上 下
100 / 136

何歳までにこうするっていう目標設定も大事だけど、何歳までにって決めないのも大事。

しおりを挟む



何歳までにこうするっていう目標設定も大事だけど、
何歳までにって決めないのも大事。


①高校卒業後に、オーディション受ける時に決めてたこと。
 今年1年間オーディション受けてダメだったら、歌手の夢を諦める。
 結果的には、最後に受けたオーディションで合格して
 レッスンを受ける事になる。


②23歳までに上京、25歳までにデビュー出来なかったら、
 歌手の夢を諦める。
 これは、ズルズル生きたくないと思って、
 自分自身の勝負勘として、この年齢に設定した。
 250万の借金を抱えたことを理由に、22歳で歌手の夢を諦める。

20代前半のときは、こんなふうに何歳までにこうなるっていう
年齢を決めて、勝負勘を持って、生きていこうとしてた。

20代前半のときは、
30代・40代で売れないミュージシャンを続けてる大人の事を、
否定してたんですね。
売れてないのに、いい大人の年齢になっても、
音楽活動してる。
僕は、それがカッコ悪いと思ってたし、
そういう大人になりたくないと思ってた。



ところが、人生っていろんな出来事が起きるので、
物事の見方が変わるんです。
自分で目標設定していた年齢よりも、
ズレていってしまうわけです。

24歳で再度歌手の夢を持って、
25歳手前で福岡から上京をします。
そして、28歳までに芽が出なければ、
福岡に帰ろうという設定をする。

28歳までに芽が出なかった。
だから、また音楽活動を辞めた。
でも、福岡に帰らずに、東京に居続けた。

ここには、一つのプライドがあったわけです。
現実に負けて、夢を諦めて実家に帰るって、格好悪いなって。
せっかく母親が、歌手の夢を追う事に背中を押してくれたのに、
やっぱりダメでしたって、親の元へ帰るのって、
僕は親不孝だと思ったんです。

結局はアーティスト名を変えて、音楽活動を再開して、
33歳でインディーズレーベルからCDデビューする。

若い頃に、何歳までにこうなるって目標設定してたものは、
全てことごとくズレてるんです。

何歳までにって決める事自体は、
自分自身への勝負勘として、
必要だとも思うんです。
自分自身を追い込むためというか、
自分自身の逃げ道を塞ぐというか。


そういうのはあってもいいんだけど、
ただ目標達成できなかったからって、
辞めてもいけないなって思うんです。
自分自身で勝負かけてるわけだから、
潔く辞める方がカッコいいと思って、
続ける方がカッコ悪いと思ってしまいがちではあるんだけど、
自分自身が積み上げてきたものを
活かさないともったいないわけです。

いつしか僕は、いい大人の年齢になっても、
売れないミュージシャンを続けてる事が、
カッコ悪いという捉え方ではなく、
途中で辞める方が自分自身としてはカッコ悪いと思うようになった。

そして、若い時と価値観も変わっていきました。
若い時は、夢を叶えること、大きな成功をおさめることが、
一番の幸福なんだと思ってた。

ところが人生でいろんな経験をして、
いろんな人を見てきて、
夢を叶える=幸せとは限らない、
成功=幸せとは限らないことを知るわけです。

夢を叶えた事が、不幸のきっかけになる人もいる。
成功したからこそ、悪が近寄ってきて、犯罪者になる人もいる。


人生において、夢を叶えることや成功する事は、重要ではない。
そう思うようになったわけです。


じゃあ、幸せとは何なのか。
自分の好きな事を、自分の好きなペースで
自分の好きなようにやれる事。

そう思うようになってから、
僕は好きな事を仕事にしたいという気持ちは
無くなりました。
好きな事は、好きなペースで好きなようにやるからこそ、
それを好きで居続けることができる。

好きな事をやってるように見えても、何かに振り回されてる。
好きな事をやってるように見えても、自分の好きなやり方じゃない。
好きな事をやってるように見えても、事務的で義務感でこなすだけ。
少なくとも僕は、その状態では好きな事を嫌いになってしまうと思った。


好きな事なら、どんな苦しみがあっても乗り越えられる。
そんな綺麗事で乗り越えられるほど、人間は強い生き物じゃない。
現に、好きだった事を辞めてる人達が、たくさんいるわけだし。

僕にとって好きな事とは、ある意味逃げ道でもあります。
現実の世界で、いろんな苦しみがあって、辛い事があって、
それでも、好きな事がやれる時間があるって幸せだなと思ったり、
好きな事が気分転換になったり。


好きな事に重たいものを背負わせてしまうと、
楽しくなくなっちゃうんです。
好きな事で苦しみを感じてしまうと、
生きる事自体が苦痛にもなってしまうんです。

だから僕は、音楽活動で生活したいと思わなくなった。
それを言うと、人は趣味でやってるんだと捉えてしまう。
だけど、ライブに出たり、音楽活動は趣味ではないです。

カラオケは趣味だけど、音楽活動は趣味ではないんです。
自分で自分の事を、シンガーソングライター、アーティスト、
シンガーと言ってしまうのは、趣味じゃないからなんです。
趣味だったら、自分でそんなふうに思わないからです。

プライドみたいなものです。
自分で積み上げてきたもの。自分が歩んできた人生。
それらを含めて、自分はシンガーソングライターでありたい。
自分はシンガー、アーティストでありたい。
自分でそう思える人生を生きていたい。

そんなふうに思うようになってしまうから、
いい大人の年齢の人達が、
売れないミュージシャンを続けてるんだろうなと思う。

売れてて続けられるのは当たり前なんです。
需要があって続けられるのは当たり前なんです。

売れてないのに、需要がないのに続けてる人が、
本当は誰よりも音楽が好きな人なんだと思う。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

体育教師に目を付けられ、理不尽な体罰を受ける女の子

恩知らずなわんこ
現代文学
入学したばかりの女の子が体育の先生から理不尽な体罰をされてしまうお話です。

生意気な女の子久しぶりのお仕置き

恩知らずなわんこ
現代文学
久しくお仕置きを受けていなかった女の子彩花はすっかり調子に乗っていた。そんな彩花はある事から久しぶりに厳しいお仕置きを受けてしまう。

妻がエロくて死にそうです

菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。 美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。 こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。 それは…… 限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常

同僚くすぐりマッサージ

セナ
大衆娯楽
これは自分の実体験です

お尻たたき収容所レポート

鞭尻
大衆娯楽
最低でも月に一度はお尻を叩かれないといけない「お尻たたき収容所」。 「お尻たたきのある生活」を望んで収容生となった紗良は、収容生活をレポートする記者としてお尻たたき願望と不安に揺れ動く日々を送る。 ぎりぎりあるかもしれない(?)日常系スパンキング小説です。

双葉病院小児病棟

moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。 病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。 この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。 すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。 メンタル面のケアも大事になってくる。 当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。 親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。 【集中して治療をして早く治す】 それがこの病院のモットーです。 ※この物語はフィクションです。 実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。

ずっと女の子になりたかった 男の娘の私

ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。 ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。 そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。

処理中です...