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真実編
[真実編]sideアキ: おぼろげな夢の中で
しおりを挟む【真実編】
『アキ…アキ、ごめんねぇ……っ』
声が、聞こえる。
とても苦しそうな声。
薄く目を開けると、そこは俺が幼い頃の部屋で
軽く手を動かすとそのサイズは小さい。
(なぁんだ、これ、夢…か……)
ぼぉっと自覚する顔に、ポタリポタリと雫のようなものが落ちてきた。
『?』
『アキ……』
見上げると、そこには眉間に深いシワを寄せながら大粒の涙を流している ーー母さんがいた。
(かあ、さん………?)
一体、どうして……
『アキっ、私が弱いから、いけないの…、っ、ごめんなさい、でも……どうしても、駄目で…っ』
何度も何度も…ただ、母さんに謝られる。
(なんだろう…これ)
昔……俺がこれくらいの年齢のころ、そう言えばこんな事があったのかもしれない。
目を覚ませば忘れているような、何でもない出来事のようなもの。
身体は、それを覚えていたのだろうか?
『アキ、アキ…ごめん、な、さ……おかあさん、弱くてごめんねぇ………っ』
母さんはただただずっと、苦しそうに泣きながら謝罪を述べていて。
そんな母さんに、俺はどうしたんだっけ……?
『ーーぉかあ、さん………』
(あぁ、そう)
おぼろげな意識のまま、泣いてる母さんの頬に手を伸ばしたんだ。
『ぉかあさん…なかないで? だいじょうぶだよ……』
『っ、アキ………』
『だいじょうぶだから、ね? なみださん…しまってあげるね?』
泣いてるのが嫌で、涙を拭おうと小さな手で目元を何回も撫でてあげて。
そうしたら、もっともっと大粒の涙がポロポロ溢れてきて。
『~~~~っ、アキぃ』
ぎゅぅぅっときつく母さんに抱きしめられた。
それに凄く安堵して…そのままもう一回眠ってしまったんだ。
ふふふ、変なの。
(なぁんだ、俺)
ちゃんと…母さんにーーーー
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