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第7章 大陸編

それぞれのうごき

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 「グギャ!」

 「ええ、それで問題ないわ」

 セナの屋敷では床掃除と窓ふき、そして庭の手入れをそれぞれしてきたブラウニーたちの報告を聞きチェックをおえたレイファが8体のブラウニーを順番に笑顔でひとなでしていた。

 「ぎゃっは!」

 「ん?おわったの?どれどれ……うん、大丈夫ね!ありがとう」

 冒険者ギルドでは買い取った魔石を質とサイズ別にわけ、解体された魔物を部位別にしまう手伝いをしていたボガートにオリファがねぎらいの言葉をかけた。

 「ちょっと!お子さんはいいですが大人はメリュちゃんに不要に近づかないでください!」

 「メディーちょっとくらいいいじゃろ?」

 「おじい様!おはなれください!!」

 セナの屋敷の庭の一部は開放されており小さな子供などが遊べる場所となっていたが最近はメリュニーズが常にいて最初は驚いていた人々も人畜無害でむしろ子供好きなメリュニーズを受け入れ触れ合いをさせていたがメリュニーズの上半身はナイスバディの美しい女性のため最近は大人の男性などもちょくちょく来るようになりヴァルキューレの面々が見つけるとたびたび注意をしていた。

 「セナ殿の屋敷はだんだんと賑やかになってきておるな」

 「ええ、あんなに働き者の魔物や心根がやさしい魔物がいるなど思いもよりませんでしたわ」

 ギルスとエミルが賑やかなお隣の方を見てひとりは苦笑し一人は柔らかな笑顔を浮かべていた。

 「向こうだけではなくこちらの水タンクに水を運んでくれたり色々働いてくれておるようだな」

 「ええ、それにメイリーも安心して同世代のお友達と遊べておりますしセナ様には感謝しておりますわ」

 「まぁ…あれを見た後では誰もおかしなことをするやつもおるまい…」

 エミルの言葉にギルスはメリュニーズたちをセナがつれてきて数日後、北の村からきた荒くれた冒険者たちが酒に酔っ払いセナ邸で遊ぶ子供たちや若い母親たちに絡んできて屋敷荒らしと判断したブラウニーやメリュニーズに死にかけるほどコテンパンにやられレイファとメディーが止める事態になったことを思い出していた。

 「ふふ、メリュニーズさんは子供たちを尾で囲みお守りしていましたから母親達は感謝しておりましたものね」

 「あ、ああ…せめてもの救いで迅風などがおらんでよかったと心からおもったわ」

 「ふふ、そうですわね」

 ひどいけがで騎士たちに引き渡されギルドを首になり散々な目にあった冒険者をおもいだしギルスはぐったりしたようになった。

 ====================================

 「ガルフォードさん、これくらいでいいですか?」

 「おぉ!十分ですじゃ!皆様ありがとうございます」

 「気にしないでください!可愛いルフちゃんのためですから!!」

 魔界ではセナが集めた魔獣たちの餌場所の確保ができていなかったため今回はエリス、スカーレット、コニーとマインが魔界にきて餌となる魔物をアンズーとルフとともに行い運んできていた。

 「ガルフォード様、ここから東に行った先の砂漠と森がある場所はこの子達を放すのにはどうでしょう」

 「おお!あそこならば多少距離がありまするがよろしいと思いますじゃ」

 「では、メディーさんに結界で柵のようなものがつくれないかご相談してみますわ」

 「アイリーン様、よろしくお願い致します」

 魔獣を放す場所をさがしていたアイリーンがもどり地図でしめしガルフォードも納得していた。

 「皆さま!お疲れ様です!!お茶をよういいたしました!」

 「ありがとうございますガジャさん、皆さんもせっかくですからお茶にいたしましょう」

 ガルフォードが助手として連れてきた孫娘のガジャはまだ多少幼いが気が利き元気な少女だった。

 「おお!ガジャちゃんこのお菓子はおいしいですねぇ!」

 「えっへっへ!ありがとうございます!ブラウニーたちに手伝ってもらって上手にできました!」

 「ブラウニーはなんでもできますね!」

 「城の掃除から魔獣の世話の手伝いまでなんでもよう働いてくれておりますじゃ」

 「ええ、いつのまにか城の不具合も修理してくださっておりますわ」

 「へぇ~、それはレイファも助かるといいますね」

 「オリファもギルドでボガートたちが色々手助けしてくれて助かっているようですよ」

 「ほ~…最初、あんなに契約をいやがっていたのにね」

 「そうですね、レイファなんかブラウニーたちに帽子と服を新たに与え身の清潔を保つ方法まで指導してましたからね」

 最初は見た目がゴブリンと髭をはやした小鬼だっため難色を示していた姉妹だったが今では頼りにしていて一同はお茶を飲みながら見事な手のひら返しに苦笑した。

 ====================================

 「セナ様!!!」

 「アイリーンさん珍しいですね、そんなに慌ててどうなさ」

 「アリア様が攫われました!」

 「え!?」

 「なんと!?」

 「セナ君!とりあえずエターニャへ急ぐんだ!」

 「うん!!」

 アキラの研究室で新しい魔具の研究をしていたセナの元に珍しく血相を変えたアイリーンがあらわれセナ達はエターニャへと転移していった。

 「セナ君!」

 「セナ様……申し訳ありません……一瞬のことで私はなにもできず!」

  セナ達が到着するとアディオンに治療されボロボロになりながら教皇代理ペドロが涙をながしながら這うようにセナの足元に来た。

 「ペドロ様!無理はいけません!アディオンさんどういうことなんですか?」

 「ああ、異様な魔力が一瞬あらわれ気づいてボクが来たときにはアリアは攫われこのありさまだったんだ…」

 ペドロの元にいきヒールをかけなおしながらアディオンが申し訳なさそうに答えた。

 「そうですか、ところでコルネとイース様は?」

 「イースのおじいさんは左腕を切られて一応接合して治療室にいる……コルネは……」

 「アディオンさん!コルネはどこにいるんですかっ!」

 「コルネも治療をおえて治療室にいるんだけど……正直……回復するかどうか……ごめん」

 「詳しい話はあとで!コルネの元に向かいましょう!」

 セナはヤオとタオ、そしてアイリーンをつれコルネの元へ向かった。

 「こ、これは……」

 「ひどい……」

 「コ、コルネ……」

 治療室にはいると腕をギプスのようなものでおおわれ全身に包帯がまかれたまま眠るイースとその奥のベッドではまるでミイラのように全身を包帯でおおわれ包帯からは血が滲んでいるコルネが眠っていた。

 「魔王参謀様へ治療をお願いしてまいります」

 「アイリーンさん!僕たちもすぐに転移でいきます!」

 アイリーンが急いでアキラの元へ向かい、セナはアディオンに説明し自身が治してもらった装置をためす許可をもらい転移した。

 「アキラさん!」

 「セナ君じゅんびはできているこっちだ!」

 「うん!」

 待ち構えていたアキラとともに装置へとコルネをいれコルネの入った装置は回復液に満たされていった。

 「流石アディオン君だ、処置がすばらしいこれなら間違いなく回復するよ、だから安心したまえ」

 「うん……」

 「セナ様!コルネは大丈夫なのですか!?」

 アキラが優しく背中をなでながら言う中、血相をかえたコニーが現れた。

 「そ、そんな!アリアが……」

 「うん…コニーごめん」

 「くぅ!……セナ様が悪いんじゃありません!それよりセナ様こうしてはいられません!全員を招集しアリアを取り戻しに行きましょう!」

 「そ、そうだね!」

 「先生!セナ様と一度エターニャにむかって敵の魔力の残滓がないか調べてください!」

 「ああ、まかせてくれ!いこうセナ君!」

 「アイリーン!全員にこのことを知らせてください!」

 「ええ」

 ショックを受けていたコニーだったがバンバンと両ほほをたたき自身を奮い立たせると涙を乱雑にふき声を大きく指示を出した。

 ======================================

 「というわけで…相手の魔力の残滓はなかったけどアキラさんが色々調べてくれて相手の向かった先はわかった」

 「皆の者、準備はよろしいか……」

 「みな、やりますわよ……」

 「もちろんです!私も迅風もグラニールも我慢の限界をとっくにこえちゃってますよ!」

 「ええ、できておりますわ」

 「アリアは必ずとりもどしてみせます!」

 「ええ、そうね」

 「当然です!!」

 「私の仲間と親友に手をだしたこと必ず後悔させてさしあげますわ!」

 「アリアもコルネも友人として仲間として……そして獣人として必ず!」

 「セナ様!今回だけは私たちもお供させていただきます!」

 「ええ!お姉ちゃんのいうとおり!何もできないですが今回ばかりは待っているだけなんてできません!」

 「セナ様、我らからもお願い申し上げまする……これは我らヴァルキューレ全員かかわることゆえ」

 「わかっています」

 「セナ君、みんなも少し待ってくれ」

 全員が決意を口にし準備を整え終わるとアキラが転移してきた。


 「アキラさんどうしたの?」

 「ああ、攫った相手だがこの大陸からかなり離れた場所のようだ」

 「え?」

 「転移は期待できない、グラニールで飛んでも10日異常はかかるだろう」

 「では魔界から」

 「アイリーン君それも無理なようだ、どのようなことをしたのかわからんが完全に魔界とはシャットダウンされている」

 「先生!ではどうしたらいいんですか!」

 「コニーおちついて、大丈夫だから」

 「ああ、どんなに急いでも10日以上かかる……その間アリア君がいきていてくれるのを願いながら向かうしかない」

 「くっ!ですがグラニールに休まず10日以上とべなんて……」

 「エリスさん大丈夫です、とりあえず転移で海まで行きそこから海が深くなるまでグラニールで飛びます」

 「セナ様その後は?」

 「ザラタンを呼び出します」

 「!?」

 「アイリーンどうしたの?ザラタンってなに?」

 「スカーレットさん魔界の亀です」

 「え?亀?それでいけるんですか?」

 「スカーレットさん…大丈夫ですわ……その亀はとてつもなく大きいので……しかしセナ様ほんとうにあれをお呼びに……」

 「ええ、それしかありません」

 「ザラタンもてにいれていたのか!ならコルネ君もつれていってくれ」

 「え?」

 「ザラタンなら装置を設置できる!きっと向こうにつく前には治療がおわっているはずだ!」

 「うん!わかった!じゃあ、皆いこう!アキラさんコルネをお願い!」

 セナは全員をつれドラニスタへと転移し沖合に出た。

 「このあたりだと問題なさそうだね」

 「グラニールもうすこし高度をあげてくだされ」

 「グルワァ」

 「ザラタンおいで!!」

 「なっ!!!???」

 「グガァァァァァ!!!」

 ヤオの指示にグラニールがかなり高度をあげたところでセナがドラニスタがすっぽり入るほど大きな魔界へのトンネルをだすとそこから島があらわれ一同が驚く中、巨大な島から顔がでて大きく鳴いた。

 「さぁ!みんな降りよう!」

 「は、はい」

 「ヤオさん、タオさん、メディー、エリスさんとスカーレットさんはこれを甲羅の端にまんべんなくならべてきてください!」

 「ぎょ、御意!」

 ザラタンの甲羅の上にのるとセナから手渡された球を甲羅の端に急いで設置していった。

 「よし!皆とりあえずこの建物の中に入って!」

 甲羅の中心、一番高くなっている山は自然にできた城のようになっており一同は言われた通りおそるおそる入った。

 「中央のこの部分にこれをおいてっと!アキラさん、コルネの装置はあそこの部屋に設置してもらえるかな?」

 「ああ、よし!これでだいじょうぶだ。では僕はこれでセナ君、コニー君、みんなも無事を祈るよ」

 「ありがとう!……よし!起動させるよ!」

 「なっ!?」

 城の中の一室にアキラがコルネを装置ごと設置しこれからセナがなにをやるのか理解しているのか早々に転移してくとセナは城の中央に置かれた巨大な水晶玉のようなものに渾身の力を注ぎこむと水晶は一瞬眩い光を放ったのち淡く蒼く光った。

 「よし!成功だ!」

 「セナ様なにをなさったのですか?」

 「ああ、これはこの子を手に入れてから開発していた結界の一つです」

 「結界ですか……」

 「うん、これで海に潜っても大丈夫なんだよこの球からこの甲羅全体にいきわたるように空気がでているからね」

 「すごっ!」

 「な、なんと……」

 「ザラタン!このまま真っすぐ全速全身でおねがい!場合によってはもぐっちゃってもいいからね!」

 「グガァァァァァ!!!!」

 「うわ!速っ!」

 「いろいろ驚きすぎて……つかれたわ……」

 「ええ……グラニールが余裕でおさまる甲羅にそれを覆う結界……どれも規格外すぎるわ」

 「ザラタンは島亀とよばれておりまして……魔界でも1,2をあらそう巨大な魔獣なのですわ……」

 「ああ、皆さん話し合ってそれぞれの部屋をきめてください」

 「ぎょ、ぎょい」

 一同がおどろきすぎてぐったりする中、セナはアリアを思い気が気でない中ふあんをあたえないよう笑顔で全員に部屋を勧めそれぞれ部屋がわりあてられた。

 「アリア……無事でいてくれ……」
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