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二章 兄 学園へ

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 最近ようやく僕呼びが直ってきた。
 一応こちらでは貴族令嬢。
 私と呼ぶようにと言われ、特訓した成果だ。

 私が今1番悩んでいるのは、唐突に悲しくなること。
 前世、での家族や友達を思い出して、泣いてしまう。
 一人のときはまだいいのだが、お兄様など人が居るときはひどく心配させてしまうのだ。
 お母様が一緒のときは、黙って頭を撫でてくれた。
 これも早く直さなければ。 

 ちなみに、魔力の暴走はたまに起こしてはきらきらを足されたり、少なくしたりしている。
 つけているものを摘まんでじっと見ていると、先生が苦笑していつか教えてあげます、と言われました。

 まあ、悩みはありつつ、平和に楽しく暮らしてはいます。

 今日はお兄様が学園に入学する日。
 朝から緊張した様子だった兄様は、ぼ、私をぎゅっとしたあと、お母様と馬車に乗っていった。
 お父様は後で合流するらしい。
 
「さて、では我々も始めましょうか」

 先生の声で、私も屋敷の中へと入っていった。

「そういえば、正式に自己紹介をしていませんでしたね。
 これからアーネミリア様の家庭教師を務めることになります、スノーリー・ハーケルトと申します。
 一応伯爵家の次男ですが、まあしばらく帰っていないので名ばかりです。
 父は僕の考え方が気に入らないようなので。
 今はここで住み込みで雇っていただいています。
 こんなものですかね。
 これからよろしくお願いしますね」

「はい!
 よろしくお願いします」

 元気のいい、私の返事にスノーリー先生はにっこりと微笑んだ。
 今日は初日とあって実力テスト。
 内容は、最初の方は結構簡単。だけど、先に行くにつれて難しくなる。
 計算はまあ、予想通り最後まで普通に解けたけど、問題は歴史とか。
 
 そうそう、この世界は紙は一枚ずつ手作りしているから高級品。 
 インクは植物から抽出したもの。
 使い勝手はまあ、悪いかな。
 やっぱり、シャーペンとかのすらすらいく感じを知っていたら、なれるまで付けペンは大変です。
 いわゆる平民は紙は高すぎるので木を薄めに削ったものを使うのが一般的。
 学校でも木を使うのが普通みたい。だけど、教科書は紙。
 皆大切に使って弟妹に引き継ぐ人が多いよう。
 で、私もそうだったんだけど、子供が文字を練習するときは砂を使う。
 字の練習用の砂が売っている。
 枠に砂を流し、ペン代わりの棒で書いては消してを繰り返して文字を覚えたのだ。

 テストが終わった。
 目の前で採点されると緊張する……。
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