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第7章 大陸編

騒動と静寂

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 「間に合わなかったかぁ!」

 「ふむ、アディオン殿一足遅かったのぉ」

 セナの力を感じグラニールの咆哮を聞いたアディオンはセナが転移をした直後に息を切らせて現れた。

 「ちぇ!残念!!お?門が閉まっているね、流石セナ君だ」

 「なぜセナ様が手を打ったとお分かりで?」

 「ん?それはセナ君だからさ!お!?エリスも来てたんだね!頑張っているようだね!」

 「そ、そうにございますか」

 残念そうに街をみたアディオンの言葉にペドロは理解できずに頷くだけだった。

 「うむ、裏から閃光殿が挟み撃ちにする算段のようじゃ」

 「ほー!さすがカインだね!じゃあ今の間に報告を聞こうかな?」

 「報告でございますか?」

 「うん!シャドウどうだった?」

 「へ?」

 イースから話を聞いたアディオンが窓の方へ声をかけると何もない空間からシャドウが音もなく現れ声を上げ驚いたペドロと無言のまま少々目を見開きイースが驚いた。

 「ちっ!貴様はいつもいつも…」

 「まぁいいじゃないかっ!それよりも早く教えてくれないかい?」

 「…今攻め込んできているのは先兵隊だ。この先の村に本隊が陣をかまえている」

 「そうかぁ、んで?指揮官は暗殺できやれそうかい?」

 「タイミング次第だな。先兵隊をどうにか倒し本隊が動いてくれるならば狙ってもいいかもしれん」

 「そっかぁ、ならエリスとカインそれとマルスに頑張ってもらわなきゃならないね!」

 「あぁ、歌姫が歌い士気があがっているうちにどうにかなればいいが、下手に長引き本隊が合流したらこちらの戦力的にちと厳しいと思うからな」

 淡々と話すシャドウと元気に話すアディオンの温度差にイースとペドロが口をはさめずただただ二人の話を聞いていた。

 「儂もでたほうがよいかのぉ」

 「いやお爺さんはもしものためにここに残ってもらわなきゃだめだね」

 「大聖堂には避難民が多くいる守りは必要だ」

 「ふむ…若い者たちだけに任せるのは気が引けるのぉ」

 「大丈夫だよ、もうすぐ戦局が大きく動くから!」

 「どういう意味だ?」

 イースの言葉にアディオンが自信満々でこたえると根拠をしりたいシャドウがたずねた

 「グラニールさ!戦局を見ながら力をためてるみたいだよ?」

 「なに?」

 「アディオン殿ほんとかっ!?」

 「うん、ボクは龍のことはこう見えて詳しいんだよ!」

 街の上空でアリアを守るように飛んでいるグラニールを見ながら得意げに言った。

 「龍マニアこいつが言うのであれば間違いないな…」

 「えっへん!」

 あきれたように言ったシャドウの言葉にアディオンはまるで褒められているかのように胸を張った。

 ===================================

 「ここを抜いて一気にシルティアを攻め落とせぇ!!」

 「「 おーー!! 」」

 「くっ!何としても守り切れぇ!!」

 先兵隊として隊を率いる敵兵が剣を掲げ敵軍は士気をあげ勢いを増すと数で元々押されていた神官騎士たちはにわかに押され始めマルスは励ましの声をあげた。

 「我らには歌姫様もついております!エターニャの平和を守り切りましょう!」

 孤軍奮闘し敵兵を切り飛ばしながらエリスが声を上げた。

 「グルルルルル…」

 「アリア、グラニールが何かやる気、気を付けて」

 グラニールが戦況を見て低く喉を鳴らすとコルネは歌っているアリアに耳打ちをしアリアは頷いた。

 「グルワァアーーーーー!!!」

 クワっと目を見開いたグラニールが咆哮をあげると同時にバチバチと放電する巨大な球状のものを打ち出した。

 「皆さん!敵から離れてください!!」

 エリスが気づき神官騎士たちに声をかけると必死に神官騎士たちは自身の目の前にいる敵兵をなんとか吹き飛ばし距離をとった。

 「ぐわぁぁぁぁ!!」

 エリス達が距離を取り終えると同時にグラニールが打ち出した球からおびただしい雷が敵兵へと降り注いだ。

 「いまだ!かかれぇぇぇ!!!」

 雷を受けた敵兵が次々と倒れ混乱する中、カインの声が響き渡り敵兵の裏をついて攻撃がはじまった。

 「う、裏をとられました!」

 「何っ!迎え撃て!!!落ち着け!!目の前の敵を確実にたおせ!!」

 後方からの伝令を聞き指揮を執る兵が声を荒げ指示を出すが混乱は収まらることはなかった。

 「!今です!!我々も一気にせめます!」

 「神は我らに味方している!!突撃!!」

 エリスの声にマルスが気合をいれて指示を出し神官騎士たちは一斉に敵兵へとむかった。

 ====================================

 「ね?大きく動いたでしょ?」

 「…すごすぎますよ…」

 一部始終を見ていたアディオンが自慢げに言うとペドロ汗をぬぐいながらつぶやくように答えた。

 「あの龍がいれば我々の仕事はないのではないか?」

 「そうでもないさ、本隊をたおしたとしても2陣3陣がこないとは限らない、どのみち自力がなければ勝てないよ?」

 「そうだな…俺は再び潜入し不利になった向こうがどこに助けを求めるのか探ってみる」

 「うん、たのむよシャドウ」

 グラニールをみてつぶやいたシャドウはアディオンの言葉を受け姿を消した。

 「さてさて、敵本隊が来る前にけが人の治療をしなきゃならないね!持ち場に戻らせてもらうよ」

 「うむ、すまんがよろしく頼む」

 「コールだからしかたないよ」

 どうということはないと笑顔で手を振りアディオンが持ち場へとかえり、その後エリス達は敵先兵隊を打倒ししばしの休憩をとった。

  

 

 
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