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しおりを挟む不機嫌な様子が見てとれるレイヴァンの前で、それ以上ゼリファンのことを追求されずに何よりだ。
友人付き合いが長いだけあって、リーゼロッテ様もこれ以上その話題を続ければ本格的に彼の機嫌を損ねることをわかっているのだろう。
それでも名残惜しそうに興味深々な瞳は向けられていたが……。
遅れて戻ってきた王子を待って食事を開始。
休暇中の話などをしつつ、またさっきみたいなやりとりをするのはめんどくせぇなと思いつつもカイルとレイヴァンを見る。
3人に既に話してるってことはカイルにも話した方がいいのだろう。
現にリーゼロッテ様たちがやたらと俺らの休日のことを聞きたがるのと、若干にやにやした表情にカイルも違和感を感じているようだし。
レイヴァンを見れば彼も同じことを思ったようでコクリと頷かれた。
「カイル、実は……」
「なんすか?ついに付き合いはじめでもしました?」勘
フォークを置いたレイヴァンが言い終わる前に、さらっと解答を叩き出された。
数秒の沈黙。
「あれっ?もしかして当たってました?」
「よく、わかりましたね?」
「うーん、なんとなく?そんな気もしたけど、ムズそうだなーとも思ってたんで半分勘っすけど」
やたら鋭いな。
コイツ野生の勘とか強そうだしな。
あと遊び慣れてるしな。
「でも意外っす。レイヴァン様もっと外堀埋めてから告るかと思いました。長期戦でガッツリ逃げ場なくすまで追い込むかなーって。焦って方針でも変えました?」
「……その予定でした」
そんな予定だったのっっ?!
思わず吃驚してレイヴァンを見た。
素知らぬ顔のレイヴァンにカツレツを豪快に放り込みながらカイルが笑う。
「あとラファエルが受けたのが意外っちゃ意外。好意以前に性別とか将来とか気にしてお断りしそうな気がしてたし。お前、真面目だしなー」
揶揄からかうように頬杖を吐いてかけられた言葉になにも言えない。
ねぇ、コイツ本当に鋭すぎない?
「実際それでお断りされました。論破の末、押し切りましたが」
「ぷっ!!レイヴァン様って論破めっちゃ得意そうですよね。じゃあ納得っす。ラファエル真面目だけど押しに弱そうなとこあるし」
「ええ、非常に危なっかしいです」
んでもって、俺の評価ってどうなってんの?
「でもまっ、おめでとさん」
ものすごく納得いかない気分のまま食事を続ける俺とレイヴァンへかけられた祝いの言葉。
アレンたちからも祝いの言葉をかけられちょっと照れくさい。
話題変換をはかって「そういえば」と口を開いた。
「あれからシエルが皆さまの話をよくするんですよ。絵本の中の王子さまやお姫さまみたいだったって感激したみたいです」
「おー、シエルくん元気?」
「元気だよ。ただうっかり彼女の前でリーゼロッテ様のことをお姫さまみたいって言っちゃったみたいでね、怒らせてしょんぼりしてたけど」
「……シエルは彼女がいるんですか?」
「うん。年上の美少女」
「シエルくんやるじゃん!」
わりかし和気あいあいと話していると「ラファエル様」と静かに名前を呼ばれた。
静かで改まったその声音に会話を止めると、食事が終わり、スプーンを皿へと置いたリーゼロッテ様のローズピンクの瞳が真っすぐに俺を射抜いていた。
「ちょっとお話があるのですが。お時間をいただけまして?」
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