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設定資料&補足集

【ダイジェスト】僕等のアホ毛が位階を駆け上がるまで(1)

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【注意】こちらの記事は出来るだけ『還り着く場所』本編を読んで頂いてから目を通す事をおすすめ致します。

……さて、粗削りながら無事15万字オーバーの長期連載である『還り着く場所』が完結し、管理人が脳内にたまった妄想を吐き出せるだけ吐き出しきってすっきりしたところで。

それでも連載形態(ジルジャン中心+元帥の回想形式)の都合上、どうしても書き切れなかった、本来『本筋』として書かれるはずだった部分のネタバレ設定の解禁や描写の補完をさらっとしていきたいと思います。
いつかちゃんと小説で書ければいいのですが。

まずは、これまでの元帥600年の歩みをざっと振り返りながら、彼が主人公化を機にどんどん無体な存在になっていく様を見ていきたいと思います。

まあ、最近は関羽が女体化したりする時代なので、この程度の悪乗りはOKだよね……?

※なお表題の『アホ毛』(or『アホ毛の妖精』)とはうちのジル元帥の自サイト内の通称です。
※参考までにイラストは某SNSに掲載中です。
(元帥単品)http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=5950682&mode=cover
(ジャンヌ様と一緒)http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=4757979


■■■


■『還り着く場所』完結記念・ジルさんがジャンヌさんを復活させるまでの歴史ダイジェスト

(小説内で端折られた部分のネタバレ含む)

・1404年秋より以前

 父であるギィ・ド・ラヴァルと母マリ・ド・クランが結婚。

この頃から後に嫡子の代父となり、その教育にも携わるようになる神学博士こと、『黄金の王』イシュトヴァン(※小説本編では名前なし)が祖父のジャン・ド・クランの下を出入りするようになる。

 当時の不安定な時代情勢等を見越し、『予言』とも言える的確な助言でジャン・ド・クランの信用を勝ち得たイシュトヴァンは、自分に任せれば、クラン公の娘であるマリに代々優秀な軍人を輩出している名門貴族である家門を継ぐに相応しい優秀な男子を必ず生ませると約束する──悪魔の契約完了。

 



・1404年晩秋(0歳)

(※最新版のウィキペディアでは元帥の誕生日は9月10日と表記されていますが、出典等の裏付けが無い為、この小説では資料にした関連書籍に基づき、引き続き元帥は『蠍座生まれ』(※10月24日以降の生まれ)と設定)

 ギィとマリの第一子としてジル誕生。

 彼の代父の一人となったイシュトヴァンは、父であるギィの依頼を受けてそのまま彼の家庭教師となる。

 ここで一般的な知識人としての教養に加え、時代の平均水準を大幅に上回る〈黄金の種族〉(※この作品世界における始祖吸血鬼)としての英才教育を施す。

 ジルが型破りなジャンヌの存在を受け入れる下地が出来上がる。



・1420年頃(16歳)……吸血鬼レベル1~5

 ブルターニュ領内に内乱が起こる。ジル初陣。

 出撃を前にイシュトヴァンと再会したジルは、そこで吸血鬼化の兆しをイシュトヴァンに指摘され、そのまま彼に血を飲まされる事で、覚醒に至る決定的な引き金を引かされてしまう。

 血の匂いに満たされた戦いの経験を重ねる中で、緩やかにその身体を作り変えられていった彼の時間は、19歳になる頃には完全に止まる事になる。



・1429年3月(24歳)……吸血鬼レベル20~30

 王太子シャルルが滞在するシノン城にて、〈ロレーヌの乙女〉こと〈運命の女〉ジャンヌ・ダルクと出会う。

 この時点で二人ともほぼ一目惚れ状態だったのだが、実際に男女としてお互いを意識するようになるのはもう少し先の事。

・1429年5月

 奇跡的な連戦連勝により、オルレアン解放。聖女ジャンヌの威光は軍内部で不動のものに。

・1429年7月

 ランスのノートル・ダム大聖堂にて、フランス王としてシャルル七世が聖別される。

 戴冠式で使用される聖油は、本来王国第二位の地位にある大元帥が運ぶ役目を担っていた為、当時元帥位にあったアルテュール・ド・リッシュモンの代理として、ジルがその地位を引き継ぎ、式の要となる重要な任を果す事になった。

 戴冠式後、無事〈神様〉からの使命を全うしたジャンヌと気持ちを確かめ合い、完全に恋仲になる。

 ……地位と名誉に加え、愛する女性も手に入れた。まさに男ジル・ド・レイ、人生の最絶頂期。

 あとは真っ逆さまに落ちるだけ。(←)



・1429年9月

 パリの攻略に向けてジルとジャンヌ、出撃。しかし、ここまで入念な準備をしてきたにも関わらず、悪意の感じられる情報の未達により戦いに敗北。

 この頃からジャンヌと彼の未来に色々ケチがつき始める。

 恐らくここからプレラーティさんの暗躍が本格的に始まったと思われる。

・1429年11月(25歳)

 要所のラ・シャリテを奪還するべく戦闘が行われるが、シャルルの不興を買い、ジャンヌと引き離され所領に戻されていたジルは何も出来ず。

 ジャンヌ敗北の報に居城で歯噛みする。

 ちなみにこの隠居期間の間にリッシュモンとの交流を深め、高く能力を買われるようになる。



 

・1430年5月

 コンピエーニュの戦いで、ジャンヌがブルゴーニュ軍に捕縛される。

 捕縛の報を受け、ジルを始めオルレアン時代の戦友達はジャンヌ解放の為、ブルゴーニュ側との即時交渉を訴えるが、シャルルは動かず。だいたいプレラーティさんのせい。

 そうこうしている間に、ジャンヌはブルゴーニュ軍からイングランド軍へと売り渡されてしまう。

 ジル、元帥位を捨てジャンヌの救出に向かう事を決意する。




・1430年12月(26歳)……瞬間的に吸血鬼レベル100~120

 ジャンヌ、ルーアンに移送開始。ジルおよびラ・イールの部隊、護送隊を急襲。ブーヴルイユ城の戦い。

 ジルとジャンヌ再会。包囲網を突破し、王国軍の前線基地にあたるルーヴィエを目前にするも、教皇庁直属の異端審問官にして最高位の魔術師であるフランソワーズ・プレラーティと彼の同僚達に救出部隊は壊滅寸前に。

 ジル、ラ・イールにジャンヌを預け、一人退魔師達に立ち向かう。

 ここで〈黄金の種族〉として完全覚醒。聖遺物無し+固有能力の使い方もまだよく分からない状態で、当時の〈三賢者〉といったトップランカーが居なかったとはいえ、現代のそれより遥かに平均能力が高い魔術師達を相手に互角以上の戦いを繰り広げ、結果的にプレラーティを除く魔術師や異能力者達10名以上を殺害。ジルの事を完全に舐め腐っていたプレラーティもあと一歩のところまで追い詰めた。

 ……さながらその姿は、父上をトルメキア兵に殺された時の姫姉様か、種割れしたスーパー・コーディネーターのようだったという。(←)

 しかし、加減が分からず一息に力を使い過ぎたのか、最後の一太刀が届かずに力尽き、プレラーティによって彼もまた捕縛の上、ブーヴルイユ城に拘禁される。

・~翌1431年5月まで

 糧を絶ち、潔く死ぬつもりでいたものの、既に吸血鬼として覚醒していた為、生半可な拷問では死ぬ事も出来ず、挙句、最も大切な女性を汚したプレラーティに自身も犯される。

 その後は精神的に嬲る事に楽しみを見出したプレラーティによって、本来丁重に扱われるはずの貴人の虜囚であるにも関わらず、人として最低限の尊厳すら奪われ、連日連夜、好き者やフランス軍に恨みを持つイングランド兵等から慰み者にされる地獄のような日々が続く。薄い本が厚くなりますね。(←)

 ただし、このプレラーティの行動が後に彼にとって完全に裏目に出る事になる。

(ここで髪の毛が黒→白に)



・1431年5月

 ジャンヌがルーアンのヴィエ・マルシェ広場で処刑される。

 幸か不幸かその日も慰み者として組み敷かれていたジルは、ジャンヌの最期に立ち会う事も許されなかった。

 (逆にこの処刑を目撃していたアランソンはシャルルへの憎しみを募らせる事になり、最後の最期まで対立し続ける事になる)

 しかし、最中に彼女の死を知った事で、吹っ切れたジルは、騎士、もとい男として保ってきた最後の矜持すらかなぐり捨ててでも、プレラーティに復讐をする事を誓う。

 その頃、自分の持っている能力や性質を学習し始めていた彼は、当初は嫌悪していた自分の持つ〈魅了〉の力を積極的に利用するようになる。

 ……まあようするに、非常に冷徹な判断により自ら進んでビッチ化したわけで、仕方がなかったとはいえ、ただでさえ想い人の救出に失敗して罪悪感たっぷりなまま生き恥を晒しているこの状況、ジャンヌに対して復活後も彼が積極的になれなかったのは、そういう複雑な背景もあった為である。

(『還り着く場所』21話でのリッシュモンとの会話で、自らを指して「この毒婦のような男に~」と言っていたのは比喩でもなんでもなく割と直球の意味だったりする)

 既にルーヴィエ郊外での魔術師達との戦闘により、自分が手にかけた人間の魂を取り込む『棺桶』のような存在に成り果てた事、直接命を奪わずとも何らかの『繋がり』を得た時点で、徐々に精気を吸い上げ、また死した後には刻んだ呪いによって己の下にその魂を呼び寄せる事すら可能となっていた事を思い知らされた為、人間の負の感情の吹き溜まりのような牢獄は、たちまち彼にとって格好の狩場となったのだった。

 この時点で肉体関係を通して徐々に力を吸い取られ始めていたのをまだプレさんは知らない。



・1431年6月(26歳)……吸血鬼レベル180~250(※ただし聖遺物装備の状態での換算)

 当時の特権退魔師団である〈神の御剣〉のトップランカー・〈三賢者〉の面々がジルの下を訪れる。

 彼等は捕えられていたジルが長期に渡る審問(と言う名のプレさんによる集団リンチ)を経てなお正気を保っている事に驚愕し、また実際に言葉を交わしてみる事で、彼が一般的な吸血鬼とは違い、非常に高い教養と人間性を持ちあわせているのを確認すると、ジルをプレラーティから保護し、ローマに移送する事を決断する。

 もともと通常の異端審問官とは違い、対魔族および同業者である魔術師との殴り合いの為に結成されている〈神の御剣〉は教皇庁の中でもとりわけ戒律に対する考え方が緩い異端の組織。宗教的な治外法権を確立している部署だった。教会に在籍している便宜上、司祭の身分を持ってはいるものの、その実態はキリスト教の教えとは一線を引いた上で世界の真理を探究する異能力者達の寄り合い所帯である。

(※中には敬虔なキリスト教徒として神を信仰しながら、あえて魔術師となり奉仕している人間もいる)

 特に人間に危害を加えているわけでもなく、むしろその能力を人間の為に使おうとしている存在であれば、わざわざ殺してしまう謂れはない。

 ただでさえ、吸血鬼の生態にはまだ謎が多く、研究の為の素材はいくらでも欲しいのが実情である。

 そして、かの〈聖女〉の言葉が事実であれば、ジルの存在が彼等にとっても目障りなプレラーティを打倒する切り札になるかもしれない──〈三賢者〉と彼等を統率・指揮する枢機卿はそう判断したのだ。

 ……実は、〈神の御剣〉が最初に目をつけたのは、吸血鬼であるジルではなく、神の声を聴き、フランスに奇跡的な勝利をもたらしたジャンヌの存在だった。

 審問に際して彼女が本物の異能力者である事を確信した彼等は、処刑時に替え玉を立てる事で、密かに彼女を〈神の御剣〉に迎える計画でいた。

 しかし、既にこの動きを察知していたプレラーティはこれに先んじて暗躍する事で、〈神の御剣〉内における自らの絶対的地位を覆しかねない彼女の存在を始末したのだった。

 

 そして生前、その知識からジルが〈黄金の種族〉の末裔である事を見抜いていたジャンヌは、教皇庁に死蔵されたままになっている〈聖遺物〉と呼ばれている彼等の〈遺産〉を彼がその血によって起動出来る事を示唆し、ジルを生かすように〈三賢者〉達に伝えていた。

 執着してやまないジルと引き離される事にプレラーティは激怒したが、聖女を独断で処刑した責任を問われ、謹慎を余儀なくされる。

 



 ローマにて〈聖遺物〉の起動に成功。ごく一部を除き、〈黄金の種族〉由来の魔導器であるところの〈聖遺物〉の殆どが彼に恭順を示す結果に。

 この時、ジャンヌの忘れ形見である彼女の〈心臓〉──高純度の魔力の結晶であるキングストーン……じゃない、〈賢者の石〉がジルの体内に封入される。魔導ライダージルRX……もとい、教皇庁最初で最後の聖騎士・ジルの誕生である。

 以後、彼には〈湖水の騎士〉の称号が与えられ、〈神の御剣〉の指揮下におかれるようになる。これにより教皇庁内部におけるジルの存在価値は格段に高まる事になり、事実上、教皇庁内部でも腫物扱いされていたプレラーティは〈神の御剣〉から更迭される。




・1432年(28歳)

 リッシュモンが長らく機能していなかった王国軍最高司令官としてフランス宮廷の中枢に復帰する。

 ジル、密かにリッシュモンと接触。以後、彼の影として戦争の終結に向けてその偉業を支える事になる。

 ここから、百年戦争後期のフランスにおいて、実質的に最も活躍・貢献したMVP英雄であるリッシュモンさんとジルさんの蜜月状態オフィスラブ……じゃなかった、無双劇場が始まる。

・1433年(29歳)

 ジルの叔父である奸臣ドゥ・ラ・トレモイユが宮廷から永久追放される。

 これにより、リッシュモンが本格的に宮廷内でその才覚を発揮する為の地盤が整う。



・1434年(30歳)

 フランス国内で反目し合っていたブルゴーニュ公、ブルターニュ公、およびブルボン侯との教皇を交えた講和に向けての協議が本格化する。

・1435年(31歳)

 和平交渉が難航する中、ザントライユとラ・イールの傭兵部隊がいつものノリでブルゴーニュ領内で掠奪行為を働いたという知らせが届く。

 空気を読まないスケベ親父達に、シャルルとの間に未だ深い溝が残る(※父親をだまし討ちされて殺されたのだから当然である)ブルゴーニュ公フィリップを必死こいて毎晩のように(意味深)説得していたリッシュモンさんとジルさん大激怒。

 「このクソ忙しい時になにしとんねんあのオッサンは……!」とキレたジルさん、速攻で軍を動かして、かつての戦友にすぐにごめんなさいして戦利品を返すように迫る。

 この迅速な判断と行動により、フィリップの信頼を勝ち取ったリッシュモンは、同年9月、長らくフランス国内で内乱状態が続いていたアルマニャック派とブルゴーニュ派の和睦を見事成立させたのだった。(アラスの和約)

 

 ブルゴーニュ公の裏切りに、協力関係にあったイングランド側は当然のごとく報復の為に大規模な軍事行動を移す計画でいたが、その動きを察知したリッシュモンは的確な指揮でこれに応戦。各地で次々とイングランド勢を撃破する。本当に一人で何人分働くの、この人。

・1436年4月(31歳)

 シャルルとリッシュモン麾下の王国軍、パリを奪還・解放する。

 この時ばかりはシャルル陛下も戦場に現れて陣頭指揮にあたり、城壁への突撃にも参加した。陛下頑張った。マジ頑張った。

 リッシュモン、そのまま戦乱で疲弊しきった王都の復興にとりかかり、誠実な人柄により市民から絶大な支持を得る。

 ……アルテュールさん、マジ有能。これはジルさんのアソコもびちょ濡れである。(←)

・1436年5月

 偽ジャンヌ事件。この頃、彼女の人気にあやかって様々な場所で似たような事件が頻発したらしい。

 偽ジャンヌ事件には彼女の実の兄二人も関わっていたりするので、ジルさんの心中は複雑だったでしょうな……

・1437年11月(33歳)

 シャルル、王都であるパリに帰還。歓喜の瞬間を迎える。

 ……ああ、ジャンヌ。貴女にもこの瞬間に立ち会ってもらいたかった……ジルさん涙。

・1439年11月(35歳)

 ジルとリッシュモンが胸の内で温め続けてきた常設軍創設の計画がついに形となり、軍制の改革が実行され、新制度が発令される。

 これにより、王国軍は直接国王の指揮下に置かれる事になり、部隊を指揮・監督する将軍も国王による任命制となった。(※ようするに一族郎党による私兵集団の同盟から、近現代のそれと同じような軍隊になったという事)兵士には定期給与が支給され、略奪行為は厳しく罰せられるように。

 これまでの封建制度を支えてきたシステムが根底から覆された結果、アイデンティティを問われる事態に多くの貴族の反発を招く。

・1440年(36歳……史実におけるジルさん享年の年である)

 新制度への不満からシャルルやリッシュモン(とその背後にいるジル)に対するクーデター(プラグリーの乱)が起こる。

 リッシュモンの失脚とシャルルの退位を狙い、シャルルの息子である王太子ルイを担ぎ上げた貴族や武将達がブロワに集結、蜂起。

 ……実はこのクーデター、何気にジルさんとジャンヌさんを除くほぼ残り全てのオルレアン組の武将達が参加していたりするので、事実上、かつての全戦友vsW元帥というというとんでもない構図だったりするのだが、当時のフランス宮廷における有力貴族の殆ど+百戦錬磨の傭兵集団を敵に回すという事態にも、チート元帥二人は慌てず騒がずすぐ応戦。

 麾下のブルトン軍団の最精鋭を率いて占拠された町を急襲。かつての仲間(※アランソン公)をフルボッコにした挙句、シャルルの前に引き摺り出して土下座させる。吹っ切れたジルさんマジ容赦ない。

 ……誰か私にこの時代のアルジルの薄い本を下さい。(駄目だコイツ)



                   ■■■
                     

 さて、1440年は史実における元帥にとって『処刑』という一大イベントがある年でもあるわけですが、1431年以降、表舞台を去ったプレさんがどうしていたかも含めて、以下、次回へ続きます。

 
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