ハルとアキ

花町 シュガー

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婚約者編

sideアキ: 龍ヶ崎レイヤという人物

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〝龍ヶ崎〟

それは、日本の有名な家具メーカー。
龍がモチーフの焼き印が入っている家具を知らない日本人はいない。
小鳥遊とも度々共同して、電動式マッサージチェアーなどの様々な商品を編み出している大事な会社。

そこの息子が〝レイヤ〟。
歳は俺たちより一つ上の先輩で、2年生から生徒会長を務める実力者。
成績優秀、容姿端麗、絶対的存在感。
その全てを〝完璧〟に兼ね備えている。

ただーー


「〝性格〟を除いて……ね?」

入学式を終えて半ば放心状態になりながら(イロハが引っ張ってくれました)教室に戻って。
椅子に座る俺の周りに3人が集まって、説明してくれた。

「な、なんであんななの……?」

「なんで…か、なんでなんだろうな」

「うーん、もうあの人の個性としか……」

「みんなあのギャップが良いって言ってるしな……」

(個性?ギャップ?)


はっ。


「ばっかじゃないの……?」

「ハ、ハル?」

意味わかんない。

学校行事である式典であんだけ好き放題して、個性って言えば許されるのかよあれで。

「……周りに注意してくれる奴がいなかったんじゃねぇの?」

「わっかんねぇけど」と佐古がくぁぁっとあくびしながら答える。

「注意?」

「あいつ何でもできんだろ、異例の2年で会長できるくらいに。だからあいつにあぁだこうだ言える奴がいないんじゃねぇの」

「確かに。だが、実力があるのも確かだからな……」

「ねー……」

〝実力〟

(実力があれば、何してもいいの?)

やりたい放題のスピーチして、なんだあの王様気取りの奴は。
あんなの社会じゃ通用しない。
ただの、お山の大将だ。

…ってか、

(ハルのこと任せられるかもとか一瞬でも思ってしまった俺のこと、本気で殴りたい……)

あんな実力しかもってない奴にハルをだと??
なに考えてんだ母さん父さん。

きっと両親の前では猫かぶってたな。あいつならやってそうだ……
あの外面の良さは確かに騙される、俺も騙された。
あぁぁくっそ……!あんな外面だけいい俺様猫かぶり野郎にハルなんか任せられっか!

(ぜってぇハルは渡さねぇ…!!)

俺は絶対、認めない……!


ヒソヒソ……

「ね、ねぇハルなんか機嫌悪い…?黒いものが、背中に……っ」

「そうだな……」

「おい、お前ずっと隣いただろ。なんかなかったのかよ」

「えぇぇ、な、なにもなかった…けど……」

「お前が気づいてねぇだけなんじゃねぇの?」

「そんなぁ……」




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