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十二章 学園生活2

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 さっそく次の休みから診察所に顔を出すことに。今日はそれに合わせてシンプルなつくりのドレスを選んだ。よし、頑張るぞ!

「そんなに気合を入れなくて大丈夫よ。
 皆さん穏やかな方が多いから」

 初めて診察室に入り、本当にこれから光魔法を使うんだ、と思うと緊張してきた。すると、母様がうしろから肩をたたいてそういってくれる。ううう、緊張の原因はそこではないんだけれど……。

「ほら、これでも飲んで」

 そういって渡してくれたカップから漂うのは、カモミールのような香り。きっとこれにも緊張を和らげるような効果があるのだろう。ありがたくいただくことにした。

「おいしいです」

「後でベンネにお礼を言うのね」

 ベンネが……。その気持ちがまずうれしい。はい、と返事をするとカップの中を飲み切り、気持ちを切り替えることにした。

「大丈夫よ。
 緊張するということは、それだけ自分がやることの重みをわかっているということなのだから。
 ひとまずはそれが一番大事よ」

 最後にギュッと抱きしめてくれる。うん、頑張れそうだ。


「奥様、人を通し始めても大丈夫でしょうか?」

「ええ、大丈夫よ」

 まずは母様について人を見ていけばいいんだよね。ざわざわとした声が聞こえてくる。少しして人が入ってきた。顔色が悪い人もいるけれど、元気そうな人もいる。本当にいろんな人がいるんだな。

「おや、今日はかわいらしい方も一緒なのですね」

「ええ。
 見習いでね、娘も今日から学園が休みの時は手伝ってくれることになったの」

「それはいいですね」

 にこにこと笑ってそういってくれるのは、優しそうなおばあさん。この方は、病気でここに定期的に来ているそう。でも、ここは何の病気なのか知るすべはないとのこと。結局は治癒魔法で治してしまうから知らなくてもいいってことかな。


「アーネ、せっかくだからやってみる?」

「さ、さっそくですか?
 一度、お母様がやっているところを見たいです……」

 さすがにしょっぱなからは怖い。そういうと、あら、そう? といわれてしまった。なんか、こう軽いんだよね……。

 母様はいくつか簡単な質問をした後におばあさんの手を握ると、ほわっと柔らかい光をだす。

「はい、これで大丈夫ですよ」

「ああ、ありがとうございます」

 そう、これでおしまいだよね。うん、横で見ていてもわかりません! そのままおばあさんが去っていくと何かわかったかしら? と困ったように笑う。うん、わかりません! 母様はこうなるとわかっていたから初めから私にやらせようとしたのか。
 ということで、さっそく次の方から私がやってみることにしました。

「そうそう、それで大丈夫よ」

 じっと横で見ていた母様がその患者さんが帰っていくとそういう。な、なにが見えているのだろう。でも、母様が大丈夫というならば、きっとうまく魔法陣を選ぶことができたのだろう。


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