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三章 いざ、入試へ!

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『アーネミリア、駄目じゃない。
 そんな、頭の痛みを押してまで考えないでよ!』

 また、あいつがそこにいる。

「なんで、ここにいるの?」

『あなたが心配だったからよ!
 まさか、無理に思い出そうとするなんて』

 おろおろと慌てている。
 なんだか、おもしろい。

「あれっ、ここは?」

 ふと、気づけば周りは真っ白。
 また部屋に出たのかと思っていた。

『ここはあなたの夢のなか。
 あのまま気を失ったのよ』

 ということは……

「お父様の前で!?
 ああ、なかなかお会いできないのに、そんな失態を犯してしまうなんて……」

『気にするの、そこなのね』

「そ、それは、まあ。

 ……、ねえあなたの名前、教えてよ」

 なんとなく、今ならば教えてもらえそうな気がした。
 それくらい、今のあいつは無防備に見える。

『…………。
 いいわ、教えてあげる、私の名前。
 でも、約束して。
 これ以上、あなたのもう一つの属性を考えないこと。
 あと、私の名前を聞いて、なにか思うところがあっても探らないで』

 じっと見てくるあいつが不思議だったけど、うなずく。
 あいつは一度深呼吸すると、口を開いた。

 『ラ、ランス。
 それが私の名前』

「ランス、そう。
 聞いたことが、ある気がする、その名前」

 じろりと睨まれて、慌てて考えるのをやめた。
 約束してしまったからには仕方ない。

「いつかは、わかるかしら。
 私の属性について」

『必ず。
 そのときまで、あちらの家族を思い出すのも、できればやめて欲しい』

 なぜ?そう聞くと、あいつ、ランスはぐっと何かを決心したようにこちらを見た。

『あなたに空間属性があることは知っているでしょう。
 その強さは、他の人の比ではないの。
 まだ地球の家族たちと強い絆で繋がっているのもあるけど、異世界への、地球への扉をこじ開けてしまうほどに。
 それは、とても危険なことなの。
 だから、やめてほしい。
 ただでさえこじ開けていたのに、魔力を解放したから、これから余計に心配だったのよ。
 普通は、マジックボックス作ったり、行ったことがある場所、それも比較的近い場所に転移するくらいしかできないのよ。
 でも、あなたは違う。
 それは学園の先生方も感づいているわ』



 いけない、いけない思わず呆然としてしまった。
 私、そんなことをしていたのか。
 確かに、向こうの両親にはすごく会いたい。
 でも……。

「極力努力します」

 うう~、と少し泣きそうになっていると、ランスがありがとう、とお礼を言った。

 また、来るね。
 そう言ってランスは消えていった。
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