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中編: ハル編
2 ※
しおりを挟む抱きしめられながら、静かに押し倒される。
繰り返しされるキスは浅いのから深いのまで様々。呼吸が苦しくならないよう気を配ってくれてるのがわかる。
(すご…きもちぃ……)
リップ音や顔にかかる息遣いが恥ずかしいけど、それ以上に温かくてびっくり。
ただ口同士を合わせてるだけなのに、こんなになるんだ。
「気持ちい?」
「う、ん」
「よかった。じゃあ、もう少し深いのしてみようか」
「舌出して」と言われチロッと出すと、迎えにいくようすぐ先生の舌が絡んでくる。
「ん、ん…ふ、ぅぅ……っ」
クチュクチュ口内を撫でられ、ビクリと腰が跳ねた。
診察で指を入れられることはあるけど、この感覚は知らない。
口の上のほう・下のほう・歯の裏から舌の裏まで、息継ぎを挟みながら満遍なく掻き回されゾクゾクが止まらない。
飲みきれない唾液は口の端から落ちて、それさえ勿体ないというように舐め取られまた口内に戻される。
おかげで口の周りがベタベタ。こんなになるなんてアキたちにも聞いてない。変態だほんと。
でも、気持ちぃ……
「んんっ、は…ぁ……は…せん、せぇ……」
「ハルちゃんほんと可愛い…やば、ペニス痛い」
「な、ペニスって…」
「? ちんこって言ったほうがよかった?」
「先生さいあく、もっと雰囲気とかないの……?」
「うーん、正直に言っただけなんだけどな」
さらりと流しながらも、長い指がひとつひとつシャツのボタンを外していく。
そうして脱がされローブと同じ場所へ置かれ、一緒に白衣を脱ぎ捨てた先生が覆い被さってきた。
「この下なにも着てなかったんだ。そりゃ寒いよ。
今はどう? 寒くない?」
「平気、です」
「そっか」
いつも診察で見られてる裸の上半身。
なのに、今日はすごく緊張する。
シチュエーションが違うだけでこんなに違うんだ。セックスを舐めてたかもしれない。
見せつけるようシュルリとネクタイを外してくる先生に体温が上がって、思わず体が震えた。
「ふふふ、さっきキスしてるときも震えてたね。
どう? キスでふにゃふにゃになるってこういう感覚なんだと思った?」
「っ、うるさいです……」
「大丈夫だよ恥ずかしがらなくても。それぐらい感じてくれて嬉しいな。
ね、ハルちゃん。身体にキスしていい?」
「へ、身体…?」
「そう、身体」
「どこに?」と聞く前に顔が近づいてきて、首筋の上のほうにチュッと口づけされる。
「ここから、全部。
身体中隈なくキスして回りたいんだけどいいかな。
まずは愛しいハルちゃんの全てに挨拶しなきゃと思って」
「………は、え? なに言って……んっ」
言葉を理解する前にチュッと、さっき口づけされたところのすぐ隣にキスされる。
そうして唇がだんだん鎖骨辺りまで下りてきて、また首筋の上のほうに戻り、またキスを繰り返しながら下ってきて……
(ま、待って待って嘘でしょ!?)
喉仏を超えて反対側の首筋まで、ぐるりと一周するように唇がキスを落としながら這っていく。
こそばゆくて恥ずかしくて変な感覚がして、体が震えてしまって。
「ゃ、だ…やめっ、ん!」
さわりと腰を撫でられ、ビクンッと背中が仰け反った。
「あぁ、そんなに体を突き出して…
心配しないで、全部キスしていくからね」
「ちがっ、ちょ、待って……っ」
首が終わって、鎖骨から下…腰までを行ったり来たり。
キスマークは付けない軽いリップで、本当に隙間なく落とされていく。
慌てて先生を押すけど、全然力が入ってくれない。
それどころか身体中に与えられる感覚に震えて、キツい運動もしてないのに何故か息が上がってくる。
(これ、興奮…してるの……?)
吐息が熱い。
身体の温度が上がりクラクラする。
変に出てくる涙で、目の前がじんわり歪んできて……
「ぅ…ひ……ゃめてぇ……っ」
口づけを落とされる度、敏感になっていく身体。
震えが止められなくて、恥ずかしいのとどうにかしたいのでもっと涙が溢れてくる。
…けど、そんな僕にトロリと笑いながら、先生の唇は無常にもどんどん進んでいって。
そうして与えられる快感にいっぱいいっぱいになりながら
知らぬ間にズボンや下着も脱がされ、股から爪先までも満遍なくキスを落とされて
ひっくり返され、お尻や背中にもキスをされて
また上向きにされ、先生の唇がようやくおでこに行き着いた頃には
「ぁ…ぁ……は……っ」
「嗚呼、ハルちゃん。最高に綺麗だ……」
身体中に生まれたゾクゾクを対処できず震える僕と、そんな僕に感嘆の溜め息を吐く先生が いた。
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