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第一章
第十二話 追憶令嬢は現実の厳しさを知る
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ごきげんよう。
ガーデンパーティが終わってからは穏やかな日が続いています。先週の憂鬱だった日々が嘘のようですわ。
私はルーン公爵家使用人宿舎の庭にいます。
この庭には野菜畑があります。
お野菜を育ててみたいと呟いたら、ダンがここを教えてくれました。
この庭は誰も管理していないので自由に使っていいそうです。
ダンがくれた割烹着と帽子を被り、草むしりをしています。
割烹着と帽子はダン達の荷物置き場に置かせていただいてます。
シエルに初めてこの姿を披露したときは泣かれました。シエルが泣いたのを初めて見たので驚きましたわ。そしてダンを暗殺にいこうとしたので必死に止めました。
この割烹着は洋服を汚さないために大事です。
お気に入りですわ。洋服に愛着を持ったのは人生で初めてですわ。
「お嬢様、来てたんですね」
「ねぇ、ダン、この抜いてる草は食べられますか?」
「あんまり美味しくないですが、これは食べれますよ。これは駄目。お嬢様、食べちゃダメですよ」
「わかりましたわ。どうしたら、わかりますの。」
「必死に覚えるしかないですね」
「ダンは山に捨てられても、生活できそうね」
「勘弁してくださいよ」
「捨てないですよ。私も山で生活できるようになりたい」
「お嬢様、たくましいですね」
「もし、山で生活する時は誘ってくださいね」
「生活しませんよ。お嬢様をお連れしたらシエルと師匠に殺されます。先ほど奥様が帰られましたがここにいて平気ですか?」
「まずいですわ!!」
「お嬢様、先に手を洗って。脱がすの手伝うから」
「何を脱がすんですか?」
「シエル、いつの間に!!」
「お嬢様をお迎えに。ダン、お嬢様に不埒な真似はゆるしませんわ」
「服が汚れないように割烹着を脱がせてやろうとしたんだよ。俺はロリコンじゃない!」
「シエル、手伝ってくれる?」
「かしこまりました。お嬢様」
「変わり身早すぎるだろ」
手を洗いシエルに身だしなみを整えてもらいました。本邸の庭園を目指しましょう。庭園で散歩をしているなら怪しまれませんわ。
「お嬢様、奥様がお呼びです」
庭園を散歩していると執事に声を掛けられ、案内されるままに足を進めます。
お説教の予定はありませんし、アリア様のお茶会で何があったんでしょう?
「失礼いたします。お母様。お帰りなさいませ」
「ええ、貴方に手紙を預かってます」
「手紙ですか?」
「殿下からですって」
「私以外にもお手紙を渡された方はいますか?」
「お茶会では貴方だけでした」
無表情のお母様から受け取った手紙を開封すると流暢な字で綴られてます。
親愛なるレティシア・ルーン公爵令嬢。
要約すると前回のパーティのお詫びに庭園を案内したい。お菓子を用意するのでお茶会の仕切り直しを?絶対に行きたくありませんわ。
「お母様どうぞ」
お母様が無表情で読まれています。
「レティシア、どうします?」
「もし許されるなら、ご遠慮させていただきたいです」
「わかりました。返事はどうしますか?」
「自分で書きます。お手紙はどうしますか?」
「旦那様に預けなさい。貴方が殿下に見初められたという噂が出回っています。身辺に気をつけなさい」
「わかりました。ありがとうございます。失礼しますね」
恐ろしい言葉に引きつりそうになる顔に無理矢理笑みを浮かべて退室しました。
自室に帰りベッドに飛び込みました。
ありえませんわ!!お母様に絶対に行きなさいと言われると思っていたので驚きました。
殿下からの嫌がらせですわ。しかもアリア様経由なんて・・・。
噂が出回ってるのも困りましたわ。
今は幸せなのに、全然平穏な生活を送れる気がしませんわ。
殿下へのお返事は心遣いありがとうございます。遠慮しますと丁寧な言葉で書きました。
追伸に遠回しに関わらないでくださいとも書きましたわ。きっと殿下には伝わると思います。
真面目に魔力を隠す方法を考えないといけませんわ。
お先真っ暗感がありますが、監禁を回避して平穏で気楽な生活を送るために頑張りますわ。
ガーデンパーティが終わってからは穏やかな日が続いています。先週の憂鬱だった日々が嘘のようですわ。
私はルーン公爵家使用人宿舎の庭にいます。
この庭には野菜畑があります。
お野菜を育ててみたいと呟いたら、ダンがここを教えてくれました。
この庭は誰も管理していないので自由に使っていいそうです。
ダンがくれた割烹着と帽子を被り、草むしりをしています。
割烹着と帽子はダン達の荷物置き場に置かせていただいてます。
シエルに初めてこの姿を披露したときは泣かれました。シエルが泣いたのを初めて見たので驚きましたわ。そしてダンを暗殺にいこうとしたので必死に止めました。
この割烹着は洋服を汚さないために大事です。
お気に入りですわ。洋服に愛着を持ったのは人生で初めてですわ。
「お嬢様、来てたんですね」
「ねぇ、ダン、この抜いてる草は食べられますか?」
「あんまり美味しくないですが、これは食べれますよ。これは駄目。お嬢様、食べちゃダメですよ」
「わかりましたわ。どうしたら、わかりますの。」
「必死に覚えるしかないですね」
「ダンは山に捨てられても、生活できそうね」
「勘弁してくださいよ」
「捨てないですよ。私も山で生活できるようになりたい」
「お嬢様、たくましいですね」
「もし、山で生活する時は誘ってくださいね」
「生活しませんよ。お嬢様をお連れしたらシエルと師匠に殺されます。先ほど奥様が帰られましたがここにいて平気ですか?」
「まずいですわ!!」
「お嬢様、先に手を洗って。脱がすの手伝うから」
「何を脱がすんですか?」
「シエル、いつの間に!!」
「お嬢様をお迎えに。ダン、お嬢様に不埒な真似はゆるしませんわ」
「服が汚れないように割烹着を脱がせてやろうとしたんだよ。俺はロリコンじゃない!」
「シエル、手伝ってくれる?」
「かしこまりました。お嬢様」
「変わり身早すぎるだろ」
手を洗いシエルに身だしなみを整えてもらいました。本邸の庭園を目指しましょう。庭園で散歩をしているなら怪しまれませんわ。
「お嬢様、奥様がお呼びです」
庭園を散歩していると執事に声を掛けられ、案内されるままに足を進めます。
お説教の予定はありませんし、アリア様のお茶会で何があったんでしょう?
「失礼いたします。お母様。お帰りなさいませ」
「ええ、貴方に手紙を預かってます」
「手紙ですか?」
「殿下からですって」
「私以外にもお手紙を渡された方はいますか?」
「お茶会では貴方だけでした」
無表情のお母様から受け取った手紙を開封すると流暢な字で綴られてます。
親愛なるレティシア・ルーン公爵令嬢。
要約すると前回のパーティのお詫びに庭園を案内したい。お菓子を用意するのでお茶会の仕切り直しを?絶対に行きたくありませんわ。
「お母様どうぞ」
お母様が無表情で読まれています。
「レティシア、どうします?」
「もし許されるなら、ご遠慮させていただきたいです」
「わかりました。返事はどうしますか?」
「自分で書きます。お手紙はどうしますか?」
「旦那様に預けなさい。貴方が殿下に見初められたという噂が出回っています。身辺に気をつけなさい」
「わかりました。ありがとうございます。失礼しますね」
恐ろしい言葉に引きつりそうになる顔に無理矢理笑みを浮かべて退室しました。
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ありえませんわ!!お母様に絶対に行きなさいと言われると思っていたので驚きました。
殿下からの嫌がらせですわ。しかもアリア様経由なんて・・・。
噂が出回ってるのも困りましたわ。
今は幸せなのに、全然平穏な生活を送れる気がしませんわ。
殿下へのお返事は心遣いありがとうございます。遠慮しますと丁寧な言葉で書きました。
追伸に遠回しに関わらないでくださいとも書きましたわ。きっと殿下には伝わると思います。
真面目に魔力を隠す方法を考えないといけませんわ。
お先真っ暗感がありますが、監禁を回避して平穏で気楽な生活を送るために頑張りますわ。
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