1 / 44
序章
呼声
しおりを挟む
(……て)
(誰…)
(…がい)
(…けて)
(ゆう…)
なんだ? 声?
(お…しま…)
(このまま………バンが…)
女の人の声? 小さいし掠れてよく聞き取れないな。
「なあ、なんか女の人の声聞こえなかったか?」
「へ? ……なんも聞こえねぇっすけど?」
「おかしいな。あ、やっぱ聞こえるじゃん」
(たす……ださ…)
(…者様)
(エス……おす…ください…)
「…自分には何も聞こえねぇっすよ。それに、こんな山ん中、誰もいないんじゃないっすか?」
「いやいや、聞こえるって。なんか『おす、ください』とかって。俺ちょっと見てくるから、お前は先戻ってろ。みんなによろしく言っといて。あとで連絡する」
「え? お酢ください? あ、ちょっ、まっ、待ってください! 先輩!? 先ぱーい!」
(助け…さい)
(お願い……)
やっぱ気のせいじゃないよな。助けを呼んでるっぽいけど。なんだ? 事件か? 警察に電話した方がいいのかな?
「誰か! 誰かいますか? 助けが必要ですか?」
(エステ……をどうか)
(お願いし……けて……)
声が近くなってきたな。エステ? こんな山の中で? 意味わからん。
(お願いしま………様)
(エステ……国をどうか……)
(もう時間が………せん)
声はだいぶ近くなったけど姿は見えんな。なんなんだ?
「どこですか? 誰かいますか? 警察に連絡しますか?」
(助けてください!どうか! 私の願いをお聞き届けください)
(このままでは戦が始まってしまいます)
(勇者様、どうかエステバン王国を、民をお救い下さい!)
は? エステバン? 王国? 民? 勇者? やべー、これ関わっちゃマズイやつ? 中二病的な? いや、イっちゃってる系?
ここは聞かなかったことにして帰っとくべきか? いや、でもこんな山ん中の道外れたところで女の人(子?)が一人ってオカシイよな。一応無事なのか、姿は確認しとくべきか? 声が弱々しいからもしかしたら遭難者かもだし。
(どうかお救いください。もう時間がありません!)
あ、なるほど『おすくいください』ね。お酢とかオスじゃなかったのね。
(私にできることならなんでもします! だからどうか!)
なんでもしますって、女の子がそんなこと簡単に言っちゃダメだろ~。可愛い子だったら悪いお兄さん(俺)に喰われちゃうよ?
ん? この崖の下になんか祠みたいのがあるな。あのあたりから聞こえる気がするけど…。高さは2mってとこか。お! 向こうから下りられそうだな。ちょっと行ってみるか。
「ふ~、やっと着いた。大丈夫ですか~? って、あれ? 誰もいない? え、なんか青い光が…もしかして心霊現象とか? って、わ! なんだこれ! 吸い込まれる!? うわっ! わああああぁぁぁぁぁぁ……」
(誰…)
(…がい)
(…けて)
(ゆう…)
なんだ? 声?
(お…しま…)
(このまま………バンが…)
女の人の声? 小さいし掠れてよく聞き取れないな。
「なあ、なんか女の人の声聞こえなかったか?」
「へ? ……なんも聞こえねぇっすけど?」
「おかしいな。あ、やっぱ聞こえるじゃん」
(たす……ださ…)
(…者様)
(エス……おす…ください…)
「…自分には何も聞こえねぇっすよ。それに、こんな山ん中、誰もいないんじゃないっすか?」
「いやいや、聞こえるって。なんか『おす、ください』とかって。俺ちょっと見てくるから、お前は先戻ってろ。みんなによろしく言っといて。あとで連絡する」
「え? お酢ください? あ、ちょっ、まっ、待ってください! 先輩!? 先ぱーい!」
(助け…さい)
(お願い……)
やっぱ気のせいじゃないよな。助けを呼んでるっぽいけど。なんだ? 事件か? 警察に電話した方がいいのかな?
「誰か! 誰かいますか? 助けが必要ですか?」
(エステ……をどうか)
(お願いし……けて……)
声が近くなってきたな。エステ? こんな山の中で? 意味わからん。
(お願いしま………様)
(エステ……国をどうか……)
(もう時間が………せん)
声はだいぶ近くなったけど姿は見えんな。なんなんだ?
「どこですか? 誰かいますか? 警察に連絡しますか?」
(助けてください!どうか! 私の願いをお聞き届けください)
(このままでは戦が始まってしまいます)
(勇者様、どうかエステバン王国を、民をお救い下さい!)
は? エステバン? 王国? 民? 勇者? やべー、これ関わっちゃマズイやつ? 中二病的な? いや、イっちゃってる系?
ここは聞かなかったことにして帰っとくべきか? いや、でもこんな山ん中の道外れたところで女の人(子?)が一人ってオカシイよな。一応無事なのか、姿は確認しとくべきか? 声が弱々しいからもしかしたら遭難者かもだし。
(どうかお救いください。もう時間がありません!)
あ、なるほど『おすくいください』ね。お酢とかオスじゃなかったのね。
(私にできることならなんでもします! だからどうか!)
なんでもしますって、女の子がそんなこと簡単に言っちゃダメだろ~。可愛い子だったら悪いお兄さん(俺)に喰われちゃうよ?
ん? この崖の下になんか祠みたいのがあるな。あのあたりから聞こえる気がするけど…。高さは2mってとこか。お! 向こうから下りられそうだな。ちょっと行ってみるか。
「ふ~、やっと着いた。大丈夫ですか~? って、あれ? 誰もいない? え、なんか青い光が…もしかして心霊現象とか? って、わ! なんだこれ! 吸い込まれる!? うわっ! わああああぁぁぁぁぁぁ……」
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
裏切りの代償
志波 連
恋愛
伯爵令嬢であるキャンディは婚約者ニックの浮気を知り、婚約解消を願い出るが1年間の再教育を施すというニックの父親の言葉に願いを取り下げ、家出を決行した。
家庭教師という職を得て充実した日々を送るキャンディの前に父親が現れた。
連れ帰られ無理やりニックと結婚させられたキャンディだったが、子供もできてこれも人生だと思い直し、ニックの妻として人生を全うしようとする。
しかしある日ニックが浮気をしていることをしり、我慢の限界を迎えたキャンディは、友人の手を借りながら人生を切り開いていくのだった。
他サイトでも掲載しています。
R15を保険で追加しました。
表紙は写真AC様よりダウンロードしました。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
【完結】妃が毒を盛っている。
佳
ファンタジー
2年前から病床に臥しているハイディルベルクの王には、息子が2人いる。
王妃フリーデの息子で第一王子のジークムント。
側妃ガブリエレの息子で第二王子のハルトヴィヒ。
いま王が崩御するようなことがあれば、第一王子が玉座につくことになるのは間違いないだろう。
貴族が集まって出る一番の話題は、王の後継者を推測することだった――
見舞いに来たエルメンヒルデ・シュティルナー侯爵令嬢。
「エルメンヒルデか……。」
「はい。お側に寄っても?」
「ああ、おいで。」
彼女の行動が、出会いが、全てを解決に導く――。
この優しい王の、原因不明の病気とはいったい……?
※オリジナルファンタジー第1作目カムバックイェイ!!
※妖精王チートですので細かいことは気にしない。
※隣国の王子はテンプレですよね。
※イチオシは護衛たちとの気安いやり取り
※最後のほうにざまぁがあるようなないような
※敬語尊敬語滅茶苦茶御免!(なさい)
※他サイトでは佳(ケイ)+苗字で掲載中
※完結保証……保障と保証がわからない!
2022.11.26 18:30 完結しました。
お付き合いいただきありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる