ハルとアキ

花町 シュガー

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期末テスト編

sideアキ: 期末テストの順位は…

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「うわーきんちょーする……っ!」

「ぼ、僕もです…!!」

「ふふふっ、大丈夫だよー2人とも。あんなに頑張ってたじゃん!」

目の前でブルブル震えるイロハとタイラの頭を、よしよし撫でてあげる。


期末テストは3日間おこなわれた。
みんな一生懸命ベストを尽くし切って。

いよいよ今日。
廊下の掲示板にテストの順位が張り出される。

「人が多いな」

「そうだね。なんだかクラス分けの時思い出すねっ」

「あの時の佐古くんカッコよかったなぁ!」

「チッ、止めろ」

「えぇ!なんですかそれ? 教えてくださいっ!!」

わいわい話していると、ザワザワと大きなざわめきが近づいて来た。

「ん、遂に張り出されるみたいだな」

「っ、うぅぅ……カズマ」

「大丈夫だイロハ。あんなに頑張ってただろ。自分を信じろ」

「う、うん……!」

周りの生徒も、みんなが緊張しながら先生方が貼り付けているのを見てる。

そして、バサッと一気に紙が広げられた。

「わぁ…文字が小さいね……」

「これは、見えないな……」

「どうする? またあの時みたいにおれたちが見に行く?」

「うーん…でも、みんなで見たいなぁ……」

結局人が引くまで待とうってなって、一旦後ろの方に移動しようかと歩き始める、と


「た、小鳥遊様っ!」


「? あ、君達は親衛隊の……」

「俺たちもう見終わったんで、ここの場所どうぞ」

「わぁ、いいの?」

「どうぞどうぞ、僕たちもう教室帰るので」

「ありがとう!」

ハルの親衛隊のメンバーが、前のスペースを譲ってくれた。

「ハル、親衛隊と凄くいい関係築けてるよね、すごいや」

「本当、尊敬する」

「ふふっ、みんないい人たちなんだよ。いつも助けてもらってるんだ」

「ハル様は素晴らしいんですよ!? この前だってーー」

「はい、タイラ今はその話いいからっ。順位見に行こうね~ほら手繋いであげるねっ!」

「ひぅっ!ハ、ハル様……っ」

「ふふふふっ」


わいわいと空いているスペースに移動して、一緒に掲示板を見上げた。

「っ、あ!佐古くん、1位だ!!!!」

「待って下さい…ハル様も1位です!!」


〝1位 佐古ヒデト 500点
    小鳥遊ハル 500点〟


「わぁ……佐古くん、やっぱ頭いいねぇ」

「お前もだろうが」

「500点って……満点!?」

「すごっ、すごいです…!」

「おめでとう、佐古、ハル」

「ふふっ、ありがとう!」

(よかった)

生徒会でバタバタしちゃったけど、でもなんとか大丈夫だったな。

「俺は……2位か」


〝2位 矢野元カズマ 489点〟


「おめでとうカズマっ」

「てめぇも十分じゃねぇか」

「ありがとう2人とも」

「後はイロハとタイラだね」

「あの2人は何処だ……?」

1位からスィーっと2人の名前を探していく。

「わー!!」

「っ、イ、イロハ……?」

「どうしたんだ…?」

「か、カズマ!ハル!佐古くん!」

「っせぇな…なんだよ……」

「お、おれ…おれ……っ、ーー18位だ!」


〝18位 丸雛イロハ 455点〟


「イロハ18位!すごいよっ、おめでとうー!」

「400点超えどころか450点超えてるじゃないか……やったなイロハ」

「ふぇ、ありがとぉぉぉ!おれ、こんなにいい点数取ったの初めてだよ!!みんなのおかげ!」

えぐえぐと涙ぐむイロハの頭を、佐古が「うっせぇなぁ」と言いつつぐしゃぐしゃ撫でてあげてて、見ててすっごいほっこりする、いや本当に。

(さて、後はタイラだけだけど……)

どうだったのかな?
なんか…プルプル震えてるけど……

(もしかして、点数悪かったのかな)

「タイラ……?」

「ハル…様………」

「は、はい」

ゆっくりと、タイラが掲示板を指さす。
その方向をゆっくりと見上げた。


〝23位 星野タイラ 425点〟


「わぁっ、タイラも400点越えだよ!」

「おめでとう、タイラ」

「ぼ、僕が400点越え…なんて……っ」

「このまま行けば、来年は同じクラスになれるんじゃないのか?」

「っ、はぃ!僕っ、もっともっと頑張ります!!」

「わぁータイラちゃんんん!」とイロハが抱きついてて、タイラもえぐえぐ言いながら抱きついてて…2人とも何かすっごい可愛い……


「ーーん、そろそろ帰るか」


「そうだな」


そんな2人を周りから隠すようにして、カズマと佐古が動き始めた。

「ほら、まだ見れてねぇ奴らがいっから、場所譲るぞ」

「っ、ぅん、わかった!」

「そうですね、譲りましょう!」

「ん。ハルも帰ろう」

「ぁ、うんっ」

4人の後をパタパタ追おうとして、

(あ、そうだ)

くるっと振り返り、隣の2年生の掲示板の方を見上げた。


〝1位 龍ヶ崎レイヤ 500点
       月森ミナト 500点〟


わぁ、月森先輩も1位か。流石だな。
あいつも1位だったか、しかも満点の。

(まぁ、そうだろうとは思ってたけどなぁ……)


ポソッ

「おめでとう、レイヤ」


「ハルー? 帰るよー!」

「ぁ、うん!ごめんごめんっ」

待ってくれてるみんなの元に、パタパタと駆けて行った。








【side:レイヤ】


放課後の、静まり返った掲示板前。
ひとり、2年ではなく1年の紙をじぃっと見つめる。


〝1位 小鳥遊ハル 500点〟


「ハッ、まぁそうだろうなぁ」

こんなもんだろうとは思っていた。
満点なのは、俺への負けず嫌いな部分も入ってそうだなぁ。

(あいつも、こうやって俺の順位を確認しただろうか)

そして、「まぁそうだろうな」と思っただろうか?

「クククッ」


(ーーあぁ、会いたいな)


最近、日に日にあいつへの思いが大きくなってしまってどうしようもない。

困り顔に、照れた顔に、笑った顔に……
もっともっと、いろんな表情を見てみたい。

(それにしても、最近どうもエロいんだよなぁ……)

先ずはキスから慣れさせるかと思って事あるごとにしているが、だんだんと表情が嫌がる顔にから別の顔になってきたように思う。

「はぁぁ…くそ……」

(耐えられるのか俺?)

そのうち、うっかり手が出てしまいそうだ。
こんなこと今までなかったのに…好きな奴相手だとこうなるんだな……

今までの俺だったら直ぐに手を出してた。
それをしないのは、生徒会でハルを押し倒した時に言われたあの『人間ですか?』という言葉があるからだ。

あれは正直痛かった。
今も、軽いトラウマのように胸に刺さっていて。
流石にもう嫌われたくはねぇしな。

やっと、少しずつ縮まってきてる距離。
これを崩したくないと……大切にしたいなと、思う。

あぁまったく、自分自身の変化に自分で驚く始末だ。

(ま、悪くはねぇけどな)

あいつによって変えられていくのは、悪いとは思わない。
寧ろ、これからどんな変化が起こるのか楽しみだ。

そして、変えられるだけは癪だから俺もあいつを変えていってやる。


「クククッ。さて、帰るか……」


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