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第二話

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ちょ⁉
「だから、高いし怖いってっ!」
私、今、空を飛んでおります!
これがもし、自分の意思ならどんなに嬉しい事か!
さっきの言葉でわかったと思うけど、私はリファエルに抱きかかえられながら、空を飛んでおります!
もう、高すぎて…
「まだ高いのか?さっきより、下で飛んでいるのだが…」
だから!
「それでも!高いの!」
何メートルくらいだと思ってんの⁉
有に一万メートルは越してるよ⁉
高所恐怖症の私が耐えられるとでも⁉
「はぁ…魔王城に行くには飛ぶのが一番速いんだが…」
知らないよ!
「兎に角!降ろしてっ!」
「逃げないか?」
「逃げないっ!逃げないからっ!」
「絶対か?」
「絶対っ!約束する!」
元々、飛んでいくことになったのは、私が逃げようとしたからなんだよね…
「わかった…」
ちょっ!
「降ろしてとは言ったけど!こんなに速いスピードで降りる必要あるのー⁉」
怖い!怖い!
「離さないから大丈夫なんだがな…」
煩い‼
怖いもんは仕方ないでしょう!
「ふぅ…」
地面に足を付けるのがこんなに嬉しいと思ったのは初めてだよ!
「では、歩いて行こう」
あぁー
行きたくない…
でも、約束しちゃったしな…
「近道、してね?」
下ろしてもらったのは良いものの、歩くのも面倒だしなー
「分かった」

「ここだ」
うわぁー
「でっか…」
異世界で初めて見た建物が魔王城とか
ある意味貴重な体験だよね
「入るぞ?」
なんか、変な緊張をする…
「う、うん…」
「そんなに構えんなって!気楽で平気だから」
で、でも…
こんなイケメンがうようよいると思うと…
怒りで手が震える…
「じゃぁ、先に入ってよ!」
「分かった」
何、そんなにすんなり入ってんの⁉
そっか、ここ、お前の家か‼
お前、魔王だったもんな!
「なんかよく分からんが、馬鹿にされた気がするのは気のせいか?」
感良いな…
「気のせいだよ」
気をつけないとな
「そうか…」
あー…
なんでこんなイケメンといるんだろう…
イケメン爆ぜれば良いのに…
「凛音、イケメン嫌いなのか?」
えっ⁉
「声に出してた?」
「そりゃもう、思いっきり」
恥ずかし…
「で、凛音、早く入れ」
うぅー
「はい、入ったよ」
私は、足の先だけ門を通り過ぎる形に足を伸ばした
「凛音…お前な!」
ちょっ⁉
何⁉
「キャァ‼」
これって…
世にいうお姫様だっこ…?
「離して!」
「嫌だね。お前、いつまで経っても入らねーんだもん。部屋着くまではこのままだ」
いーやー‼
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