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第2章 元カレ、また元カレ
第14話
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バレンタインが近付いてくると、私はごく自然に、「真にはどんなチョコがいいかな」と考え始めていた。去年は、先生と作ったチョコを、二人でベッドで食べたっけ。一年前のことなのに、百年くらい時が流れた気がした。
「衣純、今日、買い物付き合ってくれない?」
「うん、いいよ。私も買いたいものあるし」
千香の誘いにピンときた。それは向こうも同じ。
「何なに、もしかしてチョコ?」
「んー、そうかもね? 千香は?」
「当たり前じゃない! 今年こそあいつを落としてやるんだからっ」
千香は、中学の時から噂されてる男子に毎年チョコを渡している。誰が見ても恋人でしょ?って思うのに、本人たちは「そんなんじゃない」と言い張ってる。バレンタインに千香がこう言って、ホワイトデーにその男子、翔太君が「一応のお返し」ってキャンディーを贈る。毎年、両想いなのを見せつけられて、ああいうのもいいなって幸せな気持ちになる。
売り場はけっこう混雑していた。
どれにするか迷ったけど、ピンク色のハート型の箱に、トリュフチョコが五つ入ったのに決めた。
「お。衣純、本命?」
「まだ、分かんないけど」
「え、だれだれっ!?」
「千香もよく知ってる人」
売り場はどんどん人が増えて、それ以上の話はできなかった。とにかく会計を済ませて脱出し、ドーナツを食べながらお茶にした。
「衣純の好きな人、分かった」
「好きな人、なのかなぁ」
「気になってるんでしょ?」
「うん、まあ」
「何照れてんの。南條でしょ? あー、当たったよね?」
千香はにこにこして、コーヒーを飲んだ。
「そっかー。やっと報われるんだ、あいつ」
「報われるって……」
「見てれば分かるって。うまくいくといいね」
「うん。ありがと」
「去年は私も南條も、衣純と違うクラスだったじゃない? 衣純、図書館に籠もったり、休日も調べものしたりして忙しそうだったから、あいつ寂しそうだったよ」
「そっかぁ……」
見ててくれたんだ。
動き出せば何でもできるのに、ぐいぐい来るタイプじゃなくて、気付けば隣にいてくれる。見守ってくれてる。今は、そんな真と同じ歩調で歩いていきたい。
「衣純、今日、買い物付き合ってくれない?」
「うん、いいよ。私も買いたいものあるし」
千香の誘いにピンときた。それは向こうも同じ。
「何なに、もしかしてチョコ?」
「んー、そうかもね? 千香は?」
「当たり前じゃない! 今年こそあいつを落としてやるんだからっ」
千香は、中学の時から噂されてる男子に毎年チョコを渡している。誰が見ても恋人でしょ?って思うのに、本人たちは「そんなんじゃない」と言い張ってる。バレンタインに千香がこう言って、ホワイトデーにその男子、翔太君が「一応のお返し」ってキャンディーを贈る。毎年、両想いなのを見せつけられて、ああいうのもいいなって幸せな気持ちになる。
売り場はけっこう混雑していた。
どれにするか迷ったけど、ピンク色のハート型の箱に、トリュフチョコが五つ入ったのに決めた。
「お。衣純、本命?」
「まだ、分かんないけど」
「え、だれだれっ!?」
「千香もよく知ってる人」
売り場はどんどん人が増えて、それ以上の話はできなかった。とにかく会計を済ませて脱出し、ドーナツを食べながらお茶にした。
「衣純の好きな人、分かった」
「好きな人、なのかなぁ」
「気になってるんでしょ?」
「うん、まあ」
「何照れてんの。南條でしょ? あー、当たったよね?」
千香はにこにこして、コーヒーを飲んだ。
「そっかー。やっと報われるんだ、あいつ」
「報われるって……」
「見てれば分かるって。うまくいくといいね」
「うん。ありがと」
「去年は私も南條も、衣純と違うクラスだったじゃない? 衣純、図書館に籠もったり、休日も調べものしたりして忙しそうだったから、あいつ寂しそうだったよ」
「そっかぁ……」
見ててくれたんだ。
動き出せば何でもできるのに、ぐいぐい来るタイプじゃなくて、気付けば隣にいてくれる。見守ってくれてる。今は、そんな真と同じ歩調で歩いていきたい。
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