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第7章 大陸編

別荘地

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 「貴様ら!なんてことをしてくれたんだ!わざわざこんなところまで追ってきおって!しつこいぞ!」

 ベルフェゴが上空にいるエイコ達を指さしながら憤慨していた。

 「ブルルル」

 「お?僕までいいのかい?すまないね」

 ベルフェゴを無視し迅風がアキラも背に乗せた。

 「貴様ら無視して何をいちゃついてるんだ!」

 「くぅ!どちらも羨ましいです!」

 前に横すわりするエイコを抱えるようにアキラが迅風の背に乗って優雅に上空にとどまっている姿をみてコニーが血涙を流して悔しがった。

 「おいグラニール、敵のど真ん中に俺を下ろせるか?」

 「師匠なにを?」

 「あ?めんどくせぇからあいつら全部ぶった切ってやろうかと思ってよ」

 「なっ!?」

 「エイケン殿我らとてただただついてきたわけではありませぬぞ?」

 「あの程度の有象無象などいつでもいくらでも殺れますが、簡単に終わらせては我らの気が晴れませんわ」

 「ぐぬぬぬぬ……どいつもこいつもなめくさりおって!我が兵がこれくらいだと思っておるのか!」

 エイケンたちの話を聞き、顔を真っ赤にして魔力をたぎらせ1発、手をたたくたびに敵の軍勢が増えていった。

 「はぁはぁ……どうだ!そんな人数で2万の兵を相手できるものならやってみろ!」

 「数が多ければいいってものではないがあれは流石に相手するのはめんどくさいな」

 ベルフェゴの言葉に敵兵を見たサイが腕を組んだまま平然としながら言った。

 「リレイどうする?」

 「どうするもなにもこれだけの手札があるのよ?方法がありすぎて逆に困るわ」

 「あはははは!贅沢な悩みだね!」

 「ほんとそうね、でもとりあえず数を減らしましょうか、コニー?グラニールお願いできる?」

 「お任せください!先ほどは見せ場を迅風に取られてしまいましたが私だって負けませんよ!」

 リレイが狙う範囲を指で示すと勢いよく眼帯を外したコニーに合わせるようにグラニールが翼を広げた。

 「ん?魔法陣をつかわねぇのか?」

 「ふっ!私とグラニールのコンビネーションは無数にあるのですよ!!」

 エイケンの問いにコニーがグラニールの顔の前に小さなバチバチと放電する赤い球を作り出した。

 「グルルルルル」

 「ええ、グラニール見せてあげましょう!空を統べる王の一撃を!」

 『龍王の咆哮ドラゴニックエクスプロージョン!!!』

 「グルワァァァァァァ!!!!」

 グラニールのブレスがコニーの作りだした球にあたるとブレスが放電しながら燃え盛るグラニールの形のように変化し通過した地面が焼けこげ地中や木々に含まれる水分を一瞬で蒸発させリレイが指示した場所に直撃すると巨大な火柱を上げ爆発した。

 「グラニール範囲をうまく絞れましたね!グッジョブです!」

 「……はっ!コニーやりすぎよ!!」

 あまりのすごさに全員が絶句する中、我に返ったリレイがコニーへ詰め寄った。

 「ちゃんと範囲を絞り控えめにやりましたよ?ねぇグラニール?」

 「グルワァ」

 「あれで控えめなの……」

 やり取りを見ていたスカーレットがあきれたようにつぶやいた。

 「コニー!素晴らしい技でしたわ!」

 「そうですね!ネーミングセンス、形状どれも素晴らしいです!」

 「そうですわね!」

 先ほどの攻撃をみたタオとメディーが興奮しながら褒めたたえていた。

 「はぁ~やりすぎて逃げられても困るのよヤオ、タオここで畳みかけたいんだけど?」

 「よろしい」

 「アイリーン、メディーたのみますわ」

 「おまかせを」

 「はい!やりますよ!アイリーンさんこれをお願いします!!」

 「たまわりましたわ」

 メディーから短い手のひらサイズの金属の棒を数本うけとったアイリーンが敵陣を包囲するように地面へとさしていった。

 「魔界を移動するからこそね」

 「本来ならあんなにスムーズにいったりきたりできないらしいわよ?」

 「ほー、やはりアイリーンはすごいんだなぁ」

 スカーレットの言葉にエリスが感心したようにうんうんとうなずいていた。

 「メディーさん、よろしいですわ」

 「ご苦労様です!では、やりましょうか!」

 メディーが基点となる最後の棒を突き刺しアイリーンが闇の魔力を棒に流すと棒と棒を黒い光が繋いでいった。

 「あぁん?なんだこれは?ぐぎぎぎぎぎぎ!!!」

 「うわぁ!この光にさわるな!干からびちまうぞ!!」

 敵兵の一人が黒い光にふれると高圧電流をうけたように手を離すこともできずしびれているとだんだんと生気を失っていき最後は干からびて命を落とした。

 「では、われらも」

 「「 『 羅生門 』」」

 ヤオとタオが同時に印をくむと昔セナが帝国でだした鬼の顔をした門が東西南北に1つずつ地面からせりあがってできた。

 「お?婆どもセナのアレをマスターしてたのか」

 「同然にございます」

 驚くエイケンに二人は恭しく頭を下げ答えた。

 「あんた達、敵がにげれないならさっさとかたずけてきなさい?」

 「わーったよ!おい おめぇら行くぞ!グラニールおろしてくれ!」

 エイコがめんどくさそうに言うとエイケンが答え、カトリーヌ、リレイ、メディーそしてコニーを残し全員が高度を落としたグラニールの背から飛び降りた。

 「おっしゃぁ!てめぇらぬかるんじゃねぇぞ!」

 「貴様に言われたくはない!いくぞスカーレット、エリス」

 「「 はい! 」」

 「では我らも参りますぞ」

 「アイリーン、コルネよろしいですわね?」

 「心得ておりますわ」

 「おまかせを」

 「よぉーし!マイン修行の成果をみせてあげなきゃいけないね!」

 「はい!アディオン様!」

 全員が着地と同時に敵へと向かっていった。

 「ベルフェゴ様!すでに半分以上ごっそりもってかれましたよ!」

 「うるさい!数でおせ!高みの見物をきめおってぇ!」

 ベルフェゴの側近らしき兵が焦りながら言う中、ベルフェゴは憤慨しながら上空のエイコをにらみつけていた。

 「ああ、そだエイコ」

 「どうしたの?あなた」

 「そろそろなんだが」

 「あら、もうそんな時間なの?」

 「ああ、悪いがたのむよ」

 エイケン達が戦うのをみていたアキラが思い出したかのようにつげるとエイコが魔力をたかめ魔法陣を浮かび上がらせた。

 「えぇ!?こんな時にまでですか!?」

 「どうなさったの?コニーそのようにあわてたりなどして」

 「カトリーヌ!お散歩の時間なんです!」

 「え?お散歩?」

 「いますぐ皆さんに気を付けるよう指示をだしてください!!」

 魔法陣を見たコニーが盛大にあわてながらカトリーヌへ詰め寄っていた。

 「「「 ワォーーーン!! 」」」

 「きゃ!犬の遠吠え!?」

 魔法陣が輝いていくと中から3匹の犬の遠吠えが戦場へと響き渡った。

 「あぁ!間に合いません!貸してください!!」

 「ちょっとコニー!」

 「皆さん!お気を付けください!お散歩の時間です!!」

 カトリーヌから拡声の魔道具を奪い取ったコニーが焦りながら戦場中に響き渡るように声を荒らげ叫んだ。

 「皆さまお気を付けを!魔界より魔王様のペットがきますわ」

 「え!?」

 「わぁお!ケルベロスだ!」

 アイリーンの言葉にエリスが困惑の声を上げた瞬間、魔法陣から巨大な3つの顔を持つ真っ黒な犬があらわれ、それをみたアディオンが興奮しながら叫んだ。

 「「「 クゥーン 」」」

 「いい子ね。今日はおそくなっちゃったわね」

 「ほら、今日は広いよ。存分に走り回っておいで」

 「「「 わぉーーん! 」」」

 魔法陣からとびだしてきたケルベロスはエイコ達の前でお座りをするとエイコが優しく3つ頭それぞれを撫でアキラが手を広げひろさを表すと周りを見たケルベロスが嬉しそうに一鳴きしながらかけ始めた。

 「うわっ!あぶねぇな!急になんちゅうもん呼び出してんだよ!!」

 「デスロードが飼っていたのをエイコ様が大変お気に召してお譲りしていただいたのですわ」

 「はぁ?」

 「四門で見たやつか」

 「そうにございます」

 エイケンが踏まれそうになるのをかわしながら怒鳴る中、アイリーンが淡々と経緯を説明した。

 「あら、やっぱり広いから嬉しそうね」

 「ああ、ここをあの子の散歩のために別荘地にするのも悪くないかもしれないねぇ」

 「それいいかもね」

 「貴様らなにを好き勝手に!うぉ!!」

 「ねぇコニー?魔王様はいつもあのような感じの方なの?」

 「え?リレイ様そうですよ?いつもお綺麗でお優しく、先生と隙あらばイチャイチャしてらっしゃいますし、生き物がお好きでペットを飼ってらっしゃってますよ」

 「そ、そうなのね…色々飼ってるものについては聞かないでおくわ…」

 「たしかに魔王様ってお綺麗ですしいつも気怠そうで大人の魅力むんむんで色っぽいですし、アキラ様もどこかセナ様みたいで素敵ですよね!」

 「メディーもそう思いますか?!」

 「はい!迅風に乗るお二人もまるで姫と王子のようで様になってますしね」

 「ですよね!魔王様はマジ女神様ですからね!!」

 メディーにエイコ達がほめられるとコニーが嬉しそうに笑顔を浮かべて喜んだ。

 「はぁ~…コニーあの子ったらまたあんなこと言って…戦いの最中なんだからもう少し集中しなさいよね」

 「まぁまぁ、あの子の気持ちもわかるよ、わが妻ながらこんなに綺麗なんだ仕方ないさ」

 「もう、あなたまで…」

 ため息交じりにいったエイコに優しく微笑むアキラが歯の浮くようなセリフを言いエイコは口ではあきれたように言ったがまんざらでもなかったようで笑顔でアキラの胸に頭をよせた。

 「あそこだけ戦場ではないように感じますわ……見とれるほど異様に様になっておいでですが…」

 カトリーヌが地上ではケルベロスに踏みつぶされないように逃げ惑い踏み荒らされてる敵兵の断末魔などを聞き、目線はエイコ達をみたまま驚愕の表情をうかべていた。

 「エイケン!サイ!アディオンも皆を連れて一度そこから離れて!ヤオ!タオ!4人であの結界を張って!」

 縦横無尽に走り回るケルベロスをみてリレイが指示をだしアイリーンが一か所の結界を解除すると全員がそこからでると、グラニールにおろしてもらったメディーが合流し4人でケルベロスと敵兵を一緒に囲む四陣結界を張った。

 「お?それはいいアイディアだね」

 「ケル?お腹を壊さないでね?気を付けるのよ?」

 「「「 ワン! 」」」

 結界を見てアキラが褒めるように頷くとエイコがケルベロスに優しくいい、頷いたケルベロスが敵兵を遊びながら食い始めた。

 「おい!残虐すぎるだろ!このぉ!!ん?あれ?なぜだ?」

 「我らの結界、あなた程度では転移などで出れませんわ」

 「なにぃ!」

 転移で逃げようとしたベルフェゴだったがセナやエイコならまだしもベルフェゴ程度では結界を抜けることができず転移自体が発動しなかった。

 「魔王殿、聞けば魔王には特別な魔核がはいっているそうだが?」

 「ええそうよ」

 「それは簡単に壊れる代物ではないか?」

 「ええ、私の魔法でも壊れない強度よ」

 「わかった」

 サイがエイコに尋ね頷いてゆったりとベルフェゴに向かってあるきだした。
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