私、陽菜の探偵日記

１、鈴川陽菜

皆さんこんにちは。私の名前は鈴川陽菜。まだ２４歳の新入り刑事よ。私と社長の仁科大河さんと、後輩の倉林エマで運営しているちいさな探偵事務所＆カフェ、「クローバームーン」には、毎日２人ほどの依頼者が来る。
そして、カランコロンとドアの鈴が鳴り、ドアがゆっくりと開く。
「いらっしゃいませ。ご用件は何でしょうか。」
エマが尋ねる。
「私、橘梨乃といいます。大学生です。今日は、私の学校、目黒区の連続殺害について依頼に来ました。」
ずいぶんハキハキと、自信を持っている人らしい。
「そうですか。こちらで話をお伺いいたします。」
エマが頑張って接客するも、仁科さんはいつも興味を示さない。雇った割にこんな扱いかと、エマも以前がっかりした様子をしていた。
「被害者は、全員私と同じ年齢でした。たまにカラオケに行ったりする仲で、今回の事件には驚きました。」
驚いた、と言う割には、そこまでがっかりしてなさそうに、私には見えた。
「被害者の名前は？」
「橋本かりんという、明るくて、小柄な子、前本真央という、おとなしい子と、喜多川瑠奈という、少しふざけている子の四人です。」
なるほど。性格はまるで違うが、橘さんと一緒に行動することが多かったことは事実だ。
「では明日、現場に向かいます。本日はご依頼ありがとうございました。」
私が挨拶すると、彼女は店を後にした。
「ちょっと何言ってるんだ鈴川！明日俺はほかの依頼者の現場に行くんだぞ！新入り二人にゃ、任せらんねえ！」
「で、その現場ってどこですか？」
すかさず、エマが聞く。どうやら仁科さんも最後だけは聞いていたらしい。
「連続殺害事件だよ。目黒区の。」
「ええっ！？い、依頼者は？」
同じ事件なんて、初めてのことだ。
「松本香織、大学生。」
依頼者は違うが、そんなに大変な事件なのだろうか。私の心は不安に包まれた。
　翌日。目黒区の大学にて。
「こんにちは。探偵の鈴川陽菜と申します。本日は、こちらでおきた連続殺害事件について、調査に来ました。」
今日は、エマは店番のため、仁科さんと二人の調査となった。そして、優しそうな金森先生という人に調査を手伝ってもらった。
「みんな元気で、一気に寂しくなりましたよ。ただ、私は彼女・・・、橘梨乃さんが犯人な気がするんです。もちろん、うちの学校の生徒を疑いたくはありませんが・・・。」