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~実花の場合☆肉食系年下くん☆~2023.12大幅改編
しおりを挟む派手系肉食女子の土田実花(つちだみか)――28歳。
初めて地元を離れる転勤辞令を受けた。
「引越しつら~~~~い」
仕事をしながら必死に荷造りして雨の中の荷出し。
ホテルに泊まって、今日は新居で荷受けの日だ。
何もない部屋で待っていると、マンション下にトラックが停まった。
引っ越し屋の制服の男達がズラズラと出てくるのが見えて、チャイムが鳴る。
「よろしくお願いしまーす」
金髪に近い茶髪の男が、帽子をとって挨拶してきた。
茶髪なのでチャラい感じなのかなと思っていたら、テキパキ働いてリーダーのようだ。
年配のおじさんや、もっと若い子達に指示をしている。
率先して重い物を持ち上げ、指示を出して作業する。
たくましい腕の筋肉に、少しドキッとした。
ああいう男とセックスしたら凄そう……と実花は思う。
実花は自覚ある肉食女子だ。
一人暮らしの少ない荷物。
あっという間に、引越しは終わってしまった。
友達もいない街に、一人残される寂しさがじわりと胸に広がる。
「ありがとうございました~仕事早くてもう終わっちゃいましたね」
「ありがとうございます。ではここにサインをお願いいたします!」
ニコニコと感じも良い。
名刺を渡されるわけでもなく名前もわからない。
名前知りたいな~と思う。
「あ、あの~お名前聞いてもいいですか?」
「あ、はい。僕、佐々木と言います。また段ボール取りに伺いますんで」
少し驚いて名前を教えてくれた佐々木。
佐々木何君かまでは、聞けなかった。
◇◇◇
「あ~~~~もう無理お腹空いた」
その日はごちゃごちゃの部屋で片付けに奮闘している。
料理ができるほど片付いてもいないし元々自炊派ではない。
二十二時過ぎになってから、閉店間際の近所のお弁当屋に行ってみた。
「えーっと唐揚げ弁当と海苔弁当と豚汁で。はーい、お願いしゃーす」
金髪に近い茶髪のお兄さんが先に注文していた。
振り向くと昼間の引越し屋のお兄さんだ。
「佐々木さん」
「えっ」
「あ、あの昼間に引っ越しで来てもらった土田です」
「あ、あーそうだ。そこのマンションでしたね」
私服だとまた雰囲気が違う。
佐々木は店内で待つようで、用意されている丸椅子に座った。
実花はのり弁当を頼んで、それから思い切って佐々木の隣に座る。
「少しは片付きました?」
やった! 話しかけてくれた! と心の中でガッツポーズする実花。
「あはーまだまだですね」
「お姉さん、お仕事で? 転勤?」
「そう、明日からもう仕事~片付くまでどれだけかかるかー」
「大変ですねー」
「佐々木さんも今忙しいでしょ」
「うん。今日は早い方~飯食う暇もなくて、腹減りましたよ~」
あははっ!!と笑う顔が可愛かった。
ダメならダメで~断られたら縁がないってこと! と実花は肉食を発揮する。
「あの、私この街にまだ知り合いもいなくて~佐々木さん、お友達になってくれませんか?」
「えっ」
少し驚く顔をする。
「あ!結婚してた!? お弁当たくさん買ってたし…」
「まさか! 独身! あれは俺の分! いーっすよ! 会社にはもちろん秘密でね」
「やった!嬉しい」
「じゃPLINEで、いっすかー」
「うん!」
お互いスマホを出してメールアプリのアドレス交換をした。
それが二人の出会いだった。
『忙しいから、すぐは返信できないけど』とは言われたが、1日に1度は返信があった。
実花も忙しい日々だったので、特に気にはならない。
佐々木は新(あらた)という名前だった。
23歳。
なんか名前も若いよねぇ~と実花は返信しながら思う。
部屋は順調に片付いていき、段ボールの回収も頼んで
新が来てくれた。他にも人がいるので目でお互い合図して笑った。
◇◇◇
ある日の帰り道。
新からの着信。
『ごめん。電話の方が俺、楽でさ~今大丈夫?』
『うん、今帰り~あのさ~飲みに行きたいなーって思って1人では行けないしさ一緒に行かない?』
『ん? あぁいいっすよ。じゃあ今度誘ってくださいシフトはメールするんで』
飲み会の約束はすぐにできた。
「やったぁ~新生活、楽しくなりそう!」
新しい部屋はお風呂が大きいのがお気に入り。
好きな入浴剤を入れて、肉食女子はボディケアは欠かせない。
◇◇◇
「乾杯~」
平日の夜。
2人は人気の創作居酒屋に来た。
敢えて大人っぽいセクシーなシャツにタイトスカート。
会った瞬間に新は実花の自慢の胸元をチラ見した。
「休み合わせてもらっちゃって」
「ううん。私もシフト制だし~飲みに来れて嬉しいーっ!」
「実花さん結構グイグイきますよね」
「んっ迷惑だった?」
「いや、嬉しいっすよ」
実花も新もグイグイ飲んで、ガンガン食べた。
「これも美味しそう」
「頼もう、俺も食べたい」
食の好みと、惜しまないお金の使い方が合致してるほうが楽しく遊べる。
「新くんって~筋肉すごいよねー」
「力仕事だからね」
「ちょっと力込めてみて~きゃカッコいい!」
さりげないボディタッチで2人の距離感はまた縮まっていく。
その後はうちで飲み直そう? と誘った。
玄関に入った時から、どちらから始めたのか2人はもう絡み合う。
リビングに買ったビールが散らかったまま、荒い息でお互いの服を脱がしていく。
「実花さんって……遊んでるの……?」
「んっ君こそ……」
「俺は……男だしそりゃエロいこと好きだよ」
お互い荒い息。
新が猛ったズボンの股間を実花の腰に擦り付ける。
「女がえっち好きだったらダメ……?」
シャツのボタンが外されて、実花の紅いブラジャーと乳房があらわになる。
「いや……エロい女好きだよ……おっぱいでかいね」
ブラジャーの上から実花の乳房を大きな手で揉みしだく。
「ん……新も、これデカそう」
「デカそうじゃなくて……デカいよ。ねぇ……フェラしてほしい」
「ふふ……いいよぉ。お姉さんがフェラしてあげるね~じゃあ脱いで……早く」
新はジーンズとボクサーパンツを一緒にずり降ろすと、勢いよく猛りが現れる。
実花は舌なめずりをした。
「デカいし元気いっぱい……」
ガチガチにそそり立つ、新のものに舌を這わす。
思い切り口の奥まで含んだ後に、カリの部分を唇で強くしごいて吸い込むように刺激する。
新の味が口いっぱいに広がって、実花はゾクッと興奮してショーツに蜜が滲むのを感じた。
「うわぁ~~めっちゃエロいね……すげぇ……やば」
「気持ちいいでしょ? 美味しいよ……」
「最高……」
新は実花の頬を撫でたあと、腕を伸ばして実花のブラジャーのホックを外した。
「ん……こっちに身体よこしてよ。俺も舐める」
「わかったぁ~~ん……っ」
Tバッグのショーツに指を絡まれズリ降ろされた。
シックスナインの体勢になって、2人で絡み合い舐め合う。
新のゴツゴツした太い指を、割れ目のなかに入れられて密が溢れ出る。
「えっろ……びしょ濡れじゃん」
蕾を吸われると、実花の身体を快感が走る。
「んっ……いいっ……!」
喘ぎながら新自身をまた指と唇でしごく。
「あーっ俺イクっ!!」
「んっ」
迸る熱い精液が口のなかに、ビュッと出ていっぱいになる。
「あーん……」
「口で出してごめ……すぐに復活するから」
「んー……いいよぉ良かった?」
「最高、こんなすげぇフェラはじめてだった」
「ふふ」
ティッシュに吐き出して丸めて、立ち上がりゴミ箱に捨てる。
「じゃあベッド行こう」
「姉さん……まじでエロいね」
「ん~? うん。もしかして満足させる自信ないの?」
「くっそ! ヒーヒー言わせてやるからな!」
「きゃー! おっさんみたいな事言ってる!!」
少しの距離を鬼ごっこして、はしゃぐ。
すぐにベッドで新に押し倒された。
しかし少しの間、見つめ合う。
「あの……俺今、彼女は……いらないと思ってるんだけど……仕事が今大事な時期でもあってさ」
そんな言葉を、実花は鼻で笑う。
「年上はみんな焦ってるとでも思ってんの?」
「いや…そういうわけじゃ」
「ふふっ友達でいーんだよ。友達になってって言ったよ? 私」
そう、誰も恋人になってなんて言ってない。
今はただセックスがしたいのだ。
「わかった、友達」
「もう、いいから早くぅ……ねぇキスして」
「うん……」
「んっ……舌」
首に腕を絡めてキスをねだり、また深く舌を絡める。
新は実花の乳房を感触を楽しむように、持ち上げて揉みしだく。
「んっ新の手硬くて~エロいんだよぉ……揉みすぎぃ」
「こんなにエロいおっぱいして……なに言ってんだよ、デカいし乳首は可愛いし……舐め回したい」
新は実花の乳首を指でつまんで刺激しながら、片方の乳首を舌で舐め回す。
「んっ!気持ちいい…」
「もう……挿れていい?」
いつの間にか、新のものはまた硬くなり実花の太ももに擦りつけてくる。
「あ、じゃこれ……ゴムつけて」
「用意いいね」
「今日のために買ったわけじゃないからねぇ~? 常備品! セーフティセックスだよ。お互いのためにね……」
「いいね、俺も見習わないと。かっこいい」
渡されたゴムを開けて、すぐに付ける新。
「可愛いって言いなよ」
「うん、可愛いお姉さん」
押し倒されて、見下されると新の逞しい胸の筋肉がよりそそられる。
胸元を撫でると、新が荒く息を吐く。
「挿れて……」
「あぁ」
グリッと硬い新のものが、奥まで一気に突き刺さる。
「さっきはイカせてもらったけど、次は実花のことイカせまくるからな」
「んっはぁ……! 硬い、いいっ!」
正常位で何度も突かれ一度イカされた後、力強い腕に抱きかかえられ身体を起こされる。
「えっ……」
ベッドに腰かけた新に抱きしめられて対面座位で、下から突き上げられた。
「あっこれっすごいーーっ!」
「気持ちいいだろ??」
「うん、いいっっ!!」
ふっと、新が実花の太もも抱えたまま、立ち上がる。
「えっ…やばっ」
抱き上げられたまま、腰を打ちつけられる。
新自身が、ますます深く挿さり奥で感じる快感がたまらない。
揺さぶられ新の胸板に挟まれた乳房が、まるで愛撫されているように感じてしまう。
実花も必死でしがみついて、喘いで2人の汗が混じり合う。
「あぁ!イッちゃう……! イク~~っ!」
「イケよ!俺も限界……っ出るっ……!」
新の腰が打ちつけられ、ビクビクと震えるのを感じた。
脱力して、ドサッとベッドに2人で倒れ込んだ。
「はぁっ……はぁっ……」
まだ荒い息の2人。
汗に濡れた新の前髪をそっと、指でなぞる。
「どうだった…?」
「最高……新は?」
「俺も……やべーくらい気持ちよかった……すげ」
ふふ……と瞳を三日月にして微笑む実花にまた色気を感じる新。
そういやこのベッドは俺が運んだな……とも思って、またいやらしさを感じる。
新の二の腕の筋肉を実花が撫でると、新も実花の胸を揉んで2人で笑った。
「ビール飲も……?」
「うん……飲む」
「新が冷蔵庫からとってきてー! 腰ガクガク~で立てないよ~~」
「ぷっ……! いいよ!」
散らかしていたビールを冷蔵庫に入れて、冷えたビールを持ってくる。
「いや、やめてくっつけないでバカ~あはは」
「ひひ、もっとそっちいって」
ベッドで2人で飲みながら新が呟いた。
「あのさ……また来てもいい…?」
「うん? いいよ~」
◇◇◇
満月の夜。
「ちーっす。仕事落ち着いてきたわ~」
「あー良かったね」
新は週に1回は、実花の家に来るようになった。
夕飯は適当にコンビニだったり、最初の弁当屋だったりだ。
実花も特別手料理を作ったりもしない。
とりあえず空腹を満たして酒を飲んで、セックスする。
「んっ…」
バッグスタイルのまま、指を挿れられ優しくGスポットを刺激される。
花芽も新の太い指で撫で揉まれて、アナルには舌を這わせられる。
「やだぁ~そんなとこ舐めないでぇ」
「いつかアナルもしてみたい」
「調子に乗らないのぉ! あんっイク!」
「じゃあ次は俺のでイカす」
実花が花芽で絶頂すると休む暇もなく、熱い猛りを挿れられ激しく突かれる。
逞しい腕と胸で抱きしめられ、実花も背中に抱きつき足を絡めた。
二回戦めは、後ろから攻められて2人で快感に酔いしれる。
引っ越したばかりなのに声を抑えられず、新に口を塞がれた。
「声でかい……お隣さんに、この前すげー目で見られたんだからさ」
「んん~……だってぇ……」
「今度ホテル行くかぁ」
「いいかもー」
抱き合ったままで頬に優しくキスされたので、実花も新の頬にキスを返して笑う。
「新~ビール持ってきてぇ!」
「じゃんけんしよーぜ」
「負けないから~!」
ピロートークは、くだらない事を抱き合ったまま話をした。
2人で同じスマホゲーを開く。
「えー課金ガチャやったのー?」
「だって、今回のキャラ強くてやばいじゃん! 実花だって欲しがってただろ」
「そうだけど、課金まではやんないとか言ってたから! 私もやろーっと」
「一回だけだぞ俺は」
「連続ガチャ課金~えーいポチっ!」
きゃはっと実花が笑う。
「まじかよ!」
「いいんだよーこれで明日の活力になんだから」
「まぁそうだな~これで頑張れるなら安いもんかーあのさ、泊まってってもいい?」
「私明日早いよ?」
「うん」
「どうぞご勝手に~」
ガチャを回そうとする実花を邪魔してやろうと、新が抱きついて笑い声が起きた。
◇◇◇
夕方に仕事が終わった日。
実花は最近コンビニ弁当にも飽きてきたなーと夕飯を作ることにした。
スーパーで買い物してササっと作り終えた。
食べようとすると、そこに新から電話が鳴る。
「あー実花? 今日暇? 行っていい?」
「んーいいよー」
いつも暇なので断った事はない。
「じゃ俺なんか買ってくよ。弁当? ハンバーガー?」
「あ、ご飯作ってあるから食べる?」
「え? 実花の? 食べる」
即答だった。
新が来るのを待って温め直し、2人で食べる。
赤魚の煮付けと、冷凍里芋の煮っころがし、マカロニサラダ。
ほうれん草のおひたし、きのこいっぱいの味噌汁。
数日食べようと思っていたので、多めに作った。
「なに……うまいじゃん」
新が感動したように呟く。
「何年自炊してると思ってんの~」
実花はいつも通りで味噌汁をすする。
「いつもコンビニとかだからさ、てっきり苦手なのかと」
「面倒でやりたくないのと~料理の技術は比例しないよ」
「ははっ確かにな。でもまじうまい! ご飯おかわりしていい!? 俺こういう料理めっちゃ好き!」
「はや!!」
笑いながら、おかわりを出したが炊きたての3合が空になった。
そして夕飯後はいつも通り、愛撫が始まる。
「実花……もう……フェラいいよ」
新が実花の頬を撫でて、耳のピアスを触る。
快感に溺れた顔をして、切ない目で実花を見る。
「ん? どうして?」
「もう、早く挿れたい」
ぐっと、実花を押し倒して抱き締めてくる新。
「うん……きて……」
ぎゅっと新を抱き締める。
この日の新は、熱っぽく実花のなかで果てた。
そんな日々が2ヶ月ほど続いたある日の休日。
新からは連絡もないし、今日は少し遠い場所にあるおしゃれな輸入品も扱うスーパーでの買い物を実花は楽しんでいた。
「あ、アンチョビペースト買っておこうかな~…って、あ」
「あ」
新が黒髪長髪の女の子に、腕を組まれて歩いていた。
2人で楽しい食材のお買い物~という感じ。
「ふーん」
若くて可愛い、ほんわか清純雰囲気の女の子。
「新くん、今日の夜はぁ~なに食べたい? 見て~こんな食材もあるんだね」
キャッキャと楽しそうだ。
新は明らかに焦った顔をしている。
「あーら佐々木さんこんにちはー」
実花は、わざとに声をかけた。
「ど、どうも」
「えー新くんのお友達さんですか?」
女の子が驚いた顔をする。
「いえ、会社の関係ですー」
「そ、そうなんですね! いつも新くんがお世話になっております!」
「あ、ナナちゃんがそんな礼言わなくていいから……」
新は更に焦った顔をする。
「あ、やだ私ったらごめんなさい~!」
ナナちゃんは顔を赤くして笑う。
「おほほ、邪魔したみたいですね~あはは、楽しそうですね~じゃあ失礼しまーすさようならーー」
「あっ……」
笑顔で会釈して離れる。
新が何か言いたげだったが、追いかけてくることはない。
自炊でも、と思っていたがテキーラと中華惣菜セットを買って帰った。
1人で散々飲んで食い散らかして、酷い胸焼けがした。
次の日の夜。
新からの電話だった。
『あのさ、実花。昨日の事なんだけど』
「なにー?彼女いるなら言いなよー」
『いや……あの……』
言いにくそうな態度にイライラした。
「あのさー! 私が若いカップルの間で怒り狂って、あんたを刺し殺すとか思ってんのー?」
『……違うって』
「ただのセフレでしょ?私達」
『……セフレ?』
「でしょ? 彼女できたからセフレ解消~! 終わりでいいじゃん? 別にうちに来なければいいだけーでしょ!!」
そう言い放ってからズキンと心臓が痛んだことに、実花は動揺する。
『……わかったよ……』
それだけで、電話は切れた。
ムカついて、テキーラロックをがぶ飲みしてベッドに入った。
「あーセフレいなくなっちゃった~でもいいや! 今度は年上がいーな! 別部署の菅谷さんとか、いいかもー! ガキなんてもういらなーい!」
一人でバカみたいに声に出して言った。
寝ようとするが、新の姿がチラチラとチラつく。
今ごろあの黒髪とセックスしているのか!?
「あーなんかムカつくっっ!」
課金ガチャを回すと激レアが出たが、イライラは収まらない。嬉しくもない。
また起きてテキーラロックを飲み干す。
テーブルの上に、新が買ってきたスマホゲーの攻略本がある。
ゴミ箱に思いきり叩きつけて捨てた。
少し経ってから、また拾って本棚の見えない隙間に入れた。
眠りそうな瞬間、涙が出るのがわかった。
◇◇◇
次の休みの前日の夜。
新しい街でバーの開拓に出ようと、思い切りオシャレをして駅前に繰り出す実花。
気にせず1人でバーに入り、カクテルを頼む。
イケメンのマスターと話は盛り上がり、隣の渋いお兄さんからも話しかけられた。
これは良い感じ! と実花は微笑む。
実花は『新ざまーみろ! あんたなんかお呼びじゃない!』と内心で笑ってやった。
でも、また思い出してる事実が胸に刺さってバーテンダーに強いのください! と注文する。
大丈夫~? と隣のお兄さんが気にしてくれた。
その時電話がかかってくる。
スマホを見ると、新だった。
無視しようとしたが、かなり長い間鳴っている。
一度バーから出て、ビルのトイレの前で電話に出る。
『あー実花?』
「なに?」
『なにって…』
「元セフレが何の用?」
『あー……じゃあセフレだから、セックスさせてくんない?』
「はぁ!?」
『最後にセックスしてお別れしよーぜ』
「なに言って……」
『俺の突き、最後に味わいたくないの?』
ぶっ!! と吹き出して笑い飛ばした。
「それは、あんたの方でしょ? 私のフェラと締まりが欲しいんでしょ?」
隣にいたお兄さんがトイレから出てきたところで、会話を聞かれてギョッとした顔をされてしまった。
『じゃあ、そういうことでいいからよ。今から行くから』
「私、飲みに出てるし」
『はぁ? どこだよ? 迎えに行く』
「別に帰るなんて言ってないし」
『どこの店だよ、言え!』
「な……っ」
『言え』
新の迫力に押し切られ、ぶつぶつ文句を言いながらもビルの下で実花は新を待った。
「おい、実花」
飛ばしてきたのか、思った以上に早く来た新のデカイ車に乗り込んだ。
新は実花の着飾った姿を見て驚き、ため息をつきながら車を発進させる。
「お前、まじで心配だわ」
「はぁ!? 誰が心配してって言ったのよ!?」
「あそこのマスター遊び人って噂あるぞ」
「別に、いいじゃない~! 遊び人! サイッコーだね!」
わざとに笑いながら言う。
「そんなこと続けてていいのかよ?」
「何が?」
「だから……けっ……けっ」
「け??」
「結婚願望とかないのかよ」
言いにくそうに新が言った。
「……ない! ってか、そんなこと私に聞いてどうすんの? 未来ある年下の彼女ありの若者が私に説教すんのかよー!? ざ・ん・こ・く!! アハハ!! 自慢しに来たわけ!? 余計なお世話!!」
「説教なんてしてねーよ!!」
「怒鳴らないでよ!」
お互い怒鳴って、沈黙……。
腹が立って、イライラして、なんだこの時間、と実花は思う。
なんだか泣きそうになる。
「……昨日の、あの子は彼女じゃないから」
「いーから、そういうの。好きにすればいいじゃん」
あぁ、酒が飲みたい――と思う。
「じゃあ実花はどうなんだよ?」
「えっ?」
「俺をただの年下の馬鹿で、セックスができる男だから? それだけで、俺とずっと関係してたんかよ!?」
「……そ、それは……」
「実花のとこに行かなくなって……俺は……寂しくなった」
キュンとした。
空っぽになった気がしたのは、自分もだったから。
寂しかった。
「あっは! じゃあなにかねーっ? あの可愛い清純彼女振って?? わたくしめのとこにでも来る気かね?」
どう考えたって、向こうの方がビジュアルもいいしきっと若い。
冗談ぽく笑ってやった。
『まさか!』で早く終わらせてほしい。
「行く」
「……は?」
「俺、お前と付き合う。エロくて料理もうまくて、ゲームの趣味も合う。姐さん女房で最高じゃん」
「な、なに勝手に決めてんのよぉ」
実花の家の近くのコインパーキングに着いた。
「お断り!! バカ!!」
運転席から手を捕まれ抱き寄せられ、キスをされて舌で唇を舐められた。
「じゃ俺と今からやって決めろよ。そんなにセックスが好きなら誰が1番いいかやったらわかるだろ?」
「な、生意気」
「だから早く部屋行くぞ」
無言で部屋に行く二人。
部屋に入った途端に、新は実花を抱きしめる。
リビングへ歩きながら、服を這いで乳房を大きな手で愛撫する。
そのままベッドへ直行。
紐のTバッグのショーツをヒップを強く撫で揉みながら、スルリと解き落とした。
「んっ……激しいって……」
耳も首元も舐められる。
「こんなエロ下着履きやがって……俺以外の……もう挿れたの?」
ドキっとする。
「ば! ばか! 何聞いてんのよ! あっ…あんたこそ! どうせあの子とやる事やってんでしょ!?」
脱がされた実花はもう濡れていた。
新の手に触れられたら、もう濡れる身体になっていた。
ぎゅっと唾液で濡らした太い指を二本回しながら、花びらに入れられる。
蜜が溢れて恥ずかしくなった。
「あっ」
「だから、俺はやってないから!」
「んっ…どうだかっ!? すぐギンギンになるくせに」
抱き締められた腕から離れて、新の熱い猛りを掴んで、ベロっと舐めた。
あぁ……大好きな新の……味と思ってしまう。
胸がキュンとする。
「今日はフェラいいから、お前は何もしなくていい」
「えっ?」
新は実花の股間に顔を埋め、花芽を舌で執拗に責められ指で揉みほぐされる。
胸の頂きも刺激されて実花はすぐにイッてしまう。
「はぁ……気持ちいぃ……ああん……」
「実花……挿れたい」
「……うん……いいよ」
いつもはズンとすぐに奥まで突いてくるのに、今日は猛りの感触を感じさせるようにゆっくりと入ってくる。
「あっ新、気持ちいい……動き……やらしいよぉ……」
「俺も…んっ……絡みつく……」
気持ちいいとは言うが、好きなんて言わない関係だった。
ぐっと口づけるように、実花の奥の奥に新の猛りが当たる。
そのまま、新は実花にキスをした。
はぁ……と切ない色気のある新の表情。
一瞬見とれて心臓が高鳴る。
「実花……好きだ」
「あっ……奥に当たる……えっ……?」
快楽から引き戻される言葉。
「好きだよ」
「な、やめてよっこんな時に!」
「こんな時だから言うんだろう! 本当っお前は……!」
「な、なによぉ」
実花は何故か泣きそうになるのを堪える。
「ヤリチン! そんなのあの女に言えよっ!」
逃げようとする実花を、新はがっちりと抱き締める。
「だからさ! セックスしてたら愛しくなって、好きになっちゃったんだろ!」
ちゅっ……ちゅっと優しく唇で伝えるように口付ける。
「お前も俺のこと好きなんだから、素直になれよ」
「……別に」
実花は横を向く。
「じゃ俺ともうセックスできなくなるぞ? 駅弁できるような男は、もういねーぞ!?」
「……それは……惜しいかも」
「お前みたいな、可愛い顔して自信ありまくりな女は初めてだったよ」
「それが歳の差だよ。1日が過ぎるだけでも私は何を得ようか考えて生きてるもん。そんな年上の私があんたに負けるわけがないよ」
何を言っても素直にならない実花。
新は降参というように、実花の胸元に顔を埋める。
新のものが萎えていくのがわかる。
「ふっ……そうだな。じゃあ俺をコテンパンに負かしてよ。年上なりの振り方見せてみろ。セフレと別れる、カッコいい後腐れなしの振り方をさ」
「……ないよ」
「え?」
「そんな振り方知らない」
「なに」
「私は……もうセックスは、好きな人としかしないもん」
実花の目は潤みながら、新を見つめる。
「実花っっ!!」
ぎゅーっと新が実花を抱きしめる。
「俺は実花が好きだ!! お前も好きって言えよっ!! 言ってくれよ!」
「好きだよ……新が好き」
首に腕をまわして実花からキスをした。
新はホッとしたように抱き締めて、実花の髪を撫でる。
「実花……実花好きだよ……」
「私を悲しませたから……懲らしめてやった」
「ごめん……先輩の紹介で、断れないままグイグイ来られちゃって……あの日も二人っきりじゃなくて飲み会の買い出しでさ」
「で結局、断ったの?」
「あの後店で断ったら、めっちゃキレられてビンタされて終了」
「あはは、ざまみー」
にっこり笑った実花に新はまた安堵して、また抱き締めた。
「……実花好きだ、もう絶対離さない」
「うん……本当は私も大好きだよ……」
誓うようにキスをした。
「じゃあ仲直りのセックスするかぁ!」
「しよ!!」
「恋人としての初セックス!だな」
「激しくがいい~~~!」
「朝までやろう! 潮吹かせてやる!」
「きゃースケベ~!!」
「愛してる実花~~!!」
抱き合いながら笑って、そしてまた2人の舌は絡み合い、激しく求め合っていく。
感覚が、快感が愛情で更に高まっていくのを感じていく……。
~Fin~
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素敵な婚約者もいて、学園を卒業したらすぐに結婚するはずだった。
それなのに、どうしてこんな事になってしまったんだろう⋯?
◇人物の表現が『彼』『彼女』『ヤツ』などで、殆ど名前が出てきません。なるべく表現する人は統一してますが、途中分からなくても多分コイツだろう?と温かい目で見守って下さい。
◇後半やっと彼の目的が分かります。
◇切ないけれど、ハッピーエンドを目指しました。
◇全8話+その後で完結
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ドゴイエちまき様いらっしゃいませ!
ヒロイン設定、ちょっとリアルにしすぎたでしょうか(*´艸`*)
こちら初めて書いた一次創作のR18シリーズで、作法やら色々と/(^o^)\修正しないとですね(@_@;)
実花のようなあけっぴろげなヒロインも好きですね~(*´艸`*)筋肉もよき!
二人はまた、てんやわんや起こしそうなので続きでも書きたいですねw
感想ありがとうございましたー!!
リード系年下くん(後編)まで、拝読しました。
素敵な出会いであり、関係、でしたね。
お二人ともに、見守っていたくなる方ですので。拝読していて、何度もニヤニヤしておりました……っ。
このあとのお話にも、お邪魔させていただきますね。
柚木ゆず様
いらっしゃいませ、読んで頂けただけではなく感想まで
とても嬉しいです!ありがとうございます!
2人を見守ってくださり嬉しいです。
柚木様をニヤニヤさせる事ができてガッツポーズでございます。
他のお話も読んでくださるのですか~感涙です。
楽しんで頂ければと思います!!
本当にありがとうございました!
退会済ユーザのコメントです
石川様
読んで頂いただけではなく、感想までありがとうございます!!
ゾクゾク!して頂けたとは感無量でございます。
そして続きまで♡ありがとうございます。