404 / 536
中編: イロハ編
2
しおりを挟む「次のタイミングっていうかさ、それ待つよりこっちからタイミング作った方が早いと思う」
「だね、その方が手っ取り早いかも」
「作る…?」
「あぁ。例えば……誘うとか」
「誘う………」
誘うってどうやるの?
「エッチしよー!」って抱きついてみる? いや、それだと呆れられて終わりそう。
「お帰りなさい!ご飯?お風呂?それともわ・た・し?」っていうのも、そもそも一緒に帰ってるから言えないし…
うーんどうすればいいんだろう…経験ないから想像つかないや。
「誘うねぇ。
クスッ、アキはレイヤ誘ったことある?」
「えっ…と、い、一回だけ……」
「そうなの!? どうやって!?」
「ぁ……と…も、〝もっとレイヤが欲しい〟って…」
「もっと? その前に何かしてたの?」
「キス、してたかな……っ」
やっと治ってきたのに、またボボボッとアキの顔が赤くなり始める。
「へぇ。で? その後は?」
「え?」
「まさかそれだけで抱かれましたなんて、ないよねぇ?」
「ん、ハル?」
慌てて逆隣を見ると、黒い笑顔のままニコッと笑ってて。
「何て言ったの? アーキっ」
「っ!!
お、〝俺をレイヤでいっぱいにして、あたためて〟って、言いましたぁ……」
「ん。よろしい」
「ア、アキ」
じんわり涙を溜めながら必死に話すのを、ギュッっと抱きしめた。
あはは、なーんとなく分かってきたかも。
アキもあの笑顔には逆らえないんだね。流石お兄さん。
「いっぱいにしてあたためて、かぁ。
凄いね、よくそんな言葉浮かんだね」
「だ、だってクリスマスだったし…ツリーのプレゼント貰って、嬉しくて……」
「そっかクリスマスの時だったんだ。納得」
(いっぱいにして、あたためて…)
〝おれをカズマでいっぱいにして、あたためて……?〟
「ーーっ!」
「? イロハ、どうした?」
「顔赤くなってるよ? 言うの想像した?」
「ぁ、や!別に…っ」
待って、今更だけどなんか凄く恥ずかしくなってきたかも!!
おれ、こんなこと言えるの!?
い、いや何弱気になってんの、言うんだよ!
そうそう!言うんだ!!
「…………そう言えば、さ」
「なにハル?」
「僕相談された時から思ってたんだけど、もしかしたらイロハ〝だから〟カズマはエッチしないのかもなぁって」
「…? どういうこと?」
アキから離れて、ハルの方を向いた。
「カズマとイロハだったら、多分エッチする時はイロハが女性役…抱かれる方だと思うんだよね。それがイロハは嫌なんじゃないかってカズマは思ってるのかもって」
「っ、ぁ………」
ついこの前決着がついた、丸雛の件。
でも、カズマはおれが幼い頃からずっと性別で悩み続けてたのを知ってる。
だからもしかしたら、男なのに女の様に抱かれるのに、またおれが違和感を覚えるんじゃないかって…思ってる……?
折角折り合いついたのに、俺の所為でまた悩ませてしまったら…って、考えてる?
……おれを抱くことを、恐れてる…………?
「成る程…一理あるかもな」
「だよね、もしかしたらだけどそうなのかなってn」
「ーー馬っ鹿じゃないの?」
「「っ、イ…ロハ……?」」
馬鹿じゃないの? なにそれ。
は、嘘でしょ今更?
もしそんなくだらない理由だったら、思いっきり叩いてやろう。
「わぁ…なんか、2人に相談して良かったかも」
その視点は、全然考えてなかった。
「ありがとっ、2人とも」
「全然いいよ。イロハなら絶対大丈夫、こんな可愛い子に想われてるのに手出さないなんてありえないから」
「上手く進むといいな、イロハ」
「うんっ!ぁ、あのね、おれそろそろ……」
「クスクスッ、帰る? カズマに会いたいって顔してる」
「えぇ!本当に…?」
「ふふ。アキもレイヤのとこ行く? 僕今日1人でもいいよ?」
「はっ!? いや、俺は別に……っ」
「もー素直じゃない。アキも可愛い!」
「アキ可愛いー!」
「おゎっ!」
ハルと一緒にアキへ抱きついて、そのまま3人で後ろにポスンッと倒れる。
それから少しだけじゃれ合って遊んで
夜ごはんの時間の少し前に、部屋を後にした。
0
お気に入りに追加
352
あなたにおすすめの小説
壁穴奴隷No.19 麻袋の男
猫丸
BL
壁穴奴隷シリーズ・第二弾、壁穴奴隷No.19の男の話。
麻袋で顔を隠して働いていた壁穴奴隷19番、レオが誘拐されてしまった。彼の正体は、実は新王国の第二王子。変態的な性癖を持つ王子を連れ去った犯人の目的は?
シンプルにドS(攻)✕ドM(受※ちょっとビッチ気味)の組合せ。
前編・後編+後日談の全3話
SM系で鞭多めです。ハッピーエンド。
※壁穴奴隷シリーズのNo.18で使えなかった特殊性癖を含む内容です。地雷のある方はキーワードを確認してからお読みください。
※No.18の話と世界観(設定)は一緒で、一部にNo.18の登場人物がでてきますが、No.19からお読みいただいても問題ありません。
当たって砕けていたら彼氏ができました
ちとせあき
BL
毎月24日は覚悟の日だ。
学校で少し浮いてる三倉莉緒は王子様のような同級生、寺田紘に恋をしている。
教室で意図せず公開告白をしてしまって以来、欠かさずしている月に1度の告白だが、19回目の告白でやっと心が砕けた。
諦めようとする莉緒に突っかかってくるのはあれ程告白を拒否してきた紘で…。
寺田絋
自分と同じくらいモテる莉緒がムカついたのでちょっかいをかけたら好かれた残念男子
×
三倉莉緒
クールイケメン男子と思われているただの陰キャ
そういうシーンはありませんが一応R15にしておきました。
お気に入り登録ありがとうございます。なんだか嬉しいので載せるか迷った紘視点を追加で投稿します。ただ紘は残念な子過ぎるので莉緒視点と印象が変わると思います。ご注意ください。
お気に入り登録100ありがとうございます。お付き合いに浮かれている二人の小話投稿しました。
彼の理想に
いちみやりょう
BL
あの人が見つめる先はいつも、優しそうに、幸せそうに笑う人だった。
人は違ってもそれだけは変わらなかった。
だから俺は、幸せそうに笑う努力をした。
優しくする努力をした。
本当はそんな人間なんかじゃないのに。
俺はあの人の恋人になりたい。
だけど、そんなことノンケのあの人に頼めないから。
心は冗談の中に隠して、少しでもあの人に近づけるようにって笑った。ずっとずっと。そうしてきた。
この愛のすべて
高嗣水清太
BL
「妊娠しています」
そう言われた瞬間、冗談だろう?と思った。
俺はどこからどう見ても男だ。そりゃ恋人も男で、俺が受け身で、ヤることやってたけど。いきなり両性具有でした、なんて言われても困る。どうすればいいんだ――。
※この話は2014年にpixivで連載、2015年に再録発行した二次小説をオリジナルとして少し改稿してリメイクしたものになります。
両性具有や生理、妊娠、中絶等、描写はないもののそういった表現がある地雷が多い話になってます。少し生々しいと感じるかもしれません。加えて私は医学を学んだわけではありませんので、独学で調べはしましたが、両性具有者についての正しい知識は無いに等しいと思います。完全フィクションと捉えて下さいますよう、お願いします。
愛などもう求めない
白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。
「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」
「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」
目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。
本当に自分を愛してくれる人と生きたい。
ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。
ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
僕が玩具になった理由
Me-ya
BL
🈲R指定🈯
「俺のペットにしてやるよ」
眞司は僕を見下ろしながらそう言った。
🈲R指定🔞
※この作品はフィクションです。
実在の人物、団体等とは一切関係ありません。
※この小説は他の場所で書いていましたが、携帯が壊れてスマホに替えた時、小説を書いていた場所が分からなくなってしまいました😨
ので、ここで新しく書き直します…。
(他の場所でも、1カ所書いていますが…)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる