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第1章 降り立つ

あっさり?と異世界テンプレ⑤

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 斥候の騎士の指示のもと、足を止め斥候の示す方角を見ると草や蔦などで入り口を隠している洞窟を見つけた。
 その洞窟はよほど注意してみないと今のセナ達がいる場所からでは発見できそうもなかった。

 「巧妙に隠してあるな」

 ガルハルトが呟き、一同が納得したようにうなずくと。

 「見張りは見当たりません…もしかしたらすでに逃亡しているやもしれません」

 斥候をつとめる騎士がそういうと、ガルハルトは少し考えたあと。

 「こうしていても始まらん、スタインはこのまま斥候として先頭を行ってくれ。
 そのあとを俺とすまぬがセナ殿頼む、そして我々の後ろをライズ殿がついてきてくれ、カークス貴様はしんがりだ」

 そう全員に指示をだし、先ほどまで斥候を務めていたスタインと呼ばれた騎士が頷き、あたりを見渡しながら
慎重に歩みを進め、洞窟の前にたどり着き内部を少し覗いた後、危険がないと判断したのかこちらに合図を送ってきた。

 「ではいくぞ!」

 ガルハルトがスタインの合図を確認し、小声で指示を出し全員が頷いた後、先ほど指示があった隊列で斥候のスタインの近くまで行くと、スタインは洞窟の入り口に少し入っていて地面や壁に耳を当て何かを探っていた。

 「スタインどうだ?」

 その様子をみてガルハルトが聞くと。

 「この周辺に生き物が歩いている音は聞こえませんね、いるとしたらもっと奥でしょう。」

 立ち上がったスタインが報告をすると。

 「一応用心して進もう、スタイン罠に気をつけろよ?」

 ガルハルトが全員に言い。

 「ライト!」

 スタインがガルハルトに敬礼をした後、左手を上に向けつぶやくと、左手の上にピンポン玉ほどの光球体を浮かばせた。

 「えっ!?魔法!?」

 それをみたセナが驚き声をあげると、ほかのメンバーがセナの声に驚き。

 「っんだよ! びっくりさせんなよ! 魔力のある人なら誰だって使える初級魔法だろうがっ!」

 ライズがセナを責めるようにいうと、セナはやらかしたか?と思いつつ周りをみると、周りのメンバーもセナのことを不思議そうに見ていたが。

 「ん?……もしかしてセナ殿の住んでいた地方では魔法を使えるものが誰もいなかったのか?」

 「あっあの……そうです……僕の住んでいたところでは魔法を使う人がいなかったので……すいません」

 ガルハルトの問いかけにセナが申し訳なさそうに焦りながらもなんとかごまかすように言うと。

 「そうか、聞いた話では海を渡った遥か東の国では魔法を使わないと聞いていたが、セナ殿はそちらから渡ってきたのか」

 ガルハルトが納得したように言い。

 「確かに、セナ殿の腰の物は我々の剣とは違い……確か刀と呼ばれる東の国独自の武器のようですな。
 それに、かの国の者は黒髪、黒目であると聞き及んでおります」

 しんがりを務めているカークスと呼ばれる中年騎士が、顎を撫でながら納得したようにセナを見ながら言った。

 「はぁ~ セナお前随分と遠くから来たんだなぁ……道理でこの国のことをあまり知らねぇはずだわ」

 ライズが呆れたようにいい。

 「ライズも魔法を使えるのか?」

 「んや!俺の魔力じゃ攻撃魔法も神聖魔法も使えねぇよ、せいぜい薪に火をつける程度の生活魔法だけだわ」

 セナが聞くとライズが答え。

 「生活魔法なんてものがあるのかぁ」

 セナが驚きながら言うと。

 「皆さん静かに!……この先に誰か居ります!」

 斥候を務めていたスタインがライトの光を弱め皆の進行を止めた先には、木の扉があった。

 「話は後だな……スタインの扉を開けると同時に俺とセナ殿が飛び込む!……では行くぞ!1・2・3!!」

 口早くガルハルトが指示をだし、カウントと共にスタインがドアを蹴破った瞬間、ガルハルトとセナが剣と刀を抜き中に突入すると。

 「ひぃっ!もうきやがった!!!??」

 「もっ!もうだめだっ!!」

 と3人の残党らしきものたちがガルハルトとセナを見て驚き、武器を捨て両手をあげた。

 「「………………」」

 セナとガルハルトは、その潔いいまでの残党を目にし言葉をなくしていると。

 「「団長!」」
 
 「セナ!?」

 スタイン、カークス、ライズの順番で叫びながら部屋になだれ込んできた。
 そして、抵抗する気のない残党を後ろでで縛りあげると。

 「他の者はどこだ!」

 カークスが圧を込めて聞くと。

 「かさ……頭がやられたと聞いて……アシッド様が他のやつらを連れて先に……おっ!俺たちは持てるだけの宝と奴隷を連れて来いって……。
 その間に……アシッド様たちが国境を超える準備をしておいてくれるって言われて……」

 涙目で残党の一人が顔を蒼くしながら言うと。

 「お前ら見捨てられたな……我々がお前らを捕まえている間にやつらはもう国境へ向かったんだろう」

 カークスがいい、ガルハルトとスタインが おそらくな と言いながら頷くと。

 「「「 そっ!そんなぁ~ 」」」

 残党3人はショックのあまり膝をついた。
 
 「あっ……あの! 奴隷って……?」

  セナがその光景を見ながら話に割って入るとガルハルトが思いだしたかのように。

 「そうだった! おい! 貴様ら! まだ奴隷にした者たちはここにいるのかっ!?」

 残党の一人に聞くと。

 「みっ!右奥の部屋に4人おりやす!……ため込んだ財宝は左のお頭の部屋の奥でさぁ……」

 その残党はビビりながらも答えると。

 「カークス!それと済まぬがライズ殿!共に財宝の部屋へ行いってくれまいか!俺は囚われた人々の元へ行く!スタインとセナ殿はここでこ奴らの見張りを頼む!」

 「僕も囚われた方々のほうへ行かせてください!」

 ガルハルトが指示を出すとセナが申し出る。

 『なぜかわからないけど……行かなきゃならない気がする』

 セナが心の中で思っていると。

 「わかった……ではセナ殿俺と一緒に、スタイン見張りは1人で大丈夫だな?」

 ガルハルトがいいスタインが頷くと、セナと共に右の部屋へと足を進めた。
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