上 下
12 / 132

12

しおりを挟む

結論。
トンズラはこけませんでした。

一応新入生歓迎会だしと

「改めましてご入学おめでとうございます。皆様の学園生活が良きものとなりますように」

とか祝いの言葉を告げて華麗に退場しようとしたんだけど……。

足を踏みだしたと同時にレイヴァンに声をかけられてあえなく逃走失敗。


「ありがとうございました。本当に助かりました」

「いえいえ。身分を抜きにしても皆様今日は一段と華やかですから、あのご令嬢も余計に緊張してパニックを起こしてしまったんでしょう」

一般人には君らはハードル激高だからね。

ね?だからそろそろ俺も解放してほしいなー?

ちょ、ちょっと待って。
なんで王子やリーゼロッテ様までナチュラルに会話に参加してくるんですか?
えっ、このまま談笑パターン?

勘弁して……めっちゃ注目浴びてるんですけどー。
俺まで過呼吸起こしそうになったらどうすんの?

「さっき彼女にした行動は意味があるんですか?瞳の前で何かしてましたよね」

「パニックを起こしていたようなので一先ず呼吸を落ち着かせようと思って。手を近づけたのと花は彼女の意識をパニックの原因からそらして、こちらへ向けるためですね。声が届いてるか怪しかったですし」

「あの魔法はなんですか?」

「水で濡らして汚れを分解して蒸発させただけです」

「変わった魔法の使い方をするな。はじめて見た」

「そうですね。あまりああいう使い方をするのは珍しいかもしれません。でも便利ですよ」

「お花を出された魔法もとっても素敵でしたわ」

「ありがとうございます。ドレスのお色とも合いますし、宜しければどうぞ」

好奇心旺盛おうせいらしいレイヴァンは俺の行動や魔法が気になるようだ。
矢継ぎ早に色々尋ねられた。
しかも殿下やリーゼロッテ様も興味津々で会話にのってくるし。

そりゃーあんな庶民的な魔法の使い方する奴あんまいないでしょうよ。
お洗濯魔法、メイドたちには大好評なんだが……。

この世界、高位貴族ほど魔力量が高い奴らが多い。

天は二物を与えず、とかいうけど嘘っぱちもはなはだしいな!!
地位に権力、ルックスに魔力と何物与えられてんだ……。

でもまぁ、持ちうる者には持ちうる者の悩みや責務があるんだろうし。
変わってやると言われてもノーセンキューだけど。

気楽な “それなり” 程度が俺にあってる。

……で、脱線したが。

高位貴族ほど魔力量が高い、っていうのが以前俺が言ってた「王子や高位貴族が闘ってるのってどうよ?」の真相だ。

つまり王族・高位貴族は強ぇんだわ。

まぁ、実際は王子や高位貴族が単身闘ってるって現状はねぇけど。
流石さすがにアレはゲーム仕様だった。

王族や高位貴族が討伐やクラウ・ソラスに所属することはあるけど、一人で敵地に突っ込んだりはしない。
あとゲームでは攻撃放てばとりあえず当たるぐらいにウヨウヨ魔獣が沸いて出たけど、魔獣だってあそこまで多くない。
むしろあんな国だったら平民たちはみんな死ぬ。

そして何事も “それなり” な俺は魔力量も少なくはないが多くもない。
でもまぁ、細かい操作はそれなりに得意だし、前世の記憶のお陰で発想力や機転はきくっぽい。

それはともかく、俺はいつになったら解放されるのでしょうか……?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうやら俺は悪役令息らしい🤔

osero
BL
俺は第2王子のことが好きで、嫉妬から編入生をいじめている悪役令息らしい。 でもぶっちゃけ俺、第2王子のこと知らないんだよなー

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

モブらしいので目立たないよう逃げ続けます

餅粉
BL
ある日目覚めると見慣れた天井に違和感を覚えた。そしてどうやら僕ばモブという存存在らしい。多分僕には前世の記憶らしきものがあると思う。 まぁ、モブはモブらしく目立たないようにしよう。 モブというものはあまりわからないがでも目立っていい存在ではないということだけはわかる。そう、目立たぬよう……目立たぬよう………。 「アルウィン、君が好きだ」 「え、お断りします」 「……王子命令だ、私と付き合えアルウィン」 目立たぬように過ごすつもりが何故か第二王子に執着されています。 ざまぁ要素あるかも………しれませんね

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

秘匿された第十王子は悪態をつく

なこ
BL
ユーリアス帝国には十人の王子が存在する。 第一、第二、第三と王子が産まれるたびに国は湧いたが、第五、六と続くにつれ存在感は薄れ、第十までくるとその興味関心を得られることはほとんどなくなっていた。 第十王子の姿を知る者はほとんどいない。 後宮の奥深く、ひっそりと囲われていることを知る者はほんの一握り。 秘匿された第十王子のノア。黒髪、薄紫色の瞳、いわゆる綺麗可愛(きれかわ)。 ノアの護衛ユリウス。黒みかがった茶色の短髪、寡黙で堅物。塩顔。 少しずつユリウスへ想いを募らせるノアと、頑なにそれを否定するユリウス。 ノアが秘匿される理由。 十人の妃。 ユリウスを知る渡り人のマホ。 二人が想いを通じ合わせるまでの、長い話しです。

婚約破棄される悪役令嬢ですが実はワタクシ…男なんだわ

秋空花林
BL
「ヴィラトリア嬢、僕はこの場で君との婚約破棄を宣言する!」  ワタクシ、フラれてしまいました。  でも、これで良かったのです。  どのみち、結婚は無理でしたもの。  だってー。  実はワタクシ…男なんだわ。  だからオレは逃げ出した。  貴族令嬢の名を捨てて、1人の平民の男として生きると決めた。  なのにー。 「ずっと、君の事が好きだったんだ」  数年後。何故かオレは元婚約者に執着され、溺愛されていた…!?  この物語は、乙女ゲームの不憫な悪役令嬢(男)が元婚約者(もちろん男)に一途に追いかけられ、最後に幸せになる物語です。  幼少期からスタートするので、R 18まで長めです。

ツンデレ貴族さま、俺はただの平民です。

夜のトラフグ
BL
 シエル・クラウザーはとある事情から、大貴族の主催するパーティーに出席していた。とはいえ歴史ある貴族や有名な豪商ばかりのパーティーは、ただの平民にすぎないシエルにとって居心地が悪い。  しかしそんなとき、ふいに視界に見覚えのある顔が見えた。 (……あれは……アステオ公子?)  シエルが通う学園の、鼻持ちならないクラスメイト。普段はシエルが学園で数少ない平民であることを馬鹿にしてくるやつだが、何だか今日は様子がおかしい。 (………具合が、悪いのか?)  見かねて手を貸したシエル。すると翌日から、その大貴族がなにかと付きまとってくるようになってーー。 魔法の得意な平民×ツンデレ貴族 ※同名義でムーンライトノベルズ様でも後追い更新をしています。

龍の寵愛を受けし者達

樹木緑
BL
サンクホルム国の王子のジェイドは、 父王の護衛騎士であるダリルに憧れていたけど、 ある日偶然に自分の護衛にと推す父王に反する声を聞いてしまう。 それ以来ずっと嫌われていると思っていた王子だったが少しずつ打ち解けて いつかはそれが愛に変わっていることに気付いた。 それと同時に何故父王が最強の自身の護衛を自分につけたのか理解す時が来る。 王家はある者に裏切りにより、 無惨にもその策に敗れてしまう。 剣が苦手でずっと魔法の研究をしていた王子は、 責めて騎士だけは助けようと、 刃にかかる寸前の所でとうの昔に失ったとされる 時戻しの術をかけるが…

処理中です...