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婚約者編
2
しおりを挟む俺は、小鳥遊の裏の目的である「ハルが安全に、幸せに暮らす為に非常に最適であった」という事は伝えず、
表面上の「龍ヶ崎と小鳥遊の提携」という面での婚儀である事だけを伝えた。
「成る程、な…所詮は経営者同士の祭り事か……」
「要するに、今回の婚約は小鳥遊くんのご両親が勝手にお決めになられたという事なんですね…」
「はい。名前だけは聞かされていたんですが、それ以外は全くで……」
「そっか、だから入学式の時ビックリしてたんだ!」
「うんうん。まさか生徒会長だとは思わなかったよ」
謎解きのようにドンドンみんなの疑問が解けていってるのか、それぞれ「納得」という顔をし始める。
「それにしてもさ、食堂でのハルすっっっっごいカッコ良かったんだよー梅ちゃん先生!櫻ちゃん!!」
「俺もびっくりした。あんなに視線に怯えてたのに、よく耐えられたな」
「ふふふ。 なんかね、これから先の将来の事とか今目の前の人と生涯共にするかもしれないんだとか、色々考えてたら、視線なんてどうってことなくなってた」
「ハルは強いな」
よしよしとカズマから頭を撫でられて、かなり嬉しい。
「なんせ、あの生徒会長様にも立ち向かったからね!」
「本当対等に話せてたな、流石は小鳥遊だと思った」
おれなんか、会長様に近づかれるだけで固まっちゃって……
クスクス、あの子は独特の雰囲気がありますからね。私も立ち向かう小鳥遊くん見たかったです。
もーねー櫻ちゃん!本当に本当に凄かったんだよ!!
わーわーと食堂の話題で盛り上がっている。
(いやぁ、正直もうなりふり構ってられなかったしな)
元々、会ったら取り敢えずガツンと一発言っとこうって決めてたし。
スッキリはしたかな。
さて、これからだ。
(龍ヶ崎とは、納得行くまで戦わねぇと……)
ハルの為にも、徹底的にやってやる…!
Prrrrrrr………
「ん、俺か。 ……学年主任?」
梅谷先生のスマホが鳴って、「悪い」と片手を上げて先生が離れて行った。
『お疲れ様です、梅谷です。 はい、はい。
…え、どういう ………っは?』
「…? 梅ちゃん先生どうしたんだろう……」
「なんか、焦ってるな」
「どうしたんだろうね」
「とりあえず、電話が終わるまで待ちましょうか……」
焦ったように『ちょ、もう決定事項なんですかそれは』と食らいついている先生にちょっと不安になる。
暫くして電話が終わり、先生は「あぁぁくそ……なんだこれは…フルコンボかよ………」と項垂れていて。
「……どうかされたんですか? 梅谷先生」
「う、梅ちゃんせんせー?」
「大丈夫ですか…?」
ポツリ
「…………おい、小鳥遊」
「……? はい」
天井を向いてため息を大きく吐きながら、梅谷先生が言った。
「お前、本日付けで生徒会役員に任命されたそうだ」
「…………は?」
(せいと、かい、やくいん……?)
せいと、かい
〝生徒会〟
え、
「えぇぇぇ!?!?」
[婚約者編]-end-
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