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しおりを挟む結論。
トンズラはこけませんでした。
一応新入生歓迎会だしと
「改めましてご入学おめでとうございます。皆様の学園生活が良きものとなりますように」
とか祝いの言葉を告げて華麗に退場しようとしたんだけど……。
足を踏みだしたと同時にレイヴァンに声をかけられてあえなく逃走失敗。
「ありがとうございました。本当に助かりました」
「いえいえ。身分を抜きにしても皆様今日は一段と華やかですから、あのご令嬢も余計に緊張してパニックを起こしてしまったんでしょう」
一般人には君らはハードル激高だからね。
ね?だからそろそろ俺も解放してほしいなー?
ちょ、ちょっと待って。
なんで王子やリーゼロッテ様までナチュラルに会話に参加してくるんですか?
えっ、このまま談笑パターン?
勘弁して……めっちゃ注目浴びてるんですけどー。
俺まで過呼吸起こしそうになったらどうすんの?
「さっき彼女にした行動は意味があるんですか?瞳の前で何かしてましたよね」
「パニックを起こしていたようなので一先ず呼吸を落ち着かせようと思って。手を近づけたのと花は彼女の意識をパニックの原因からそらして、こちらへ向けるためですね。声が届いてるか怪しかったですし」
「あの魔法はなんですか?」
「水で濡らして汚れを分解して蒸発させただけです」
「変わった魔法の使い方をするな。はじめて見た」
「そうですね。あまりああいう使い方をするのは珍しいかもしれません。でも便利ですよ」
「お花を出された魔法もとっても素敵でしたわ」
「ありがとうございます。ドレスのお色とも合いますし、宜しければどうぞ」
好奇心旺盛らしいレイヴァンは俺の行動や魔法が気になるようだ。
矢継ぎ早に色々尋ねられた。
しかも殿下やリーゼロッテ様も興味津々で会話にのってくるし。
そりゃーあんな庶民的な魔法の使い方する奴あんまいないでしょうよ。
お洗濯魔法、メイドたちには大好評なんだが……。
この世界、高位貴族ほど魔力量が高い奴らが多い。
天は二物を与えず、とかいうけど嘘っぱちもはなはだしいな!!
地位に権力、ルックスに魔力と何物与えられてんだ……。
でもまぁ、持ちうる者には持ちうる者の悩みや責務があるんだろうし。
変わってやると言われてもノーセンキューだけど。
気楽な “それなり” 程度が俺にあってる。
……で、脱線したが。
高位貴族ほど魔力量が高い、っていうのが以前俺が言ってた「王子や高位貴族が闘ってるのってどうよ?」の真相だ。
つまり王族・高位貴族は強ぇんだわ。
まぁ、実際は王子や高位貴族が単身闘ってるって現状はねぇけど。
流石にアレはゲーム仕様だった。
王族や高位貴族が討伐やクラウ・ソラスに所属することはあるけど、一人で敵地に突っ込んだりはしない。
あとゲームでは攻撃放てばとりあえず当たるぐらいにウヨウヨ魔獣が沸いて出たけど、魔獣だってあそこまで多くない。
むしろあんな国だったら平民たちはみんな死ぬ。
そして何事も “それなり” な俺は魔力量も少なくはないが多くもない。
でもまぁ、細かい操作はそれなりに得意だし、前世の記憶のお陰で発想力や機転はきくっぽい。
それはともかく、俺はいつになったら解放されるのでしょうか……?
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