87 / 88
その八十
しおりを挟む
リタの表情が少し恥ずかし気なのは見間違いではないだろう。
(なるほど……そういうこと)
意味がわからぬものはいなかった。
「リタ、何を……」
ラフィットの遮ろうとする言葉を無視して、リタは宣言する。
「ラフィットは私に……結婚を申し出てくれたのです!」
その言葉に対して二人が同時に反応。もちろんそれを嘘と気づいている二人だ。
「真っ赤な嘘です」
「あら、それは良かったわね!」
明らかに動揺しているラフィットと、口調まで踊っているフェニル。
(これが嘘と見抜くことは想定済みでしょうね。……となれば私がラフィットを弄る材料として――――あらぁ、なんて愉しそう)
「では私たちの話を聞く余裕などなかったでしょうね。ありがとう、リタ」
その礼は本心からのモノだ。
「うふふ、ふふふふふふっ」
自然と笑みがこぼれた。
「もう下がって良いわ。私もジュークと二人で話したいことがあるの」
二人で、の部分をあえて強調して言うフェニル。
そこに『あなたたちも二人で話したいことがあるでしょう』という意味も付けておいた。
「失礼します」
頭を下げると二人は部屋を出て行く。
再びフェニルとジュークだけが残ったその部屋。
(なるほど……そういうこと)
意味がわからぬものはいなかった。
「リタ、何を……」
ラフィットの遮ろうとする言葉を無視して、リタは宣言する。
「ラフィットは私に……結婚を申し出てくれたのです!」
その言葉に対して二人が同時に反応。もちろんそれを嘘と気づいている二人だ。
「真っ赤な嘘です」
「あら、それは良かったわね!」
明らかに動揺しているラフィットと、口調まで踊っているフェニル。
(これが嘘と見抜くことは想定済みでしょうね。……となれば私がラフィットを弄る材料として――――あらぁ、なんて愉しそう)
「では私たちの話を聞く余裕などなかったでしょうね。ありがとう、リタ」
その礼は本心からのモノだ。
「うふふ、ふふふふふふっ」
自然と笑みがこぼれた。
「もう下がって良いわ。私もジュークと二人で話したいことがあるの」
二人で、の部分をあえて強調して言うフェニル。
そこに『あなたたちも二人で話したいことがあるでしょう』という意味も付けておいた。
「失礼します」
頭を下げると二人は部屋を出て行く。
再びフェニルとジュークだけが残ったその部屋。
0
お気に入りに追加
263
あなたにおすすめの小説
【完結】貴方の望み通りに・・・
kana
恋愛
どんなに貴方を望んでも
どんなに貴方を見つめても
どんなに貴方を思っても
だから、
もう貴方を望まない
もう貴方を見つめない
もう貴方のことは忘れる
さようなら
婚約解消は君の方から
みなせ
恋愛
私、リオンは“真実の愛”を見つけてしまった。
しかし、私には産まれた時からの婚約者・ミアがいる。
私が愛するカレンに嫌がらせをするミアに、
嫌がらせをやめるよう呼び出したのに……
どうしてこうなったんだろう?
2020.2.17より、カレンの話を始めました。
小説家になろうさんにも掲載しています。
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
今さら救いの手とかいらないのですが……
カレイ
恋愛
侯爵令嬢オデットは学園の嫌われ者である。
それもこれも、子爵令嬢シェリーシアに罪をなすりつけられ、公衆の面前で婚約破棄を突きつけられたせい。
オデットは信じてくれる友人のお陰で、揶揄されながらもそれなりに楽しい生活を送っていたが……
「そろそろ許してあげても良いですっ」
「あ、結構です」
伸ばされた手をオデットは払い除ける。
許さなくて良いので金輪際関わってこないで下さいと付け加えて。
※全19話の短編です。
[完結]婚約破棄してください。そして私にもう関わらないで
みちこ
恋愛
妹ばかり溺愛する両親、妹は思い通りにならないと泣いて私の事を責める
婚約者も妹の味方、そんな私の味方になってくれる人はお兄様と伯父さんと伯母さんとお祖父様とお祖母様
私を愛してくれる人の為にももう自由になります
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる