐ過ぎる剣の軌道に驚くが、手加減をすると言っていたから牽制の意味なんだろうか?
俺は剣の軌道を逸らすため、盾に力を入れて剣を弾く。
「ぐわっ!」
ハタットが吹っ飛んだ‥‥‥
あれ?
「ぐぅ、なかなかやるじゃないか。ロングソードを持っていたから【腕力】持ちだとは思わなかったぜ。じゃあ次は本気でいくぞ!」
そして体勢立て直し、こちらに駆けるハタット。
回り込むように動き剣を横なぎにする。
「どうだ!これだけ素早い動きはみたことあるまい。喰らうがいい必殺‥ぐわっ!」
動きがしっかり見えてたので横なぎの剣をまた盾で弾くとハタットがまた吹っ飛んだ。
変な格好で着地している。
ワザとなのか?お笑いなのか?笑うべきなのか?
「それまで。」
バーントが終了の合図を出す。
「マルコイはDランクに昇格だ。多分それ以上の力を持ってそうだが、とりあえずDランクへの昇格試験だからな。」
何か釈然としないが、合格ってことだそうで無理矢理納得する。
しかし最後の一撃に関しては果たして本気の一撃だったのだろうか?
だとしたらあまりにも弱過ぎる。もしかして思っている以上に自分は強くなれているのだろうか?
すると吹っ飛んで変な格好をしていたハタットが変な角度に首を曲げたままこちらに歩み寄ってくる。
「お前なかなかやるな。今日のところは引き分けにしといてやる。今日から同じDランクだから次やる時は手加減は一切しないから、そのつもりでいろよ。」
やはり手加減していたのか‥
変な格好の時に笑っとけばよかったかな。
「よし、次はミミウの番だ。」
「はいですぅ!」
中央に歩み寄るミミウ。そして反対側から茶髪のツンツンした頭の青年が歩いてくる。
なんか見覚えのある男だな‥?
「オーウットさん?」
そうミミウの相手はマルコイが【俊足】を模倣したオーウットだった。
しかしマルコイとしては複雑な思いだった。オーウットはマルコイに【俊足】を模倣させてくれ、それがきっかけで【剣闘士】まで発現することができたのだ。マルコイは勝手に恩人と思っていた。
その恩人が今から酷い目に合うなんて‥どうせなら知らない人の方がよかったとまで思っていた。
あ~、オーウットさん‥お気の毒です‥せめて怪我のないように‥
「それでははじめっ!」
掛け声とともにオーウットは【俊足】を使い、一気にミミウの後ろに回り込んだ。
そしてミミウの死角から突きを入れようとしたが‥
「はぁっ!」
うん。ものすごい音と共にオーウットさんミミウのシールドバッシュで練習場の隅まで吹っ飛んでいった‥
死んでないよな‥?
はっきり言ってミミウには俺も勝てない。正確には負けはないし、ミミウが攻撃してきたら隙をついて勝てると思うが守りを固めたら勝てないと思う。
基本、スキルは使用すればするほどレベルが上がると言われている。
それが確かなのかは証明はされていないが、確かに使用していた方が上がっている気がする。
ミミウは【遠視】のレベルを上げるため、【遠視】
を普段の生活でも使用していた。
そのため近くの物が見えなくて転んだりするのは日常茶飯事だったが、その甲斐あってスキルレベルはかなり上がっていた。そしてレベル5を超えた時から視界の補正が付きほぼ360度死角なしで見れるようになったらしい。スキル効果で済ませれないほどの規格外である。
そのため【盾士】として盾を扱える場面が増え、その結果【盾士】のレベルも上がり筋力補正なども増加していった。
今のミミウのシールドバッシュはかなりデカいサイズのキラーベアでさえ行動不能にできるくらいである。
そんなシールドバッシュを喰らったオーウットさんはハタット並みに面白い格好でギルド練習場の壁に刺さっていた‥。
俺たち3人以外に試験官となるだろう男3人とバーントがいる。
「それでは今から昇格試験を行う。まずはマルコイ。相手はDランクの前衛のハタットだ。」
バーントに呼ばれマルコイは練習場の中央に向かう。反対側からマルコイより10歳程度は上の長い茶髪を後ろで結んでいる青年が進んでくる。軽そうな皮製の鎧にロングソードを下げている。スピード重視の剣士のようだった。
「マルコイ。一応試験内容だが模擬戦となってるが、絶対勝たなければならないわけじゃないからな。」
「ふはは。聞いたかい?坊主。俺の胸を借りるつもりで思いっきりかかってこい。」
う~ん。このハタットって男だが、ドヤってしてるところがムカつく。
しかし俺より格上のDランク冒険者だ。しっかりと勉強させてもらうとしよう。
「準備はいいか?それでは始めるぞ。」
俺は盾とロングソードを構える。村で買ったロングソードとお試しで買った盾だ。Dランクに昇格したら新しい装備にしてもいいのかもしれない。
そんな事を考えているとバーントから開始の合図がでる。
「それじゃいくぞ!多少は手加減してやるから、本気出してかかってこいよ。」
ドヤ顔がやっぱりムカつく。
盾を構えてそう思っていると、ハタットが動く。
「様子見か?じゃあ俺からいくぞ!」
ハタットはそう言って上段から剣を振り下ろす。
???
あまりに真っ直ぐ過ぎる剣の軌道に驚くが、手加減をすると言っていたから牽制の意味なんだろうか?
俺は剣の軌道を逸らすため、盾に力を入れて剣を弾く。
「ぐわっ!」
ハタットが吹っ飛んだ‥‥‥
あれ?
「ぐぅ、なかなかやるじゃないか。ロングソードを持っていたから【腕力】持ちだとは思わなかったぜ。じゃあ次は本気でいくぞ!」
そして体勢立て直し、こちらに駆けるハタット。
回り込むように動き剣を横なぎにする。
「どうだ!これだけ素早い動きはみたことあるまい。喰らうがいい必殺‥ぐわっ!」
動きがしっかり見えてたので横なぎの剣をまた盾で弾くとハタットがまた吹っ飛んだ。
変な格好で着地している。
ワザとなのか?お笑いなのか?笑うべきなのか?
「それまで。」
バーントが終了の合図を出す。
「マルコイはDランクに昇格だ。多分それ以上の力を持ってそうだが、とりあえずDランクへの昇格試験だからな。」
何か釈然としないが、合格ってことだそうで無理矢理納得する。
しかし最後の一撃に関しては果たして本気の一撃だったのだろうか?
だとしたらあまりにも弱過ぎる。もしかして思っている以上に自分は強くなれているのだろうか?
すると吹っ飛んで変な格好をしていたハタットが変な角度に首を曲げたままこちらに歩み寄ってくる。
「お前なかなかやるな。今日のところは引き分けにしといてやる。今日から同じDランクだから次やる時は手加減は一切しないから、そのつもりでいろよ。」
やはり手加減していたのか‥
変な格好の時に笑っとけばよかったかな。
「よし、次はミミウの番だ。」
「はいですぅ!」
中央に歩み寄るミミウ。そして反対側から茶髪のツンツンした頭の青年が歩いてくる。
なんか見覚えのある男だな‥?
「オーウットさん?」
そうミミウの相手はマルコイが【俊足】を模倣したオーウットだった。
しかしマルコイとしては複雑な思いだった。オーウットはマルコイに【俊足】を模倣させてくれ、それがきっかけで【剣闘士】まで発現することができたのだ。マルコイは勝手に恩人と思っていた。
その恩人が今から酷い目に合うなんて‥どうせなら知らない人の方がよかったとまで思っていた。
あ~、オーウットさん‥お気の毒です‥せめて怪我のないように‥
「それでははじめっ!」
掛け声とともにオーウットは【俊足】を使い、一気にミミウの後ろに回り込んだ。
そしてミミウの死角から突きを入れようとしたが‥
「はぁっ!」
うん。ものすごい音と共にオーウットさんミミウのシールドバッシュで練習場の隅まで吹っ飛んでいった‥
死んでないよな‥?
はっきり言ってミミウには俺も勝てない。正確には負けはないし、ミミウが攻撃してきたら隙をついて勝てると思うが守りを固めたら勝てないと思う。
基本、スキルは使用すればするほどレベルが上がると言われている。
それが確かなのかは証明はされていないが、確かに使用していた方が上がっている気がする。
ミミウは【遠視】のレベルを上げるため、【遠視】
を普段の生活でも使用していた。
そのため近くの物が見えなくて転んだりするのは日常茶飯事だったが、その甲斐あってスキルレベルはかなり上がっていた。そしてレベル5を超えた時から視界の補正が付きほぼ360度死角なしで見れるようになったらしい。スキル効果で済ませれないほどの規格外である。
そのため【盾士】として盾を扱える場面が増え、その結果【盾士】のレベルも上がり筋力補正なども増加していった。
今のミミウのシールドバッシュはかなりデカいサイズのキラーベアでさえ行動不能にできるくらいである。
そんなシールドバッシュを喰らったオーウットさんはハタット並みに面白い格好でギルド練習場の壁に刺さっていた‥。
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