ハルとアキ

花町 シュガー

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おかえり編

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「…………は?」

待って、今レイヤはなんて……?
〝抱かせろ〟って、ん? 待って〝抱く〟?

抱くって

ここはベッドで、それで抱くってーー


「ーーーーっ!! ぇ、レイヤ、待っ!」


「待たねぇ」


シュルリとネクタイを自分の首元から外し、シャツのボタンを全て取って、今度は俺の服に手をかけ始める。

「っ、や!」

慌てて手を伸ばすけど、その前に簡単に脱がされてしまって……

「おねがっ、レイヤ!」

バタバタ必死に抵抗しても、全然止まってくれる気配がない。

(っ、うそ……)


待って。

ねぇ待って。
こういうのって、本当に好きな人とするものなんじゃないの?

(俺、まだレイヤから聞いてないっ)

ちゃんと面と向かって、その口から「好きだ」と聞けてない。
俺だって、まだちゃんと顔見て「好き」って言えてないのに。

なのに、なんでこうなってんだ。
本気で意味がわからない。


どれだけ力を入れて抵抗しても、所詮レイヤには叶うはずなくて。

(っ、くそ……!)

何だこいつは? そんなに俺のこと早く抱きたいのか?

(そんなの)


そんなの、そんなの…………



(ーーーー嫌だっ!!)



パチンッ!


「っ!?」

夢中になってるレイヤの両頬を、両手で思いっきり叩いた。
そのまま、グイッと俺の顔に近づける。


「レイヤはっ、俺のことどう思ってるの?」


「……は?」


「ちゃんと、俺のこと…す、好きだからっ、こんなことしてんの!?」



「…………はぁ??」



な、何だよ「はぁ??」って!

失礼な!俺、今結構勇気出して訊いたぞ!?
なのに、何でそんな「何言ってんだこいつ?」って顔されなきゃいけないんだ!?

ますます意味が分からなくなり何だか泣きそうになりながら…それでも譲らずに目の前の顔を見つめる。


「………はぁぁぁ。

あぁ、分かった。分かったから」
 

大きな溜息を吐いて、俺の手を自分の頬から外した。
そのままグイッと持ち上げられ、レイヤの膝の上へ横抱きに座る。

「力抜け」と言うようにポンポン背中を優しく叩かれ、ほぉっと息を吐いた。


「おい、アキ」


「っ、はい」


「お前、〝今更〟何の話をしてんだ?」


「………ぇ?」


「生きてる次元がおかしいんじゃね? 何でまだそんなこと言ってんだ」


「ーーなっ、は、はぁっ!?」





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