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彼⑤
本能は突き切る……
しおりを挟む「ちょ、ちょっと待って……」
身体と気持ちが追いつかないまま
彼は服を脱がせて来る。
そして絶妙な所にキスをたくさんしてくる。
「いや、私ちょっと節々痛くて風邪っぽいんだよね。。。」
彼は止まらない。
今度は唇を重ね合わせて来て
喉の奥がつかえそうなほどに
絡ませては
手が少しずつ中に入ってくる。
何故だか抵抗出来ない。
意とは反して
恍惚感が身体の中をほと走る。
ダメだダメだ。
いや、でも、
あぁ、、、
身体は休んだ方が絶対に良いのに
心は一つになりたくて
凝り固まった芯が解けていくかのよう。。。
「ねぇ、ばばぁとセックスしたいの!」
それでもアタマは何かを拒んでいて
ちょっとからかって止めようとしてみる。
「したい。
君はばばぁじゃないよ。
ゴメン。
もう二度と呼ばないから!」
そしたらまた彼は深くキスをして来た。
アタマの中が
"拒絶"から"もっと………"に切り替わってくる。
✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎
彼はとてもスタイルも顔立ちも整っていて、巷ではとても人気のある人だ。
私もただ"羨ましい"
"あんな顔とスタイルだったら何の不満もないだろうな。。。"
そう思う1人のオバサンだった。
しかし、彼の心の内側を観察してみると、違ったんだ。
"アイツは見た目だけで中身が何もない"
"顔だけで仕事取ってる"
お決まりのパターンで
数え切れないほど、スタイルと顔が良すぎるがため、誹謗中傷を浴びせられてきたみたいだった。
彼とは出逢ってまだ1ヶ月くらいだけれど、私の"全て"を筒抜けのように理解してくれていた。
繊細すぎるこの性格に
ほとほと自分でもうんざりしていたが、
彼は面倒がらずに
真正面から受け止めてくれたんだ。
「お前のイノチのほうが大事だろう‼️‼️‼️」
「俺の目をしっかり見ろ。
他にも何も考えるな‼️
変な考えがよぎったら、俺だけを見ろ‼️俺だけのことを、考えろ‼️」
ある角度から見れば、
私の夫は精神的DVだが
また異なる角度から見れば
夫自身もまた大きな"傷"を負い、苦しみながら生きている可哀想な人だった。
だから互いに
こんなに精神的に鍛え合えた事は
感謝で奇跡でしかない。
しかしながら、
"恨み"に転じそうなとき、
"憎しみ"が生まれそうなとき、
自分が怖くて怖くて、
気付けば彼の名を心でずっと叫んでたんだ。。。
「助けて‼️‼️」
ここ数日はガッツリ落ち込んでいたから、家では声も出なくなって、体調も崩してた。
そんな時に彼は
超絶多忙なスケジュールなのに
嫌な顔一つ見せず、
"私のイノチ"が大事だと言ってくれた。
こんなに人格者はいないだろう。
だから私は彼に
「あなたはホンモノのスターだね!」
両手で私の顔を包み込んでキスをしてくれる彼の手に、私の手を被せてそう伝えたんだ。
そしたらさ、
彼、泣くんだもん。。。
「ありがとう………」
って。。。
時に美しすぎると
この様な葛藤も産み、誰とも苦しみを分かち合えず孤独に苛まれるみたいだ。
私はホドホドで、良かったな
なんて考えたりもしていた。
"心"が通じ合った夜だったから、
彼が求めてきては、
ちょっと応じてまた寝て、、、
を何度も繰り返して
気付けば朝方になっていた。
✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎
「ダメだ、我慢出来ない………」
お決まりのセリフの様なモノを吐いて、
激しく私の身体を求めてきた。
入ってくるのが分かると
背筋が反り返ってしまう。。。
こんな時
"自我"が消えていくから不思議。。。
目の前の彼の事しか
考えられなくなって
「もっと…」
なんて誰にもお願い出来たことなかったのに。。。
奥の奥に彼を感じると
全身が、熱を今まで以上に帯びて首筋から汗が流れて来る。
今日は異常に感度が高いらしい。
あまりの気持ちよさに
脳が溶けそうな感覚にさえ陥る。
どこに逃して良いのか分からない電気のようなものが身体中を巡るもんだから、
キツくシーツを握りしめて、腰が逃げる。
でも彼は迷わず私を逃さない。
絶頂を迎えそうなとき、
彼はイジワルをしてきたんだ。
「ちょっと、休憩!」
そう言ってわざとズラして
楽しんでるようだった。
こう言うときはもう迎えるのは
諦めようと思ったが
彼は絶妙に責めてきて
また不意にスイッチが入る。
間も無くして
2人同時にその"時"を迎えるその瞬間が、、、
「ダメ………!!!」
口も塞ぎあって
身体はきつく抱き合って
全身に力が入って、、、
「愛してる………」
私はこの人にどれ程
救われたのだろう。。。
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