ハルとアキ

花町 シュガー

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番外編 1

2

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「生徒会、か」

3年生へと学年が上がり、先生から頂いた話。
私の成績や日頃の行いを見て推薦したというもの。

これまで規律はしっかりと守っているし、勉学においても成績は常に上位に入っている。
それにプラスして、この当たり障りない性格も考慮されてるのだろうな。

(まぁ、悪くはない話か)

他人から見る自分の印象が良いということだし、

ーーなにより、する事が多い方が気が紛れる。


本日早速顔合わせの挨拶があるとの事で、コンコンと歴史を感じる扉を叩いた。


『入れ』


「失礼いたします」


(割と早めに来たのにな、人が居たか)

ガチャリと開けると、この学校で知らない人はいない顔。

「へぇ、やっぱお前も選ばれてたか」

「こんにちは梅谷。
先程のホームルームぶりですね」

「まったくもってそれな。なんだ、一緒に来れば良かったわ」

「冗談」

「冗談じゃねぇよったく……このやり取りもう何回目だよ櫻?」

「何十回レベルですかね? いい加減飽きません?」

「お前なぁ………」

梅谷 シュント
知らない人はいない程有名な家の次男で、容姿も淡麗。
ピアス等のアクセサリーはつけ放題だが、明るい性格や優秀な成績・周りを巻き組むリーダーシップなどで先生にも生徒にも一目置かれている。
そして、私と同じく中学生から高校に至るまでずっとA組。

と言うことは、もう6年も私たちは腐れ縁なわけで……

なんでこの男は、こんなにも構ってくるのだろう。
私は友人関係にもある程度の距離を保って接しているが、この男に至っては出会った時からずっと露骨に避けてる。
もう周りが見ても分かるくらい思いっきり。
それなのに、どうしてその垣根を超えてくるのか……

(本当、理解ができないな)

寧ろここまで来ると最早梅谷はMなんじゃないだろうか?

「お前何の役職? 俺会長」

「副会長です」

「へぇ。んじゃ俺に1番近いわけか」

「業務上話をすることは多くなるかと思いますが、あくまでそれだけですので」

「あーあーわかってるよ。

でも、そっちはそうだけど俺はちげぇからな」


「……〝まだ〟ですか?」


「ん?〝まだ〟だぞ?? 

ーー俺はお前に惚れてるっつってんじゃねぇか」


それは中学生…確か中2の頃。
日直で放課後一緒に残っている時、言われた。

夕焼けが差し込んでいて、その赤さに負けないくらい顔を真っ赤にして貰った告白。

普段からチャラチャラしてるからきっと罰ゲームか何かなのだろうと思ったのに、全然違くて。
この男はこんなにも真剣な表情ができるのかと、本当にビックリした。

だがーー


「その話は、1番最初に言われた時断ってるでしょう?
その後も何回か告白されてますが、ちゃんとNOと言っているはずです」

「んな簡単に諦めきれるわけねぇだろうが。俺はまだお前のことが好きだ。こんなに好きになったのは初めてなんだよ」

「はぁぁ……
それでも、諦めてもらわないと困るんですよ」

どうせホイホイ寄ってくる生徒たちと毛色が違うからとか、そういう物珍しさなんでしょう?
それともこの長い髪? 整った顔? 角のない性格?

この世界に男女は関係ない、所詮は家同士の政。
この学園も男子校ということもあり男同士のカップルは多いし、私も別に偏見はない。

(でも、残念)


「私には、 ーー婚約者がおりますので」



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