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友だち編
sideアキ: 俺の大切な片割れ
しおりを挟む『ごめん、ごめんねアキ……』
ハルは昔からこれが口癖だった。
俺たちは一卵性の双子で、ハルの方が先に生まれたから俺が弟。
俺は健康に生まれたけど、ハルは生まれてすぐに泣かなくて、呼吸困難な危うい状態になってしまって。
保育器の中に入れられたハルをやっと抱けたのは、俺を抱いてかなり時間が経ってからだったらしい。
『あなたがハルに早く出て早く出てって言ったんじゃないの? ハルを押したからこんな危ない状態で先に生まれたんじゃないかしら?』
幼い頃から、特に母さんはそう言ってハルにずっと付きっきりだった。
父さんも、俺の方なんて1度も向いてくれなくて……
(もしかしたら、本当にそうなのかもしれない)
狭いから早く出て出て、って
俺がハルを押したのかもしれない。
本当にそう思ってしまって……
でも、
『アキ。アキはね、ぜーんぜん悪くないんだよ? きっと僕が待ちきれなくて先に生まれたんだと思う。
だから、泣かないで?』
ハルがもっと嫌な性格だったらよかったのかもしれない。
ハルは、幼い頃からどんなに両親や親戚の人たちに大切にしてもらってても、いつも1番に俺のことを考えてくれた。
『僕はこれでもアキのお兄ちゃんだからね、アキの考えてることは何でもわかるんだよ?』
怖い夢を見て眠れなくなった日は、両親に怒られるのを承知で一緒に寝てくれた。
体が弱いハルは、外では遊べなくていつもベッドにいることが多くて。
だから、俺がめいいっぱい外で感じたことをハルにあぁだこうだ話して聞かせた。
両親や親戚の人たちに冷たく扱われたり、辛いことを言われて泣きそうな日も、ハルはちゃんとそれをわかってて。
『僕がこんなだから、お母さんもお父さんも僕がとっちゃったね。嫌なことたくさん言われるね…ごめん、ごめんねアキ……』
俺が言われたのに、俺より辛そうな顔して抱きしめてポロポロ泣く、そんなハルだから。
『ハル、ハル泣かないで? ハルは何にも悪くないよ、俺ね、ハルがいてくれて本当に嬉しい。
ハルと双子で、俺本当によかった』
いつもそう思ってるよって言うと、もっと泣き出す……そんなハルだから。
俺は、何でも耐えられる。
何でも我慢できるんだ。
ーーそんな、俺とハルの物語。
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