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番外編
ルオの答え
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また悶々と悩んでいるルオに護衛騎士は声をかける。
「殿下、どうしたんですか?」
「俺は欲張りかもしれない」
「は?」
「リーンが受け入れてくれて幸せだよ。でも……」
言いよどむ言葉の続きを知っていたので、代弁することにした。
「そりゃ、好きな女に振り向いてほしいのは当然ですよ」
「あのリーンが俺の妻になったのも奇跡なのに」
「奇跡って……」
「大国の姫だよ。うちみたいな小さい国に」
ルオの神への感謝がはじまると長くなるので護衛騎士が言葉を遮る。ルオが神に感謝を捧げるようになったのは婚姻してからである。皇子なのにそれまではカケラも信仰心は持っていなかった。
「殿下、時間が勿体ないですよ。本題に戻ってください」
「願ってもいいのか」
ボケている主の頭を軽く叩いた。
「願うんじゃなくて、動くんですよ。もう婚姻しているからたぶん他に浚われることはないと思いますが」
「リーンに見惚れるし、頼りにもならないし、全然格好つかないし」
ルオがリーンの前で格好つけたいのは知っていた。
ただ難しく、無意味なことを教えることにした。
リーンの好みとルオの目指すものは、ずれている。
「殿下、リーン様がオル殿下を選んだ理由を思い出してください」
「誠実そうで良い皇帝になりそう」
「格好よく頼りになる男が良ければ絶対にオル殿下を選びませんよ。他の候補の王子を選びましたよ」
オルもルオも優れた容姿もなく全てが平凡である。ルオは面会する王子達よりも自分が優れているとは何一つ思えなかった。
「確かに兄上の外面は穏やかだが頼りにはならない。当たり障りなく全て逃げるし、」
「リーン様は夫とは腹の探り合いをしたくなかったそうです。基本的にわかりやすく実直な人が好きだと。ただ王族は曲者ばかりだったので、4人の中で一番好みに近い人を探していたそうです」
「なんで知ってるんだよ!?」
「殿下のために聞いてあげたのに」
「助かる。俺は婚約の話題には恐ろしくて触れられない」
「殿下は触れたらいけないと思います。素直に気持ちを伝えて愛情表現されればいいんじゃないんですか?」
「引かれたら」
見当違いな事を言うルオに護衛騎士は苦笑する。
「大丈夫ですよ。リーン様は過度の気持ちを向けられることになれてます。あの護衛騎士の忠誠を笑顔で受け入れる方です」
リーンに心酔している騎士がいた。
リーンは過度の忠誠心に恥ない主になれるように努力すると笑っている。過剰な言葉や行動をリーンは嗜めるだけで、引くことはなかった。
大国の姫であるリーンはルオと比べものにならないくらい許容範囲が広い。それゆえ、リーンの家臣がきちんと周囲を固め間違いが起きないように徹底している。
「すごいよな。俺なら気持ち悪くて、傍に置けない。リーンは鈍いよな。俺はリーンの面会相手が特別な感情を向けてるのも俺に見せつけてるのも全部本気で言ってることもわかる。ただリーンは全くわかってない。おもしろくないけど、リーンの全く意識してない様子にいつも安堵する」
「殿下も同じ立場ですから。ちなみにうちの貴族子息達にもリーン様人気ありますよ」
「は?」
「リーン様、留学中に夜会に頻繁に参加されてたそうです。殿下達が放っておいた時期は交友を深めていたそうですよ。」
ルオがリーンと交遊を持ったのは3か月目だった。
それまでは興味なく、挨拶をするだけだった。
ダンスすら踊った記憶がなく、リーンの接待は皇帝と皇后がしていた。
「過去の自分を殴りたい。皇太子妃に横恋慕かよ……」
「過ぎたことを言っても仕方ありません」
「待てよ。後回しにしてるけど、リーンへの領地の招待って」
リーンに視察を望む声が多い。
今は国外との取引が多く国内に力を入れられる状況ではなかったので後回しにしていた。
「御明察通りかと」
「行かせるか。リーンの視察を組み直す。誰が近づけるか。これ以上敵を増やしてたまるか」
リーンはルオが悩んでいることは知らずに視察のついでにテト達の商会により、氷菓子を食べながら作戦会議をしていた。氷菓子は好評で売れ行きは上々だが、まだまだ大国を目指すには遠いが大事な一歩だった。
***
リーンは最近は夜会の時はルオが離れないことを戸惑っていた。
交渉の場にもリーンを連れていき、リーン以外とダンスを踊る様子もない。
「ルー様?最近どうされました?」
「リーンが綺麗だから離れがたくて。他の男を近づけたくない」
リーンはルオの額に手をあてたが熱はなかった。
「熱はないよ。顔が赤いのはリーンが綺麗だから。医務官は呼ばなくていいから」
周りは皇太子夫婦を微笑ましく見ていた。
リーンは気にすることはやめてルオの好きにさせることにした。
最近のルオはリーンに甘い言葉をかけてくるのがくすぐったくてたまらなかった。
ルオは全力で牽制して、リーンを口説いていた。
ルオに味方をしている人間が多く、リーンはイナがお菓子に買収されてリーンの情報を渡しているなど知らなかった。
イナは主に似て意図的に人を誤解させるのは得意と知る者は少なかった。
「殿下、どうしたんですか?」
「俺は欲張りかもしれない」
「は?」
「リーンが受け入れてくれて幸せだよ。でも……」
言いよどむ言葉の続きを知っていたので、代弁することにした。
「そりゃ、好きな女に振り向いてほしいのは当然ですよ」
「あのリーンが俺の妻になったのも奇跡なのに」
「奇跡って……」
「大国の姫だよ。うちみたいな小さい国に」
ルオの神への感謝がはじまると長くなるので護衛騎士が言葉を遮る。ルオが神に感謝を捧げるようになったのは婚姻してからである。皇子なのにそれまではカケラも信仰心は持っていなかった。
「殿下、時間が勿体ないですよ。本題に戻ってください」
「願ってもいいのか」
ボケている主の頭を軽く叩いた。
「願うんじゃなくて、動くんですよ。もう婚姻しているからたぶん他に浚われることはないと思いますが」
「リーンに見惚れるし、頼りにもならないし、全然格好つかないし」
ルオがリーンの前で格好つけたいのは知っていた。
ただ難しく、無意味なことを教えることにした。
リーンの好みとルオの目指すものは、ずれている。
「殿下、リーン様がオル殿下を選んだ理由を思い出してください」
「誠実そうで良い皇帝になりそう」
「格好よく頼りになる男が良ければ絶対にオル殿下を選びませんよ。他の候補の王子を選びましたよ」
オルもルオも優れた容姿もなく全てが平凡である。ルオは面会する王子達よりも自分が優れているとは何一つ思えなかった。
「確かに兄上の外面は穏やかだが頼りにはならない。当たり障りなく全て逃げるし、」
「リーン様は夫とは腹の探り合いをしたくなかったそうです。基本的にわかりやすく実直な人が好きだと。ただ王族は曲者ばかりだったので、4人の中で一番好みに近い人を探していたそうです」
「なんで知ってるんだよ!?」
「殿下のために聞いてあげたのに」
「助かる。俺は婚約の話題には恐ろしくて触れられない」
「殿下は触れたらいけないと思います。素直に気持ちを伝えて愛情表現されればいいんじゃないんですか?」
「引かれたら」
見当違いな事を言うルオに護衛騎士は苦笑する。
「大丈夫ですよ。リーン様は過度の気持ちを向けられることになれてます。あの護衛騎士の忠誠を笑顔で受け入れる方です」
リーンに心酔している騎士がいた。
リーンは過度の忠誠心に恥ない主になれるように努力すると笑っている。過剰な言葉や行動をリーンは嗜めるだけで、引くことはなかった。
大国の姫であるリーンはルオと比べものにならないくらい許容範囲が広い。それゆえ、リーンの家臣がきちんと周囲を固め間違いが起きないように徹底している。
「すごいよな。俺なら気持ち悪くて、傍に置けない。リーンは鈍いよな。俺はリーンの面会相手が特別な感情を向けてるのも俺に見せつけてるのも全部本気で言ってることもわかる。ただリーンは全くわかってない。おもしろくないけど、リーンの全く意識してない様子にいつも安堵する」
「殿下も同じ立場ですから。ちなみにうちの貴族子息達にもリーン様人気ありますよ」
「は?」
「リーン様、留学中に夜会に頻繁に参加されてたそうです。殿下達が放っておいた時期は交友を深めていたそうですよ。」
ルオがリーンと交遊を持ったのは3か月目だった。
それまでは興味なく、挨拶をするだけだった。
ダンスすら踊った記憶がなく、リーンの接待は皇帝と皇后がしていた。
「過去の自分を殴りたい。皇太子妃に横恋慕かよ……」
「過ぎたことを言っても仕方ありません」
「待てよ。後回しにしてるけど、リーンへの領地の招待って」
リーンに視察を望む声が多い。
今は国外との取引が多く国内に力を入れられる状況ではなかったので後回しにしていた。
「御明察通りかと」
「行かせるか。リーンの視察を組み直す。誰が近づけるか。これ以上敵を増やしてたまるか」
リーンはルオが悩んでいることは知らずに視察のついでにテト達の商会により、氷菓子を食べながら作戦会議をしていた。氷菓子は好評で売れ行きは上々だが、まだまだ大国を目指すには遠いが大事な一歩だった。
***
リーンは最近は夜会の時はルオが離れないことを戸惑っていた。
交渉の場にもリーンを連れていき、リーン以外とダンスを踊る様子もない。
「ルー様?最近どうされました?」
「リーンが綺麗だから離れがたくて。他の男を近づけたくない」
リーンはルオの額に手をあてたが熱はなかった。
「熱はないよ。顔が赤いのはリーンが綺麗だから。医務官は呼ばなくていいから」
周りは皇太子夫婦を微笑ましく見ていた。
リーンは気にすることはやめてルオの好きにさせることにした。
最近のルオはリーンに甘い言葉をかけてくるのがくすぐったくてたまらなかった。
ルオは全力で牽制して、リーンを口説いていた。
ルオに味方をしている人間が多く、リーンはイナがお菓子に買収されてリーンの情報を渡しているなど知らなかった。
イナは主に似て意図的に人を誤解させるのは得意と知る者は少なかった。
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