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文化祭編
sideアキ: ここは何処?
しおりを挟む「ーーん…んん………」
ぼんやりと目を開けて、ぼーっとする。
(あれ? ここ、は……)
俺、何してたんだっけ………
「っ!」
(そうだ、確か救護室であの変質者に!)
「ぁ、れ…っ、くそ……」
寝ていた場所から起き上がろうとして、上手く力が入らずにガクッとまた戻ってしまう。
「ここ、何処……」
薄暗くて、周りがよく見えない。
それに、何だかまた花の香りが…
救護室で嗅いだものとはまた違う、もっと甘ったるい匂い……
「っ、やば………」
もともと体調が悪かった分、一気に気持ち悪さがきた。
(頭がグラグラ…する……どうしよ……っ)
「ーーハル様、起きられましたか?」
「っ!」
ゆっくりと、例の声が近づいてきた。
「嗚呼…怯えたハル様もとても可愛らしい……っ! 着物も、本当によく似合ってます…お綺麗……」
「き、君は誰…なの………?」
「はぁっ、ハル様の声がこんな近くで聞けるなんて…それだけでイッちゃいそ……」
(っ、話通じないのかよ)
会話にならないのは、いよいよやばい。
その子はポーっとした目で寝ている俺を見下ろして、はぁ…とうっとりため息を吐いた。
「ハル様…僕、ずぅっとずっと貴方を見てきました……」
本当に小柄な、細っこい子。
ぱっと見の印象では、とてもじゃないがストーカーまがいの事をしているとは考えられない。
(くそ……っ)
勝手に、もっと大柄で嫌な目つきのやつだと思ってた。
先入観ほどあてにならないものはないと、今更になって実感する。
「ねぇ、ハル様。見てください」
ピッと、その子の手がリモコンで部屋の電気を付けた。
「ーーーーっ、な………」
明かりに照らされた部屋は、そこら中一面俺の写真が貼られていた。
(これは…異常すぎるだろ……っ)
きっと、誰が見てもやばいと思う。
ーー純粋に、恐怖がせり上がってきた。
(っ、待って…流されんな俺っ!先ずはここが何処か確認……!)
写真だらけの部屋を改めてよく見ると、ここが寮の一室だという事がわかる。
俺は今、部屋の中心にあるベッドの上に寝かされている。
救護室から意識のない俺を1人でここまで運んだのだろうか。
(こんな小さい子のどこに、そんな力が……)
「ハル様っ、気に入ってくれましたぁ……?」
「…どうして……こんなに僕に執着するの………」
「あぁっ、そんなのハル様だからでしょう?
やっとこの世界にハル様をお連れする事ができた…あぁ…ハル…さまぁ……っ」
「ぇ、ちょっ!」
突然、目の前の子がガバッと覆いかぶさってきた。
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