叶わぬ恋の話をしよう

星野日菜

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大好きな君の背中を押して

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「あのさ、俺……」

昼休みに幼なじみである湊に呼び出されて言われたのは

私にとって

湊に恋愛感情を抱いている私にとって、とてもショックなこと

「俺、鮎川のことが好きなんだけど……」

鮎川……

鮎川 美幸

私とは正反対の女の子

フワフワしてて

可愛くて

少し天然で……



……私の親友



「だから?」

ホントは湊が言おうとしてることくらい、わかる

湊はは……

「だから……あいつと話す機会をつくってくれねぇか?」

私を橋渡し役にして

美幸と仲良くなりたいんでしょ?



わかってた

湊の視線の先にいたのは私じゃなくて美幸なんだってこと

湊の好みは

私と正反対の

優しくてかわいい子なんだってこと



何年間一緒にいると思ってんの

ああ……だけど

一緒にいたからなのかな

湊との関係を壊したくないって思ったのは

自分の想いも伝えられない意気地なしになったのは……



『大好きだよ』

そんな一言がのどにつっかえて

出てきてくれない……



私は湊が好き


けれど……

だからこそ

背中を押すよ

湊のこと、応援する

笑顔で

『頑張れ』

って、言ってみせる

これが湊への唯一の想いの示し方

私は深呼吸をすると

湊の方に向き直り

ふふふっと笑みを浮かべて言った



「いいよ」

「サンキューな」

いつもなら嬉しくなる笑顔が、今日は見ていると苦しくて。

「頑張れ」

と無理やり声を絞り出して、強がった。





『好き』の意味を込めて……

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