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しおりを挟むはかせは・おっしゃいました。
「『過去』とは記録、及びに記憶である。『未来』とはただの予測、または期待に過ぎない」
はかせは・おっしゃいました。
「概念、もしくは妄想としての『過去』や『未来』ならば、確かにあるのだろう。しかし。それは稼動する『世界』としてではない。我々が生きる、いや、『全て』が存在している『世界』は常にこの『一瞬』のみ。それ、ひとつきり。『一年後の未来』も『十秒前の過去』もそれは稼動している『世界』ではないのだ」
はかせは・おっしゃいました。
「……タイムマシーン。『過去の世界』や『未来の世界』に移動する事の出来る乗り物。そんなものは在り得ない。そもそもが『過去の世界』など『未来の世界』など実在はしていないのだから。……タイムパラドックスもパラレルワールドも無い」
はかせは・おっしゃいました。
「では……『タイムマシーン』は存在し得ないのか? その答えは『否』である。『乗り物』として『過去の世界』や『未来の世界』に移動するタイムマシーンは確実に在り得ない。その『行き先』が実在していないのだから。しかし。『乗り物』なのではなく、実在のしていない『過去の世界』や『未来の世界』に移動するのではなく、現存しているこの『世界』そのものを『過去』や『未来』に創り変えるというのなら……」
はかせは・おっしゃいました。
「『タイムマシーン』は『乗り物』などではない。真の……実在させる事の出来る『タイムマシーン』とは、唯一無二、この『世界』を創り変えるひとつの装置なのだ」
はかせは・すこしの・ちんもくの・のち・おっしゃいました。
「……幾つの言葉を並べようとも、幾重に理屈を重ねようとも『それ』が認められぬ、信じる事に足らぬというのなら……。……ふ、ふふふ……」
はかせは・わらいました。
「……ふははははッ! 今ッ! 『それ』を照明してみせよう」
はかせは・そして・きょだいな・きかいの・でんげんを・いれたのでした。
「『世界』よッ! 導いてみせようぞ、『過去』という名の『未来』へ。さあッ! 遥か太古の時代にまで、遡れッ! 『世界』よッ!」
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