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第6章 エターニャ神皇国編

激昂

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 「もうすぐドラニスタだ!」

 「グラニール、タオ、ヤオも無理させて悪いけどもうひと踏ん張りして頂戴」

 「これしき!セナ様のお傍にいることも守ることもできなかったことに比べれば!」

 「傍にいながら再び守られるという情けなさ…ここで身だけでも尽くさねば…」

 歯を食いしばりグラニールへ龍気と燐気を注ぎ続けているタオとヤオが答えた。

 「そのまま城に降りてくれ!手続きはだ!」

 エイケンがいった10分後、グラニールはドラニスタ城へと降り立った。

 「アディオン、セナ様の容態は?」

 「かろうじて保ててる」

 シルティアを飛び立ち一週間少々たちやっと一行はドラニスタへとたどり着いた。

 「エイケン殿!!」

 「ゲイリー!姫は!?」

 「お待ちしております!こちらへ!!」

 グラニールから全員が降りると、そこへ息を切らしゲイリーが兵をつれて現れ一同をエイシャが待つ玉座の間へと案内した。

 「エイケン様、御一行様ご到着にございます」

 玉座の間を守る騎士が声たかだかに宣言すると大きなドアが開き、エイケンをはじめとした者達が中央へ進み膝をついた。

 「表をあげよ」

 「はっ!姫此度は…」

 「挨拶はいらん、一部始終。セナ殿の容態を伝えよ」

 エイシャの重苦しい声に顔をあげた一同がエイシャを見て固まる中、エイケンが要件を伝えようとすると遮りアディオンを冷たい目で睨みつけながらセナの容態を訪ねてきた。

 「現在の怪我の状況は…全身の火傷、とくに前面、腹部から胸と太ももにかけては重度、胸部の骨折で一部内臓にダメージがあり、両上腕部が開放性の複雑骨折、爆発により飛んだ破片があちこちに刺さっているけど運よく太い血管には刺さっていない、それと…」

 「まだあるのか…」

 「顔面の損傷…火傷と破片もだけど…強い光と熱を浴びたようで両目が…眼球の中の水が膨張し破裂したみたいで…ただ…彼は神聖魔法だけ持っていなかったから一命をとりとめているという状況」

 「神聖魔法だけもっていなかったのがよかったと聞こえるが?」

 「うん、アルドラの禁呪によって作られたアイテムでやられたんだけど、神聖魔法による治癒やポーションによる治癒は逆にダメージなるんだ…体内でそれが作られていないセナ君だから今ももっていると思ってもらっていい…かなり危険な状態だけどね」

 呪術が書き込まれた包帯のようなもので全身ぐるぐる巻きにされて横たわっているセナを見ながらアディオンが悔しそうに報告した。

 「そのような危険な術をあみだしておったか…」

 鋭い目つきで天井をみあげながらエイシャが憎悪を溢れさせながらつぶやいた。

 「姫…なんとか知恵をお借りしたく…」

 「だまれエイケン!貴様とヤオ、タオまでついていながら何たる始末!」

 「ぐっ!」

 「ナンバーズがこれほど集まっていながら!貴様らは!!!」

 エイケンの言葉にエイシャが激怒し玉座から立ち上がると、あふれ出た龍気とプレッシャーにより城が揺れその場にいる者達は恐怖により動けなくなった。

 「ぐっ!」

 「…3人とも何の真似だ」

 どんどん増していくエイシャの力に歯を食いしばりサイとアディオンがセナとエイシャの前に立ちはだかり、リレイがセナを抱きしめるように身を挺した。

 「今のセナ君には龍気や燐気すら負担になるんだ…」

 「我らはセナ殿を救うためにここに来た、貴様にとどめを刺させるためではない」

 「私は!…必ずセナ様を救って見せると誓ったのっ!!」
 
 アディオンが緑色の魔力をたぎらせ、それを覆うようにサイが燐気を発し呼吸を荒くしながらも必死にセナをかばうようにだきしめたリレイがエイシャを睨みつけながら言った。

 「ふぅ~…私もはじめてみる物だ…」

 「マジかよ!」

 3人を見て冷静さを取り戻したエイシャが呟くとエイケンが驚き立ち上がった。

 『話は聴いたわ…ヤバいわね』

 『ラミなにか方法は?』

 『確実なのは何もないわ』

 『確実じゃないものは?』

 『1つだけある…かなり気が進まないけどね…』

 『まさか…ダメよ!』

 『でも…今はそこに賭けるしかないじゃない?』

 八方ふさがりの重苦しい中、ラミレスが念話を飛ばしてきて話あうとエイシャは納得はできなかったが現状ラミレスの案に乗るしかなく力なく話し始めた。

 「アディオン…このままでセナ殿はどれほどもつ?」

 「自己再生までは反転してないみたいだから小さな怪我は回復に向かっているけど…このままじゃもって1週間くらいだと思う」

 「そうか…」

 「クソが!アルドラの野郎ども…ぜってぇ許さねぇ…」

 「おちつけエイケン。まずセナ殿を治す方法をさがすのが先決だ」

 「でもよっ!」

 「セナ殿を救った後…奴らは皆殺しにしてやるっ…」

 「そうだね…セナ君はがんばって生きてるんだ…意地でも方法を探し出すよ!…その後だアルドラは…さすがのボクも…今回だけは慈悲の心はない…許す気はないよ」

 「当然でしょ?…セナ様を救った後…きっちり仕留めるに決まってるじゃない、誰一人逃がさないわ」

 エイケンが悔しそうに拳を叩くのをなだめたサイだったが獰猛な目つきで、アディオン、リレイも怒りをあらわにした。

 「確実とは到底言えないが…」

 エイシャが覚悟決め口を開いた。

 「なんかあんのかっ!?」

 「1つな…ただ確証がなくひどい賭けになるが…」

 「なんでもいい!教えてくれ!!」

 「うむ、何もしないよりはいい、他の方法がみつかるかもわからんし。このままではどのみちセナ殿の死を待つだけだ」

 「そうね」

 覚悟はきめたが未だ躊躇するエイシャに3人がぞれぞれ思うことを告げた。

 「わかった…それは魔大陸へ行き魔王に見せることだ」

 「げっ!」

 エイシャの言葉にエイケンが驚いた後、嫌そうな顔をした。

 「なぜ魔王なの?」

 「魔族の中には神聖魔法が効かぬ種族がおる」

 「なるほど…神聖魔法に頼らない回復方法があるかもってことだね?」

 「うむ」

 「わかった…いくぞ」

 「うん!」

 「まて、魔大陸へ行くのはエイケンとセナ殿、それにグラニールだけだ」

 サイの言葉にアディオンたちが頷き移動しようとしたのをエイシャがとめた。

 「なぜ?」

 「魔王との条約の為だ…魔大陸へは私とラミレスの血縁のみ上陸でき魔王に会える」

 「そのようなもの!」

 「ダメだ世界の均衡を保つためと、お前たちの身の安全のためだ」

 「わかった俺がセナを連れていく」

 「エイケン!」

 「わりいな皆、姫が言ってることが正しいんだ。こいつ1人のせいで条約を反故にするわけにはいかねぇし、魔大陸はとは魔素の質が違うんだ」

 「エイケン、これをグラニールに、そしてこれはお前とセナ殿にだ。それがあれば魔王城攻撃はされず中に入れるであろう」

 申し訳なさそうに言ったエイケンにエイシャがドラニスタの旗と、龍に祈りを捧げる女が描かれたバッジのようなものを2つ手渡した。

 「エイケン気を付けてね?魔王がアルドラと繋がっていないとは言えないわ」

 「ああ…そりゃねぇから大丈夫だ」

 「なぜそう言い切れる?」

 リレイの言葉に頭をボリボリ掻きエイケンが答えるとサイが鋭い目つきで根拠を尋ねた。

 「魔王にあったことがあるし、#元々よく知ってる_・__#からな」

 「どういう意味だ」

 「まぁ今はそこはどうでもいいだろ?とりあえず魔王って奴は裏でコソコソするやつが大きれぇなヤツで、アルドラみたいなやり口には乗っからねぇんだよ」

 「そうだな」

 「納得できないけど…エイシャが言うんならそうなんでしょうね…」

 エイケンの言葉にエイシャが同意し頷くのをみてリレイは疑問を飲み込んだ。

 「グラニールには無理をさせちまうが、少し休ませたらいくぜ?」

 「わかった。ラミレスにも伝えておこう」

 エイケンが準備のためゲイリーを引き連れ退室した。

 「ねぇ?もしセナ様が…治らなかったり…命を落とした場合…はどうするつもり?」

 「私とセナ殿の関係をきいていたのか?」

 「ええ」

 セナを横目でみたリレイがエイシャにたずねた。

 「そうか…なら断言しよう…もしもセナ殿がこのまま命を落とした場合…私はドラニスタでの地位とナンバーズでの地位どちらも捨てアルドラとシルティアそしてそれに加味するもの全てを滅する」

 「なっ!!」

 「ちなみにだが…この件についてはラミレスも同意し私と行動を共にするといっている」

 「そんな…龍王ラミレスまで…」

 リレイがエイシャの言葉を聞き驚愕し、実際行動に移った際を想像し絶望の表情を浮かべた。

 「エイシャ何を一人でやろうとしている?」

 「そうだね…さっきボクらも言ったはずだよ?は絶対許さないからね」

 「サイ!アディオン!!」

 エイシャをにらみつけたサイの言葉にアディオンもうなずき自分たちも同じ行動をとることをリレイに伝えた。

 「あなたたちが枷もなく動いたら…大陸が終わるわ…」

 「それがどうした?」

 「ボク達には関係ないね」

 リレイが恐れを抱きながらつぶやいた一言を二人はバッサリと切り捨てるように言った。

 「大陸は覚悟しておいたほうがいいよ」

 「ああ、我らだけではないはずだからな」

 「っ!?」

 二人の発言にリレイはヤオやタオ、そしてメディーたちが脳裏に浮かんだ。

 「止めたければ敵になり止めに来てもいいぞ?」

 「…どうやってよ…龍の逆鱗と獣王の尾を同時に触って踏んづけたような状態じゃない…戦略でどうこうなるレベルじゃないわ…」

 リレイは挑発的に笑うサイに力なくへたり込んでしまった。

 「準備ができたぜ。ん?リレイどうしたんだ?」

 魔大陸へ向かう準備が整いセナを連れに来たエイケンにここまでの話を伝えた。

 「ああ、そうなれば俺も躊躇なくヤるぜ?それに」

 「それに?なによ!まだあるっていうの!?」

 「そうなったら、場合によってはってか…ほぼ確実に魔王も動くとおもうぜ?」

 「なっ!?なんで魔王まで!」

 「そういうがあるんだよ」

 「なによそれ!」

 エイケンの言葉に理解がおよばないリレイが混乱したままつかみかかった。

 「まあいろいろあるんだよ、でもよ?魔王もそうだが、一番は大陸同士の戦争にもなりかねねぇってことだろ?」

 「わかってるわよ!」

 「わかってねぇぜ、セナがやられてメディーと迅風がおとなしくするか?そうなったらジルネイの獣人達だって動きかねねぇ、それに王国にはエミル=ブレイダーもいるんだぜ?」

 「だから困ってるんじゃない!」

 リレイの怒号が玉座の間に響き渡った。

 「もういい、どんなに貴様が叫んでも我々の行動はかわらん」

 「そうだね、それよりもセナ君をさっさと魔大陸につれていってあげてよ」

 「ああ」

 「エイケン…」

 「わかってる…」

 エイケンが覚悟を決めた顔をし兵たちに慎重にセナを運ばせながら玉座の間をあとにし、数十分後ドラニスタの空には気合をいれ飛び立ったグラニールの咆哮が響き渡った。

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