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久しぶりに兄弟揃って談笑していると、たたたたたっと先程より軽い足音が響いた。

「ただいま!」

元気いっぱいに駆け寄ってきたのは淡い金髪に澄んだ翠の瞳の美少年。

「パパ、エルくんただいま!あっ、お菓子!」

パパという呼び名からも分かる通り、兄さんの子供で俺の甥っ子。

俺の呼び名は兄さんと同じく「エルくん」だ。
まだ十代半ばで「おじさん」って呼び名は断固拒否する。それ以外なら別になんでもいい。

でもまぁ……ある意味コイツも「エルくん」なんだよな。

ゲームキャラにも引けをとらない美少年っぷりの甥っ子の名はシエル。

被ってて当然。
だって「エルくんの名前から取ったんだ!」って子供が出来た時に兄さんが自信満々で言ってたし。

兄さん……何故に弟の名前をつける?
そこはもっとこう色々とさぁ……。

「こらシエル。ちゃんと手を洗いなさい」

「はーい」

現れた美人さんの言葉に素直に従うシエル。
キツめの、こちらもゲームキャラでも可笑しくない迫力美人はエルザさん。兄さんのお嫁さんだ。
シエルの美貌は義姉さんからの遺伝だろう。
性格は断然兄さん似だけど。

「ラファエルくん体調はもういいの?」

「はい、大丈夫です。ご心配をおかけしました」

「本当に心配したよぉ~」

「泣かないの、セラフィ。本当にもう、どっちが年上だかわからないわね。今日の夕食はお肉だからね。魔法を使い過ぎると消耗が激しいんでしょう?食べ盛りなんだし沢山食べてね」

エルザさんのお言葉に「ありがとうございます」と返していると戻ってきたシエルが俺と兄さんの間に割り込んで菓子へと手を伸ばした。
狭いだろうとソファの端へと寄ってやる。

「エルくんいっぱい魔獣をやっつけたんでしょう?すごい!カッコいい!!」

「そうだよ!エルくんはカッコいいんだ!」

なんだろう……この親子のほのぼの感。

こういうタイプが母性だの庇護欲をそそるんだろうか?
現に超絶美人のエルザさんは仕方がないわね、という表情をしながらもそのは至って愛し気だ。

兄さんが結婚相手としてエルザさんを連れて来たときは正直「上手いことやりやがって!」と思わずにはいられなかった。
だって美人なだけじゃなくボイン。

どうやって捕まえたんだと思ったが、どうやら捕まったのは兄さんの方っぽい。

「あのね、このまえローズちゃんがね……」

可愛らしい声でシエルが語るローズちゃんはシエルの彼女。
二つ年上の将来美人間違いなしのおませな女の子だ。
こちらもあねさん女房のごとくシエルがせっせっと世話をされているのを何度か見かけた。

なぜだ……。
“放っておけない可愛さ” こそが女子のハートをくすぐるのか。

イケメンに生まれてラッキー!とか思っていたが、

世は “可愛い男” の時代なのか……!!

いやでも、いまから可愛い系目指すには俺にはハードルが高すぎるっ!!

そんな煩悩ぼんのうを抱え悶々とする俺。

そして怪我をした息子が久々に帰省したというのに、両親はラブラブデート中ですよ。もういい年なのにほんと仲いいな。

なんなの、この独り身に優しくない実家……。

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