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九章 初めての夏休み

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 その後、兄様が部屋にやってきて同じように、急な母様の提案に困惑していた。
 でもせっかくだし楽しもうか、と言っていた。
 やっぱり兄様でも覆せなかったか……。


「っていうことが、昨日ありました」

 学園で、その話をするとルカさんがあら、と苦笑していた。

「それはみなさん大変そうですわね」

「やっぱり大変なのですね。
 昨日侍女が顔を青くしていました」

「準備をする期間が短いですから。
 でも……、でしたら夏休みはお忙しいかしら?」

「そこに行く以外の予定は特にないですよ。
 どうかされましたか?」

「いえ、ただよろしければどこかに遊びにいかないかと思ったのです」
 
 少し顔を赤くして、下を見てルカさんがそういう。
 その様子がとても可愛らしい。

「ええ、もちろんです!
 帰ってきましたら、ぜひ行きましょう」

 誘ってもらえたのが嬉しくて、思わずハイテンションで返してしまった。
 やってしまったかな……?
 ルカ様は少しきょとんとした後、本当に嬉しそうに笑ってくれた。

「ありがとうございます」

 旅行?に行くことも決まったし、ルカさんと遊ぶことも決まったし、今までとは違う夏休みが過ごせそうだ。
 こんなに楽しみにしたことはきっとない。

 
 そんな嬉しい気持ちで屋敷に帰ると、なんとういうか一部の人たちが忙しそうに動いていた。
 ベンネに尋ねてみると、どうやら急遽旅行が決まったことでその準備にいそしんでいるらしい。
 そんなにも準備するものがあっただろうか、と思うくらいに忙しそうだ。

「ああ、アーネ様。
 あとで確認をお願いいたしますね」

 急にそう言われても何のことかわからない。
 きょとんとしていると、旅行にもっていくもののことだったらしい。

 これは確認も大変そうだ……。
 正直げんなりしたが、用意している人たちがとても頑張っているのがわかるから私も頑張らないとね!

 そして一週間後の今日、ようやく準備が整い出発したのだ。
 荷物はもちろんまとまっている。
 あれでもない、これでもないとさんざん苦労したが本当良かった。

 


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