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その六十

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 二人が降り立ったのはバルコニー。欄干には蔦が巻き付いている。

「ジューク、小瓶を……」

「わかった」

 そう頷くと、ジュークはフェニルの手をひき部屋の中へ入った。

 フェニルは頬をほんのりと朱に染めたが、それに逆らうことはしない。



 部屋の中と外では、ずいぶんと違う――――……と、そこで気づく。。

「先ほどの部屋と違いません?」

 先ほどの部屋はベッド、机などしか置かれていない質素な物だったが、こちらは#長椅子__カウチ__
#などもあり比較的豪華だ。

(それにあの部屋にはバルコニーなんて付いていなかったわ)

「ああ、それがどうかしたのか?」

「いえ……

 ――――そ、それより小瓶ですわ。見せて頂戴」
 
 フェニルが言うとジュークは机に目を向け、そうしてからその上に置いてあった小瓶を手に取った。

 それからフェニルの手にそれを渡す。
 
 フェニルはそれをじっと見たり、裏返してみたり、としているうちにあることに気がついた。
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