ハルとアキ

花町 シュガー

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親衛隊編

[親衛隊編]sideアキ: ただいまハル! 1

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バタンッ!


「ただいま! ハル!!」


「ーーおかえりっ、アキ」


今週から新学期が始まって、入学式も無事に終わり。
学校全体がひと段落し、夏に向けて動き出す頃。

そんな土日の休日、俺は〝定期健診〟いう名目の元、報告の為家へ戻って来た。
勢いよくハルの部屋のドアを開けて、ベッドにいるハルの元へ一目散に駆け寄って、そして。

ぎゅぅぅぅ

「ハル……っ」

「わっ…と。もー、どうしたのーー?」

(ハルだ、ハルだ……っ!!)

今までこんなに離れたのは、昔ハルが大きい病院に入院してた時くらいだった。
ハルの久しぶりの体温も声も、笑顔も、全部に
俺の体の細胞全部が、嬉しいって叫んでて。

でも

でも、それ以上に……


「もーアキー? ぎゅーキツいよ、いい加減離して顔見せて? アーキ、

…………アキ?」


「ーーっ、ひくっ、ハルぅ……っ」


(名前…っ、久しぶりに、呼ばれたぁ………)

ぽろぽろ、ぽろぽろ

泣くつもりは無かったのに、後から後から涙が出てくる。

自分の名前を呼ばれないことが、こんなに苦しくて悲しい事なんて久しぶりに思い出した。

ハルとして生活して、ハルとして笑って、ハルとして戦って。
知らないうちにアキって呼んで欲しいと思ってる自分がいたのかもしれない。

俺は〝ハル〟だけど〝アキ〟で。

(ハルにしか、ちゃんと呼んでもらえないから…)

だから、早く逢いたかったのかな………?


「うぇ……っ、ふっ、グズッ…ハルっ……っ」


「………アキ。 アキ、大丈夫だよ」


ハルの肩に顔を埋めてグズグズ泣く俺の背中を、

優しい体温が、そのままよしよしと撫でてくれた。



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