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第8章 救出編
二人の歌姫
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「そなたが新たな歌姫となるものか」
「は、はい…マウアと申します……」
「へぇ…魔力の総量はアリアと同等か少し上って感じなのね」
「ふむ…して?なぜ歌姫になろうと思った?」
「は、はい…家族を殺され…意識すら奪われずっと一人だったのをセナ様をはじめとする皆様にお助けしていただいて…自分もなにか誰かのために役に立ちたいと思っていたところアディオン様からお話をいただいて、セナ様もお認めしてくださったので…私にもやれることがあるのではないかと…その…あの…」
「そうか」
「お前はセナ殿の偉大さを理解していると?」
「はい、お助けしていただいて2週間弱、ザラタンでご一緒させていただいたときにヴァルキューレの皆様からお話をききました…ですが自分の目で見て感じたセナ様は……その…」
「申せ」
「は、はい…ヴァルキューレの皆様の話よりもずっと穏やかで優しい方で…優しさで人も世も変えていけるすごい方なんだなと感じました」
「そうか…人の中を見れる者か」
「そうみたいね」
「よかろう、賢王と魔王がそなたも歌姫と認めよう」
「え!?あ、ありがとうございます…精一杯頑張らせていただきます」
ドラニスタでマウアがエイシャとエイコを前に歌姫になる経緯を話し二人に認められた。
========================================
「やったね!マウア!!」
「き、緊張したぁ……」
「賢王様も魔王様もほんとはすんごく優しいんだよ」
「そ、そうなの?威厳と威圧感がすごかった」
「二人とも王様だもん」
「けど…びっくりするくらいお二方がお綺麗だったわ」
「うんうん!」
「よかったね二人とも」
「うん!」
「はい、これもすべてセナ様のおかげです、ありがとうございます」
「うんうん、マウアは素直ないい子ですねぇ」
「そうですわね」
謁見を終えあてがわれた部屋にもどると緊張から解放されたマウアがソファーに崩れるように座り込み一緒に付き添ったセナ、アリア、ヤオ、タオそしてメディーとカトリーヌに笑顔で労われた。
=============================================
「ちっ!叔父さんの息子のくせになんで魔力持ちなんだよ!」
「お前はエイコさんとアキラさんの息子なのになんで鬼なんだよ」
「今日も今日とて二人はあんな感じなんです」
「同じ年ってこともあって仲いいですね」
「そのように見れるのはセナ様だけですわ……」
初めてエイゴと会った翌日、エイケンとともにドラニスタで経緯を説明しエイシャとエイコそしてアキラにエイゴを紹介した。
「というわけでこいつはエイゴ、正真正銘、俺の息子だ」
「エ、エイゴです…」
「園子…思い出したわ…そうあんたあの子とエイケンの子なの、あなたどう?」
「ふむ、間違いなさそうだ」
「そう……だってよ?母さん」
「あ、あの…この方々は…」
「あぁ?そっちの二人は俺の両親で母さんはエイケン叔父さんの姉だ、んで…信じられねぇかもしれねぇがそこにいる人形みたいに綺麗な人が…俺たちのばあちゃんだ」
「へ?はぁ!?なにをいってるんだ!?3人ともどうみてもお前より」
「ちっ!…」
さかのぼること1か月前、エイゴをエイシャとエイコそしてアキラに紹介した。
「……というわけで向こうからこちらに来た時に素質が目覚めるんだ」
「んで、その力の強さで身体が活性化して肉体年齢が変わるんだとさ」
「そ、そうなのか」
「ああ、そしてエイゴ君が飛ばされた場所だが魔界と呼ばれている世界なんだ」
「お前…よく生きてたな」
「こっちにきて一息吸った瞬間から3日くらい死にかけたけどな……」
「そういやお前こっちにきてどれくらいたったんだ?」
「一々、日を数えたわけじゃないが…そろそろ1年くらいは立つような気がする」
「はぁ!?たった1年くらいか!んで?なんでお前そんな剣をつかえるんだよ」
「ああ、もともと剣道をやっていたからかもしれない」
「そうなのか」
「ああ、じいちゃんの昔なじみにやっている人がいてな、いつも独りぼっちだったから教えてくれるようになったんだ」
「そうか」
「ちょっと…母さんさっきから一言もしゃべってないけどどうしたのよ」
「まさか…こっちにきて…エイコ、エイケン…エイシンの…」
「…おばあちゃん」
「おい…やっぱりあの人をおばあ様と呼ぶのに抵抗あるな」
「気持ちはわかるが水を差すなよ…俺だって未だに抵抗あるんだぜ?」
「だけど…どうみてもお前の両親もおばあさまもお姉さんとお兄さんって見た目だぞ」
「それもわかってるよ」
「ふふ、エイゴちゃん…会えてうれしいわ…よく魔界で生きていてくれたわ…」
「うおっ!」
感極まったエイシャが一瞬で反応すらできずに抱きしめられたことに驚いた。そしてその後、夜が更けるまで色々話をした。
「んじゃ、二人とも向こうに無事についたらエイシンの元にいってこっちでのことを伝えてくれ」
「叔父さんわかったよ」
「はい」
結果、アキラが装置を完成させたら二人で地球に戻ることになった。
=============================================
「き、緊張する……」
「だ、大丈夫だよ!私もついてるからっ!」
バタバタと準備に追われあっという間に歌姫披露の日を迎えた。
「コルネ、カーバンクル二人をよろしく頼みますぞ」
「はい」
「キュゥ!!」
「カトリーヌ首尾はどうなっておられるか」
「各自配置についておりますわ」
「重畳、セナ様滞りなく」
「さすがです、ありがとうございます」
ヤオとタオ、メディーを交えカトリーヌが警備の配置を考え指示を出しそれぞれが従魔とともに配置についた。
「アリアちゃん、マウアちゃん凄く綺麗よ!」
「そうね、二人ともとても素敵よ!」
どうせだったらと各国の代表とブレイダー家が招かれアリアたちとともに各国を転移することになり、アリアとマウアをみたアレストラとエミルが感激しながら二人を交互に抱きしめた。
「ほっほっほ!そじゃろう!そうじゃろうて!」
「いつになく全開だな爺さんは」
「ああ、あと数百年は死なんだろうな……」
「しかしこれだけのメンツが一か所にそろって大丈夫なのか」
「セナ様とヴァルキューレ、そしてナンバーの方々もお越しくださってますからね…私だったら今日だけはどこも狙いません」
「お父様大丈夫ですわ、各国の警備については私とメディーが担当しましたのでぬかりはありませんわ」
「そ、そうか」
「レオ安心しなよ、カトリーヌは今じゃあヴァルキューレの戦略を担う逸材だし、なにより守ることに関してメディーが後れを取ることはそうそうないよ」
「そうね、うちのメディーを甘くみないでほしいわね」
「そうですね」
上機嫌なイースをギルスとゲオルグがげんなりしながら見ている中、自信満々に答えたカトリーヌに頼もしさを感じつつもレオが驚いているとアディオンとリレイそしてメルが当然のように答えた。
「メディーは一応は我が国の者なのだが…」
「カトリーヌもそうだが今では我が家の家族でもありセナ殿の家族だ」
ゲオルグの言葉にギルスが自信満々に答えた。
「それにしてもレイファとオリファまできちゃってさすがに大丈夫なのかい?」
「アディオン様、問題ございません」
「はい、私たちの優秀な従魔が屋敷もギルドにもおりますから」
「くっくっく!今頃セバスのもと一生懸命働いてくれておるだろうよ」
アディオンの問いにアリアとマウアの身支度やセナの周りの世話をしていたレイファとオリファが自信満々に答えセバスの指示を受け一生懸命はたらいているブラウニーとボガートを想像したギルスが苦笑していた。
「警備についてもメディーの従魔が滞りなく行っておりますのでタチバナ家並びにブレイダー家ともに万全にございます」
「それはすごいね!今度みにいってみよう」
「是非に」
興味津々のアディオンにレイファが恭しく頭をさげた。
「セナ、ヤオさんにタオさんもこんなに素敵なものをたくさんありがとうございます!」
「気にしないで、二人ともよく似合ってるよ」
「さようにございますな」
「えっへっへ……」
お披露目の際に着る服装をセナはマカパインにデザインを依頼し素材を提供しメディーがそれにあう装飾品を次々とつくり先ほどアレストラとエミルが嬉々として選んでいた。
「セナ様!迅風とグラニールの準備もおわりました」
「メディーありがとう」
「はい!今回のためにおじいさまと工房のみんなに手伝ってもらって作りあげた逸品です!期待していてくださいね!」
「おぉ!それはすごい楽しみだね!」
バンとドアが勢いよくひらきやってきたメディーにセナだけではなくそこにいた全員がすでに慣れてしまっていて普通にやり取りをしてしまっていた。
「メディー、場合によっては我らの従魔も呼び出す準備を」
「わかっております!」
「皆様、ご準備のほうはよろしいですかな?」
正装をしたペドロが現れマウアとアリアを満面で優しい笑顔で褒めたたえ各国の代表を引き連れて大聖堂へとむかった。
============================================
「これよりエターニャ神皇国より新たなもう一人の歌姫に戴冠の儀を行う」
ペドロが宣言をしマウアへとミトラを授けた。
『おぉ!!!』
大聖堂へ集まっていたエターニャの民たちが歓声を上げ喜びを表した。
「グラニール頼みます」
「グラニール!今日も最高にかっこいいね!よろしくお願いします」
「よ、よろしくお願いします」
大聖堂を出るとセナが待っていて認識阻害をかけているコルネとカーバンクル、そしてカトリーヌをあわせグラニールの元に転移しアリアは久しぶりに会ったグラニールに嬉しそうに飛びつき慣れているグラニールがそっと手をさしだし受け止めていた。
「さぁ行こうか」
アリアが右手、マウアが左手に乗ったのを確認したセナが迅風にまたがり声をかけるとグラニールは翼をひろげ空に飛びあがった。
「セナ様そろそろ合図をお願いいたします」
「了解です!」
「グルワァァァァァァァ!」
カトリーヌの合図にセナが刀を抜くとグラニールが頭上に巨大な魔法陣を浮かび上がらせセナはその魔法陣にいくつもの属性の魔力を次々と吸収させた。
「アリア、マウア歌を」
「「はい!」」
「♪~」
「♬~」
「グルワァ!」
「ヒヒィーーーン!!!」
頃合いを見たカトリーヌの指示で二人が歌い始めると同時にグラニールと迅風が一鳴きすると頭上にあった魔法陣が砕け散り日の光をあび色々な色に輝くかけらが優しく街中に降り注ぎ始め、迅風が出したいくつもの炎の馬が幻想的に空をゆったりとかけめぐりはじめ、二人のミトラからも柔らかな淡い水色の魔力と優しいピンク色の光が広がり始めた。
「素晴らしい…」
『…………』
ゲオルグが感動のあまりつぶやくがあれだけ騒がしかった民衆は息をのみその光景に見とれ静まり返っていた。
そして歌が終わると同時に国が揺れるほどの歓声にあふれた。
「次はリストニアにいきます!」
鳴りやまない歓声の中、ペドロの挨拶が終わるとセナが関係者全員を引き連れ転移した。
「は、はい…マウアと申します……」
「へぇ…魔力の総量はアリアと同等か少し上って感じなのね」
「ふむ…して?なぜ歌姫になろうと思った?」
「は、はい…家族を殺され…意識すら奪われずっと一人だったのをセナ様をはじめとする皆様にお助けしていただいて…自分もなにか誰かのために役に立ちたいと思っていたところアディオン様からお話をいただいて、セナ様もお認めしてくださったので…私にもやれることがあるのではないかと…その…あの…」
「そうか」
「お前はセナ殿の偉大さを理解していると?」
「はい、お助けしていただいて2週間弱、ザラタンでご一緒させていただいたときにヴァルキューレの皆様からお話をききました…ですが自分の目で見て感じたセナ様は……その…」
「申せ」
「は、はい…ヴァルキューレの皆様の話よりもずっと穏やかで優しい方で…優しさで人も世も変えていけるすごい方なんだなと感じました」
「そうか…人の中を見れる者か」
「そうみたいね」
「よかろう、賢王と魔王がそなたも歌姫と認めよう」
「え!?あ、ありがとうございます…精一杯頑張らせていただきます」
ドラニスタでマウアがエイシャとエイコを前に歌姫になる経緯を話し二人に認められた。
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「やったね!マウア!!」
「き、緊張したぁ……」
「賢王様も魔王様もほんとはすんごく優しいんだよ」
「そ、そうなの?威厳と威圧感がすごかった」
「二人とも王様だもん」
「けど…びっくりするくらいお二方がお綺麗だったわ」
「うんうん!」
「よかったね二人とも」
「うん!」
「はい、これもすべてセナ様のおかげです、ありがとうございます」
「うんうん、マウアは素直ないい子ですねぇ」
「そうですわね」
謁見を終えあてがわれた部屋にもどると緊張から解放されたマウアがソファーに崩れるように座り込み一緒に付き添ったセナ、アリア、ヤオ、タオそしてメディーとカトリーヌに笑顔で労われた。
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「ちっ!叔父さんの息子のくせになんで魔力持ちなんだよ!」
「お前はエイコさんとアキラさんの息子なのになんで鬼なんだよ」
「今日も今日とて二人はあんな感じなんです」
「同じ年ってこともあって仲いいですね」
「そのように見れるのはセナ様だけですわ……」
初めてエイゴと会った翌日、エイケンとともにドラニスタで経緯を説明しエイシャとエイコそしてアキラにエイゴを紹介した。
「というわけでこいつはエイゴ、正真正銘、俺の息子だ」
「エ、エイゴです…」
「園子…思い出したわ…そうあんたあの子とエイケンの子なの、あなたどう?」
「ふむ、間違いなさそうだ」
「そう……だってよ?母さん」
「あ、あの…この方々は…」
「あぁ?そっちの二人は俺の両親で母さんはエイケン叔父さんの姉だ、んで…信じられねぇかもしれねぇがそこにいる人形みたいに綺麗な人が…俺たちのばあちゃんだ」
「へ?はぁ!?なにをいってるんだ!?3人ともどうみてもお前より」
「ちっ!…」
さかのぼること1か月前、エイゴをエイシャとエイコそしてアキラに紹介した。
「……というわけで向こうからこちらに来た時に素質が目覚めるんだ」
「んで、その力の強さで身体が活性化して肉体年齢が変わるんだとさ」
「そ、そうなのか」
「ああ、そしてエイゴ君が飛ばされた場所だが魔界と呼ばれている世界なんだ」
「お前…よく生きてたな」
「こっちにきて一息吸った瞬間から3日くらい死にかけたけどな……」
「そういやお前こっちにきてどれくらいたったんだ?」
「一々、日を数えたわけじゃないが…そろそろ1年くらいは立つような気がする」
「はぁ!?たった1年くらいか!んで?なんでお前そんな剣をつかえるんだよ」
「ああ、もともと剣道をやっていたからかもしれない」
「そうなのか」
「ああ、じいちゃんの昔なじみにやっている人がいてな、いつも独りぼっちだったから教えてくれるようになったんだ」
「そうか」
「ちょっと…母さんさっきから一言もしゃべってないけどどうしたのよ」
「まさか…こっちにきて…エイコ、エイケン…エイシンの…」
「…おばあちゃん」
「おい…やっぱりあの人をおばあ様と呼ぶのに抵抗あるな」
「気持ちはわかるが水を差すなよ…俺だって未だに抵抗あるんだぜ?」
「だけど…どうみてもお前の両親もおばあさまもお姉さんとお兄さんって見た目だぞ」
「それもわかってるよ」
「ふふ、エイゴちゃん…会えてうれしいわ…よく魔界で生きていてくれたわ…」
「うおっ!」
感極まったエイシャが一瞬で反応すらできずに抱きしめられたことに驚いた。そしてその後、夜が更けるまで色々話をした。
「んじゃ、二人とも向こうに無事についたらエイシンの元にいってこっちでのことを伝えてくれ」
「叔父さんわかったよ」
「はい」
結果、アキラが装置を完成させたら二人で地球に戻ることになった。
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「き、緊張する……」
「だ、大丈夫だよ!私もついてるからっ!」
バタバタと準備に追われあっという間に歌姫披露の日を迎えた。
「コルネ、カーバンクル二人をよろしく頼みますぞ」
「はい」
「キュゥ!!」
「カトリーヌ首尾はどうなっておられるか」
「各自配置についておりますわ」
「重畳、セナ様滞りなく」
「さすがです、ありがとうございます」
ヤオとタオ、メディーを交えカトリーヌが警備の配置を考え指示を出しそれぞれが従魔とともに配置についた。
「アリアちゃん、マウアちゃん凄く綺麗よ!」
「そうね、二人ともとても素敵よ!」
どうせだったらと各国の代表とブレイダー家が招かれアリアたちとともに各国を転移することになり、アリアとマウアをみたアレストラとエミルが感激しながら二人を交互に抱きしめた。
「ほっほっほ!そじゃろう!そうじゃろうて!」
「いつになく全開だな爺さんは」
「ああ、あと数百年は死なんだろうな……」
「しかしこれだけのメンツが一か所にそろって大丈夫なのか」
「セナ様とヴァルキューレ、そしてナンバーの方々もお越しくださってますからね…私だったら今日だけはどこも狙いません」
「お父様大丈夫ですわ、各国の警備については私とメディーが担当しましたのでぬかりはありませんわ」
「そ、そうか」
「レオ安心しなよ、カトリーヌは今じゃあヴァルキューレの戦略を担う逸材だし、なにより守ることに関してメディーが後れを取ることはそうそうないよ」
「そうね、うちのメディーを甘くみないでほしいわね」
「そうですね」
上機嫌なイースをギルスとゲオルグがげんなりしながら見ている中、自信満々に答えたカトリーヌに頼もしさを感じつつもレオが驚いているとアディオンとリレイそしてメルが当然のように答えた。
「メディーは一応は我が国の者なのだが…」
「カトリーヌもそうだが今では我が家の家族でもありセナ殿の家族だ」
ゲオルグの言葉にギルスが自信満々に答えた。
「それにしてもレイファとオリファまできちゃってさすがに大丈夫なのかい?」
「アディオン様、問題ございません」
「はい、私たちの優秀な従魔が屋敷もギルドにもおりますから」
「くっくっく!今頃セバスのもと一生懸命働いてくれておるだろうよ」
アディオンの問いにアリアとマウアの身支度やセナの周りの世話をしていたレイファとオリファが自信満々に答えセバスの指示を受け一生懸命はたらいているブラウニーとボガートを想像したギルスが苦笑していた。
「警備についてもメディーの従魔が滞りなく行っておりますのでタチバナ家並びにブレイダー家ともに万全にございます」
「それはすごいね!今度みにいってみよう」
「是非に」
興味津々のアディオンにレイファが恭しく頭をさげた。
「セナ、ヤオさんにタオさんもこんなに素敵なものをたくさんありがとうございます!」
「気にしないで、二人ともよく似合ってるよ」
「さようにございますな」
「えっへっへ……」
お披露目の際に着る服装をセナはマカパインにデザインを依頼し素材を提供しメディーがそれにあう装飾品を次々とつくり先ほどアレストラとエミルが嬉々として選んでいた。
「セナ様!迅風とグラニールの準備もおわりました」
「メディーありがとう」
「はい!今回のためにおじいさまと工房のみんなに手伝ってもらって作りあげた逸品です!期待していてくださいね!」
「おぉ!それはすごい楽しみだね!」
バンとドアが勢いよくひらきやってきたメディーにセナだけではなくそこにいた全員がすでに慣れてしまっていて普通にやり取りをしてしまっていた。
「メディー、場合によっては我らの従魔も呼び出す準備を」
「わかっております!」
「皆様、ご準備のほうはよろしいですかな?」
正装をしたペドロが現れマウアとアリアを満面で優しい笑顔で褒めたたえ各国の代表を引き連れて大聖堂へとむかった。
============================================
「これよりエターニャ神皇国より新たなもう一人の歌姫に戴冠の儀を行う」
ペドロが宣言をしマウアへとミトラを授けた。
『おぉ!!!』
大聖堂へ集まっていたエターニャの民たちが歓声を上げ喜びを表した。
「グラニール頼みます」
「グラニール!今日も最高にかっこいいね!よろしくお願いします」
「よ、よろしくお願いします」
大聖堂を出るとセナが待っていて認識阻害をかけているコルネとカーバンクル、そしてカトリーヌをあわせグラニールの元に転移しアリアは久しぶりに会ったグラニールに嬉しそうに飛びつき慣れているグラニールがそっと手をさしだし受け止めていた。
「さぁ行こうか」
アリアが右手、マウアが左手に乗ったのを確認したセナが迅風にまたがり声をかけるとグラニールは翼をひろげ空に飛びあがった。
「セナ様そろそろ合図をお願いいたします」
「了解です!」
「グルワァァァァァァァ!」
カトリーヌの合図にセナが刀を抜くとグラニールが頭上に巨大な魔法陣を浮かび上がらせセナはその魔法陣にいくつもの属性の魔力を次々と吸収させた。
「アリア、マウア歌を」
「「はい!」」
「♪~」
「♬~」
「グルワァ!」
「ヒヒィーーーン!!!」
頃合いを見たカトリーヌの指示で二人が歌い始めると同時にグラニールと迅風が一鳴きすると頭上にあった魔法陣が砕け散り日の光をあび色々な色に輝くかけらが優しく街中に降り注ぎ始め、迅風が出したいくつもの炎の馬が幻想的に空をゆったりとかけめぐりはじめ、二人のミトラからも柔らかな淡い水色の魔力と優しいピンク色の光が広がり始めた。
「素晴らしい…」
『…………』
ゲオルグが感動のあまりつぶやくがあれだけ騒がしかった民衆は息をのみその光景に見とれ静まり返っていた。
そして歌が終わると同時に国が揺れるほどの歓声にあふれた。
「次はリストニアにいきます!」
鳴りやまない歓声の中、ペドロの挨拶が終わるとセナが関係者全員を引き連れ転移した。
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