43 / 44
第1章
第39話 獣人
しおりを挟む
マックスを伴って『赤い狐亭』に戻ってきた。
「ほんとに明日、出発しちゃうの?」
食堂の席につくなりマックスが尋ねてくる。しゅぅんと垂れた犬耳が可愛い。
「うん。全然遊んだりできなくてごめんね」
ミーコが申し訳なさそうに答える。
「それは、オレも畑の手伝いで忙しかったからしょうがないよ。でも、この国のこととか色々教えるって約束してたから……」
そういえば、サーヤが「教えてね」とか言ってたんだよな。まぁあの時だけでも色々教えてもらえて助かったんだけど。そう思っていると、今度はサーヤが俯いたマックスの顔を覗き込みながら言う。
「じゃあ、今日これから色々教えてくれる?」
「う、うん! もちろん! 何でも聞いてよ!」
とたん、マックスの顔がパァっと明るくなり、垂れていた耳もシャキっと立っている。感情が耳や尻尾に表れるのは、見ていて面白いな。
しかし、アリアやエステバン王国の一般常識やら大まかな地理やらは、既にアヤメさんやケビンさんに聞いている。今さらマックスに聞きたいことも思い浮かばないのだが……。サーヤは何を聞くつもりなんだろうか?
「それじゃあ、えーっと……、そうそう! 私達のいたところには人族しかいなかったから、獣人族についえ教えてくれるかな?」
おお! 俺としたことが、なぜ今までそれに思い至らなかったのか。サーヤ、ナイスだ!
「へ~、そうなの? でも獣人って、耳や尻尾があるだけで他は人族とほとんど同じだよ?」
「そうなの? でも耳と尻尾だけでも興味深いわ。前に耳は触られるとくすぐったいって言ってたよね? 尻尾はどんな感じなの?」
「尻尾か~。えっと、尻尾もちょっとくすぐったいかな。種族にもよるけど、たいていの獣人族は尻尾をとっても大事にしてるんだ! 尻尾がキレイじゃないとモテないわよ、って母さん言ってたし」
なるほど。確かにフワフワモフモフな尻尾は魅力的だな。
「マックスくんのシッポもフワフワで可愛いよね! シッポ触っていい?」
ミーコが、言いながら既に手を伸ばしている。俺も尻尾を撫でたい衝動にかられるが、マックスが嫌がっているようなので、動きかけた手を引っ込めた。
「えっ! ちょ、ちょっと待ってミーコ姉ちゃん!」
「いいじゃん、減るもんじゃないし」
「わっ、ま、待って、やめてー!」
「わ~、やっぱりフワフワ~!」
「ぎゃー!!」
減るもんじゃないから触らせろ、ってセクハラオヤジか。
「もー、ちょっとくらいいいじゃん。この前は耳も触ったし!」
「ダメなんだよぉ~。この前のこと母さんに話したら、耳や尻尾は簡単に触らせちゃダメって言われたんだ。触ったり触らせてもいいのは、恋人や夫婦だけだって……」
「「「……」」」
なるほど、要は獣人の耳や尻尾は敏感な性感帯のようなものだと。マックスはまだ10歳くらいだから「くすぐったい」と表現したが、そりゃあ気軽に揉み倒しちゃダメだろう。あー良かった、俺は思い止まって。
マックスは、またもや耳をしゅぅんと垂らし、尻尾を足の間に巻き込んで涙目になっている。その様があまりに可哀相で、皆でミーコに冷たい視線を送った。
「う、ご、ごめんねマックスくん。もう絶対触らないから! ホントごめん!」
「うん……。いいよ、ミーコ姉ちゃん知らなかったんだもんね!」
ミーコの必死の謝罪に、マックスはニコリと笑顔を向けた。
「あ、ありがと~、マックスくん!」「わっ、わぁっ! もう、危ないよミーコ姉ちゃん」
ミーコはホッとした顔でマックスにガバッと抱きつく。今度はマックスも、ミーコの勢いにビックリしただけで嫌がってはいないけど……それもセクハラだな。
まぁとりあえずこの話はここまでにして、他にも獣人について教えてもらわないとな。
「それでマックス、獣人族ってホントに耳や尻尾が違うだけなのか? 力が強かったり凄く鼻が利いたりとか、そういうのはないのか?」
「あっ、そうか! そうだね、熊人族のターナーさんなんかはすっごく力持ちだよ! あと、オレたち犬人族は鼻とか耳がいいかな~?」
「へ~、やっぱ獣の特徴が出るんっすね~」
「そうだ! フォンド村では出会ってないけど、猫の獣人さんとかもいるよね!? ね?」
ミーコが何やら目をキラキラさせてマックスに詰め寄る。ミーコは呼び名が猫っぽいからか、昔から猫好きだけど、この食いつきはなんだろう?
「いるよ。ずっと前にフォンド村に来た冒険者の中にもいたかなー」
「ホント!? ね、じゃあ、猫人族って、「な」が「にゃ」になったり語尾に「にゃ」がついたりする?」
おお! いい質問だミーコ!さすがセクハラ女子高生!
「にゃ? う、うーん、ごめん、ちょっとわかんないな」
マックスはちょっと引き気味で答える。わからないのは残念だが、まぁ、真相は今後の楽しみにとっておこう。
それはそうと、実はもう一つ気になっている事がある。そっちを聞いてみるか。
「なあマックス、獣人と人族の間にも子どもはできるんだよな? その場合、その子どもはハーフになるのか? あと、例えば犬人族と熊人族の間の子どもはどんな風になるんだ?」
一郎さんの子孫がノバラ達なんだから、異種族で子どもができないことはないはずだ。しかし、ノバラやアヤメさんは普通に獣人ぽいんだよな。それに、従兄のケインさんは、逆に完全に人族っぽいし。遺伝の法則とかが地球とは違うんだろうか。
「ハーフ? ってのが何かわかんないけど、獣人と人族の間の子どもなら獣人か人族かどっちになるかわかんないし、親が犬人族と熊人族なら子どもも犬人族か熊人族のどっちかになるかな」
「なるほど。混ざったりすることはないと……。じゃあ犬の耳に熊の尻尾とかの不思議獣人はいないわけだ」
「ぶっ! あはははは! ユウ兄ちゃんって意外とオモシロイこと言うんだね!」
え、そんな笑うとこ? いや犬耳×熊尻尾の人が実際いたら面白いかもしれんが……、いや、そうか。こっちにはもともとハーフなんて概念がなさそうだから、両親の特徴が混ざるっていう発想もないのかも? でも目は父親似で鼻は母親似とかってことはあるだろう? そんな変なこと言ったかな……。
その後、ノバラが運んできた料理を食べつつ色々ゆっくりと話した。獣人のこと以外にも、フォンド村にはいなかったエルフやドワーフなんかも存在していると聞いて、俺たちのテンションは上がった。ドワーフはともかく、エルフはやっぱりレアな存在のようだが、美形のエルフ(女性限定)には是非会いたい。
食事後にマックスを家に送って食堂に戻ると、ずいぶん客が少なくなっていた。いつもより少し早い時間な気がするが、今日はそろそろ閉店になるだろうか。
俺たちはアヤメさんに断って、食器洗いやテーブル拭きなどの手伝いをさせてもらった。色々教えてもらったり差し入れしてもらったりと散々お世話になったから、ちょっとしたお礼のつもりだ。それに、アヤメさん達の仕事が早く終われば、少し話す時間も取れるだろうし。
そういう訳で手伝いに励み、その後アヤメさんとノバラと一緒に少しゆっくり話をした。アヤメさんから、バスタナの町に行く機会があったら『銀皿亭』という食堂兼酒場に寄って、女将に手紙を渡して欲しいと預かった。他愛もない内容なので、行く機会がなければ渡さなくていいと言われたが、バスタナへはギルド登録のために行くつもりだ。そう遠くない内に届けられるだろう。
明日はいよいよ出発だ。2人にはしっかりお礼を伝えて、遅くならないうちに寝ることにした。
「ほんとに明日、出発しちゃうの?」
食堂の席につくなりマックスが尋ねてくる。しゅぅんと垂れた犬耳が可愛い。
「うん。全然遊んだりできなくてごめんね」
ミーコが申し訳なさそうに答える。
「それは、オレも畑の手伝いで忙しかったからしょうがないよ。でも、この国のこととか色々教えるって約束してたから……」
そういえば、サーヤが「教えてね」とか言ってたんだよな。まぁあの時だけでも色々教えてもらえて助かったんだけど。そう思っていると、今度はサーヤが俯いたマックスの顔を覗き込みながら言う。
「じゃあ、今日これから色々教えてくれる?」
「う、うん! もちろん! 何でも聞いてよ!」
とたん、マックスの顔がパァっと明るくなり、垂れていた耳もシャキっと立っている。感情が耳や尻尾に表れるのは、見ていて面白いな。
しかし、アリアやエステバン王国の一般常識やら大まかな地理やらは、既にアヤメさんやケビンさんに聞いている。今さらマックスに聞きたいことも思い浮かばないのだが……。サーヤは何を聞くつもりなんだろうか?
「それじゃあ、えーっと……、そうそう! 私達のいたところには人族しかいなかったから、獣人族についえ教えてくれるかな?」
おお! 俺としたことが、なぜ今までそれに思い至らなかったのか。サーヤ、ナイスだ!
「へ~、そうなの? でも獣人って、耳や尻尾があるだけで他は人族とほとんど同じだよ?」
「そうなの? でも耳と尻尾だけでも興味深いわ。前に耳は触られるとくすぐったいって言ってたよね? 尻尾はどんな感じなの?」
「尻尾か~。えっと、尻尾もちょっとくすぐったいかな。種族にもよるけど、たいていの獣人族は尻尾をとっても大事にしてるんだ! 尻尾がキレイじゃないとモテないわよ、って母さん言ってたし」
なるほど。確かにフワフワモフモフな尻尾は魅力的だな。
「マックスくんのシッポもフワフワで可愛いよね! シッポ触っていい?」
ミーコが、言いながら既に手を伸ばしている。俺も尻尾を撫でたい衝動にかられるが、マックスが嫌がっているようなので、動きかけた手を引っ込めた。
「えっ! ちょ、ちょっと待ってミーコ姉ちゃん!」
「いいじゃん、減るもんじゃないし」
「わっ、ま、待って、やめてー!」
「わ~、やっぱりフワフワ~!」
「ぎゃー!!」
減るもんじゃないから触らせろ、ってセクハラオヤジか。
「もー、ちょっとくらいいいじゃん。この前は耳も触ったし!」
「ダメなんだよぉ~。この前のこと母さんに話したら、耳や尻尾は簡単に触らせちゃダメって言われたんだ。触ったり触らせてもいいのは、恋人や夫婦だけだって……」
「「「……」」」
なるほど、要は獣人の耳や尻尾は敏感な性感帯のようなものだと。マックスはまだ10歳くらいだから「くすぐったい」と表現したが、そりゃあ気軽に揉み倒しちゃダメだろう。あー良かった、俺は思い止まって。
マックスは、またもや耳をしゅぅんと垂らし、尻尾を足の間に巻き込んで涙目になっている。その様があまりに可哀相で、皆でミーコに冷たい視線を送った。
「う、ご、ごめんねマックスくん。もう絶対触らないから! ホントごめん!」
「うん……。いいよ、ミーコ姉ちゃん知らなかったんだもんね!」
ミーコの必死の謝罪に、マックスはニコリと笑顔を向けた。
「あ、ありがと~、マックスくん!」「わっ、わぁっ! もう、危ないよミーコ姉ちゃん」
ミーコはホッとした顔でマックスにガバッと抱きつく。今度はマックスも、ミーコの勢いにビックリしただけで嫌がってはいないけど……それもセクハラだな。
まぁとりあえずこの話はここまでにして、他にも獣人について教えてもらわないとな。
「それでマックス、獣人族ってホントに耳や尻尾が違うだけなのか? 力が強かったり凄く鼻が利いたりとか、そういうのはないのか?」
「あっ、そうか! そうだね、熊人族のターナーさんなんかはすっごく力持ちだよ! あと、オレたち犬人族は鼻とか耳がいいかな~?」
「へ~、やっぱ獣の特徴が出るんっすね~」
「そうだ! フォンド村では出会ってないけど、猫の獣人さんとかもいるよね!? ね?」
ミーコが何やら目をキラキラさせてマックスに詰め寄る。ミーコは呼び名が猫っぽいからか、昔から猫好きだけど、この食いつきはなんだろう?
「いるよ。ずっと前にフォンド村に来た冒険者の中にもいたかなー」
「ホント!? ね、じゃあ、猫人族って、「な」が「にゃ」になったり語尾に「にゃ」がついたりする?」
おお! いい質問だミーコ!さすがセクハラ女子高生!
「にゃ? う、うーん、ごめん、ちょっとわかんないな」
マックスはちょっと引き気味で答える。わからないのは残念だが、まぁ、真相は今後の楽しみにとっておこう。
それはそうと、実はもう一つ気になっている事がある。そっちを聞いてみるか。
「なあマックス、獣人と人族の間にも子どもはできるんだよな? その場合、その子どもはハーフになるのか? あと、例えば犬人族と熊人族の間の子どもはどんな風になるんだ?」
一郎さんの子孫がノバラ達なんだから、異種族で子どもができないことはないはずだ。しかし、ノバラやアヤメさんは普通に獣人ぽいんだよな。それに、従兄のケインさんは、逆に完全に人族っぽいし。遺伝の法則とかが地球とは違うんだろうか。
「ハーフ? ってのが何かわかんないけど、獣人と人族の間の子どもなら獣人か人族かどっちになるかわかんないし、親が犬人族と熊人族なら子どもも犬人族か熊人族のどっちかになるかな」
「なるほど。混ざったりすることはないと……。じゃあ犬の耳に熊の尻尾とかの不思議獣人はいないわけだ」
「ぶっ! あはははは! ユウ兄ちゃんって意外とオモシロイこと言うんだね!」
え、そんな笑うとこ? いや犬耳×熊尻尾の人が実際いたら面白いかもしれんが……、いや、そうか。こっちにはもともとハーフなんて概念がなさそうだから、両親の特徴が混ざるっていう発想もないのかも? でも目は父親似で鼻は母親似とかってことはあるだろう? そんな変なこと言ったかな……。
その後、ノバラが運んできた料理を食べつつ色々ゆっくりと話した。獣人のこと以外にも、フォンド村にはいなかったエルフやドワーフなんかも存在していると聞いて、俺たちのテンションは上がった。ドワーフはともかく、エルフはやっぱりレアな存在のようだが、美形のエルフ(女性限定)には是非会いたい。
食事後にマックスを家に送って食堂に戻ると、ずいぶん客が少なくなっていた。いつもより少し早い時間な気がするが、今日はそろそろ閉店になるだろうか。
俺たちはアヤメさんに断って、食器洗いやテーブル拭きなどの手伝いをさせてもらった。色々教えてもらったり差し入れしてもらったりと散々お世話になったから、ちょっとしたお礼のつもりだ。それに、アヤメさん達の仕事が早く終われば、少し話す時間も取れるだろうし。
そういう訳で手伝いに励み、その後アヤメさんとノバラと一緒に少しゆっくり話をした。アヤメさんから、バスタナの町に行く機会があったら『銀皿亭』という食堂兼酒場に寄って、女将に手紙を渡して欲しいと預かった。他愛もない内容なので、行く機会がなければ渡さなくていいと言われたが、バスタナへはギルド登録のために行くつもりだ。そう遠くない内に届けられるだろう。
明日はいよいよ出発だ。2人にはしっかりお礼を伝えて、遅くならないうちに寝ることにした。
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
裏切りの代償
志波 連
恋愛
伯爵令嬢であるキャンディは婚約者ニックの浮気を知り、婚約解消を願い出るが1年間の再教育を施すというニックの父親の言葉に願いを取り下げ、家出を決行した。
家庭教師という職を得て充実した日々を送るキャンディの前に父親が現れた。
連れ帰られ無理やりニックと結婚させられたキャンディだったが、子供もできてこれも人生だと思い直し、ニックの妻として人生を全うしようとする。
しかしある日ニックが浮気をしていることをしり、我慢の限界を迎えたキャンディは、友人の手を借りながら人生を切り開いていくのだった。
他サイトでも掲載しています。
R15を保険で追加しました。
表紙は写真AC様よりダウンロードしました。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」
公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。
血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
【完結】妃が毒を盛っている。
佳
ファンタジー
2年前から病床に臥しているハイディルベルクの王には、息子が2人いる。
王妃フリーデの息子で第一王子のジークムント。
側妃ガブリエレの息子で第二王子のハルトヴィヒ。
いま王が崩御するようなことがあれば、第一王子が玉座につくことになるのは間違いないだろう。
貴族が集まって出る一番の話題は、王の後継者を推測することだった――
見舞いに来たエルメンヒルデ・シュティルナー侯爵令嬢。
「エルメンヒルデか……。」
「はい。お側に寄っても?」
「ああ、おいで。」
彼女の行動が、出会いが、全てを解決に導く――。
この優しい王の、原因不明の病気とはいったい……?
※オリジナルファンタジー第1作目カムバックイェイ!!
※妖精王チートですので細かいことは気にしない。
※隣国の王子はテンプレですよね。
※イチオシは護衛たちとの気安いやり取り
※最後のほうにざまぁがあるようなないような
※敬語尊敬語滅茶苦茶御免!(なさい)
※他サイトでは佳(ケイ)+苗字で掲載中
※完結保証……保障と保証がわからない!
2022.11.26 18:30 完結しました。
お付き合いいただきありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる