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第1章 新生活
新生活(6)
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カフェなんかでする話じゃないと思うけど、聞こえても冗談にしか思えないかも。
「はぁ……。何ていうか」
お母さんらしいというか。先生は、私が落ち着きたくて思わず丁寧に入れたコーヒーを、おいしそうに飲んでいる。ブラックなんだ、今も。
「俺からは月に一回程度、この家の様子を簡単に報告してる。去年の十月、珍しくお母さんの方からメールが来てな。『衣純が春からそちらに住むそうです。あの子は事情は分かってくれているので問題ありません。今後ともよろしくお願い致します』って」
「……」
「ほんとかなーとは思ったんだよ。で、当日確かめるしかないだろうなと」
「確かに……」
やっぱり、お母さんの性格、かなりしっかり掴んでる。でもそれは個人的っていうより、仕事柄当然のことなのかもしれない。
「俺のメリットを説明するなら、まあそういうことだ」
「何かまだ穴がある気がするけど、一応納得した」
コーヒーの最後のひと口。砂糖がたまってて、甘い。
「もう一杯飲むか?」
「そうしたいけど、眠れなくなって明日遅刻するといけないから」
「初出勤だもんな。緊張しすぎるなよ。いつもの調子でいいんだぞ」
「先生の言う、いつもの私ってどれ」
「全部」
「……娘を甘やかして駄目にするタイプだー」
実際、明日に向けて緊張はあるけど、気負いすぎないでいいよね、っていう気持ちになれた。
「娘ができて、それがお前なんだから、甘やかさない手はないだろ。朝飯は、俺の好みでよければついでに作ってやる」
「それって、月・水・金は洋風?」
「そう。火・木・土は和風。日曜は気分による」
「えー。そういうとこも変わってないんだ。ふふ、焦げたオムライスだけじゃないんだね……」
先生との日常が、再びこんな形で始まるなんて。案外悪くないかも、と私は思い始めていた。
「はぁ……。何ていうか」
お母さんらしいというか。先生は、私が落ち着きたくて思わず丁寧に入れたコーヒーを、おいしそうに飲んでいる。ブラックなんだ、今も。
「俺からは月に一回程度、この家の様子を簡単に報告してる。去年の十月、珍しくお母さんの方からメールが来てな。『衣純が春からそちらに住むそうです。あの子は事情は分かってくれているので問題ありません。今後ともよろしくお願い致します』って」
「……」
「ほんとかなーとは思ったんだよ。で、当日確かめるしかないだろうなと」
「確かに……」
やっぱり、お母さんの性格、かなりしっかり掴んでる。でもそれは個人的っていうより、仕事柄当然のことなのかもしれない。
「俺のメリットを説明するなら、まあそういうことだ」
「何かまだ穴がある気がするけど、一応納得した」
コーヒーの最後のひと口。砂糖がたまってて、甘い。
「もう一杯飲むか?」
「そうしたいけど、眠れなくなって明日遅刻するといけないから」
「初出勤だもんな。緊張しすぎるなよ。いつもの調子でいいんだぞ」
「先生の言う、いつもの私ってどれ」
「全部」
「……娘を甘やかして駄目にするタイプだー」
実際、明日に向けて緊張はあるけど、気負いすぎないでいいよね、っていう気持ちになれた。
「娘ができて、それがお前なんだから、甘やかさない手はないだろ。朝飯は、俺の好みでよければついでに作ってやる」
「それって、月・水・金は洋風?」
「そう。火・木・土は和風。日曜は気分による」
「えー。そういうとこも変わってないんだ。ふふ、焦げたオムライスだけじゃないんだね……」
先生との日常が、再びこんな形で始まるなんて。案外悪くないかも、と私は思い始めていた。
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