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屈伸をし、軽く肩を回す。
プラプラと腕を振る隣では、カイルが手をボッキボキと鳴らしていた。

「よろしくー指揮官!!」

「頼んだぜ!指揮官!!」

気のいい声をかけてくるのはクラスメイトや隣のクラスの顔見知り。

「その呼び名はやめてくれないかい?」

「ええーなんで?いいじゃん別に」

指揮官呼びを咎めるも周りの奴らは笑うばかりで取り合ってくれそうもない。

「で、どーするよ指揮官?」

周囲のノリに乗るようにカイルまでがその呼び方をして好戦的な顔を向けてきた。


本日の3、4限は校庭での模擬戦だ。

実技の授業は男女別なので代わりに2クラス合同で行う。
男子である俺たちは教官の「じゃ、今日はチーム対抗の模擬戦でもするか!」という思い付きにより模擬戦開催が急遽決定。

と、言っても半ばお遊びなのでメンバーは自由。

4、5人でチームを作ることになってすぐさま声をかけてきたのはカイルで、クラスメイトと隣のクラスの顔見知りも加わってメンバーはすぐに決まった。

そして何故か立候補もしてないのに指揮官にも決定したらしい……。

メンバーが自由なのでチームごとに実力差がハンパない。
ってことでトーナメント式などでなく、対戦相手も自由というなんともフリーダムな状態だ。

「絶っ対ぇに負けねぇ!!覚悟しやがれ!カイル!!」

指を突きつけて宣言してきたのはカイルがよく手合わせしている隣のクラスの生徒で、カイルも威勢よくそれに返している。

……正直、俺はもっと地味目な奴らと組んで、地味目な奴らと対戦したかった。

今からでも “チェンジ!” を言い渡したいが、それが出来る感じでもない。
だって目立つ奴ら同士の対戦に周囲の盛り上がりがハンパない。

「おおっ!やれやれー!」

「どっちが勝つかジュース賭ける?」

「おっいいね。カイルに賭けるやつー!」

授業中に堂々と賭けしてんじゃねぇよ。

教官も止めろよ。
なんであんたまで「どっちに賭けるか」なんて参加する気満々なんだよ。

そしてただっぴろい校庭の反対側で魔法の実技訓練してた女生徒たちまで、完全に授業中断して観戦&応援体制に入ってるし。
キャアキャアした声援が飛び交う。

試合前の作戦会議。
適当に輪になって話し合い。

「どういう作戦でいくんだ?」

覗き込むように話しかけてきたのは隣のクラスのアダム。
美形の雰囲気は醸し出しているのに長い前髪で目元を隠したコイツも結構強い。スピード特化。

あとの二人は俺と同じく “そこそこ” って感じだろうか。

なので主力はカイルとアダム。

「折角だから完膚なきまでに打ち負かせてやろうぜ」

楽しそうだなカイル。
根っからの戦闘民族だけあって活き活きしてやがる。

……っていうか俺の指示待ちなのコレ?

校外学習の所為せいで変な称号つけられたけど、別に戦闘に詳しいわけでもなんでもないんですけど。
ゲームキャラ以外の戦闘スタイルとかよくわかんねぇし。
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