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第5章 小話
王国最強? ②
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「ん~…」
「どうしたよ」
昼食を取り終え再び歩き出したライズ達が30分ほど奥へと進むとライズが周りを見渡したりしゃがんで地面を触ると何かを考えはじめた。
「ちっとおかしいんだ」
「だから何がだよ」
「ああ、この辺も人が入って荒れちゃぁいるが荒れ方が他となんかちげぇんだよなぁ」
猟師の1人の言葉にライズが頭を掻きながら何処が他と違うのか考えながら答えた。
「ライズ殿、抽象的でもいいので何処が気になったか教えてください」
「抽象的つってもなぁ…なんか人がいたわりに綺麗な感じがするんだよ」
人が歩き草が踏み荒らされ小枝なども折れており獣道まで少々荒れている場所を見て騎士達はライズの言っている意味を理解できずにいた。
「あぁ…言われてみればそうかもな」
「ああ、生きてる跡がねぇ」
「どういう意味ですか?」
ライズの言葉を聞き猟師達が改めて注意深く周りを見渡しながら同意するように答えたが未だ騎士達は理解できずにいた。
「ああ…人が居たら何かを食ったり、こんだけ奥だから魔物や動物にもかちあうだろ?その痕跡がねぇんだよ」
「しかもこれだけ歩いた跡があるってことはそこそこの人数が居たはずだしな」
「なるほど…」
「とりあえずこっからは周りに注意して進むぜ?最悪森から出る事も想定してな」
ライズの指示にそれぞれが頷き注意深く進みはじめた。
「ライズ…これ」
「…やべぇな」
「どうしたんですか?」
歩きはじめて30分ほど経った頃、猟師の1人が太い木の幹を見ながらライズに声を掛けるとライズは木を見た後しゃがみこみ何かを探す動作をし、それを見つけると額に汗を浮かべ少々焦りはじめた。
「見てみろよ」
「戦闘でもあったんですか!?」
ライズが焦り何を探していたのか聞いてきた騎士がライズの指差す方をみて驚いた。
「いや…こりゃぁ狩りの跡だな」
「あぁ…」
頭を掻きながら答えた猟師の1人にライズが頷いた。
「狩り?いったい何を狩ったらこのようなことになるんですか?!」
最初にみつけた木の幹についた傷跡と地面についた足跡を追い先に進むと急に森が少し開けた場所へと繋がっており、探るように木陰に隠れながらその場を見ると木々が折れ、地面が数カ所抉れさらによく見ると無数の血痕が飛び散っていた。
「魔法の痕跡までありますし…よく見ると魔物の血痕までありますね」
「あぁ…かなり派手な狩りをしたみてぇだな」
「痕跡からかなりの量ですよね?どうやって運んでいるのか…マジックバッグ持ちもいるんでしょうか」
「おいライズこの二人勘違いしてるみてぇだぜ?」
「え?なにをですか?」
騎士二人とライズの会話を聞き猟師の一人がライズの肩を叩きながら言った。
「あぁ…人が狩ったんじゃねぇんだわ…人と魔物が狩られたんだよ」
「え?!ライズ殿なににですか?」
「たぶんマウンテンベアだな」
「あぁ」
「ライズ殿いかなマウンテンベアとはいえ、人や魔物まで襲えるとは」
「いやいや主クラスならやりかねねぇよ?大方てめぇのテリトリーを荒らされて出てきたんだろうよ」
「たぶんな」
「なんと…」
「とりあえずここまでだな…これ以上進むのはさすがにやべぇこっから一旦森をでようぜ」
「あぁ地図にものせといたからよ小隊長に言ってこの辺封鎖してもらうぜ」
ライズの言葉に地図を見せながら猟師の一人が答え、全員が頷きその後ちがうルートを通り森の出口を目指した。
「ん?皆とまれ!」
「ああ?どうしたよライズ」
1時間ほど歩き森の出口まで半分といったところでライズが全員を止め森の奥をみつめた。
「なんか向こうが騒がしい気がする…俺ちっと見てくるわ」
「おいおい、一人で行くのかよ」
「あぁ、偵察がてらな、こっちに害がなさそうならさっさと帰ってくっから大丈夫だ」
「わかった。じゃあ…俺らはいつも通り動くぜ?」
「ああ、わりぃが頼む」
ライズと猟師達がかるく打合せのようなものをしおえるとライズは森の奥へと消えていった。
「さて1時間休憩しますか」
「あのいつも通りとは?」
「あぁ俺らの村じゃあ、森で単独行動するとき1時間だけ皆まってそれで来なけりゃ助けを呼びに村にもどんだよ」
「え?では!」
「あぁライズが戻らなきゃ一旦俺らだけで森をでる」
「んで応援をよんで…そうだなぁこの時間だから助けに行くのは明日の朝だな」
「なっ!?それではライズ殿に何かあった場合間に合わないではないですかっ!」
「まぁそうだな」
猟師たちの言葉を聞き騎士たちが興奮したように立ち上がった。
「まぁ、落ち着けよ。休めるときに休まなきゃ持たないぜ?」
「そうそう。それにだ狩りでの単独行動っつうのはよ?それくれぇの覚悟でやらなきゃならねぇもんなんだよ」
「いや!しかしですね!」
「無理して全滅だけは避けなきゃならねぇ…あいつはそれもわかってる」
「あぁ…それにただでやられるヤツでもねぇ…やばかったらこっちに害がでねぇように動くはずだ…そうなりゃどのみち間に合わねぇ」
「そんな!では今からでも合流を!」
「やめとけ俺らが行ったらリスクがあがる…あいつが森で本気だしたら誰もついてけねぇよ」
「くっ!」
「命のやり取りだからよ狩りは」
「命を掛けてほかの命をいただくだからもらった命は無駄にしねぇ…これがエルの教えだからよ」
「もらった中には生きて帰ってきた自分の命もふくまれてるけどな!」
「強いですね…」
「強がってるだけどな!」
猟師達の言葉を聞き、騎士たちは落ち着きを取り戻し腰を掛けた。
「思ったよりちけぇな…」
みんなと別れ周囲を警戒しながら10分ほど森の奥へと進んだライズが何かをみつけ身をかがめ様子を見た。
「グガァ!」
「グギャギャギャギャ!」
「ピィーーー!!!」
「どうなりゃあんなになんだ?そもそもテレゴノシスがなんでこっちにきてんだよ…」
ライズが見た光景はゴブリンの群れがマウンテンベアを攻撃し、マウンテンベアとテレゴノシスがゴブリンを攻撃していた。
「いったいどうなってやがんだ?…ん!?ありゃぁ…」
意味が分からずあたりを見渡していたライズが何かを見つけ苦い顔をした。
「逃げてきた奴ら…テレゴノシスの巣襲ってからこっちにきてやがったのか…」
シュバイン軍から逃走した傭兵や冒険者くずれだったものがエルの森に潜んでいたさい、テレゴノシスの巣を襲い卵や雛をうばい親テレゴノシスから逃げるためこちらの森にきてゴブリンの群れに襲われ、逃げた先がマウンテンベアのテリトリーだったと元人だった塊の脇に割れて散らばった卵らしき殻や飛び散った羽毛をみてライズが推測した。
「さて…あいつらのやり取りだけだしこっちまで被害はなさそうだな」
地上で襲い来るゴブリンの群れを薙ぎ払うマウンテンベアと上空から急降下し攻撃したり魔法をうちだすテレゴノシスをみてライズが引き返そうとした。
「グギャ!」
「ピッ!」
ライズが細心の注意を払いながら後退した瞬間、ゴブリンの1匹がやけくそ気味に投げつけたボロボロに錆びたナイフが降下しスピードにのったテレゴノシスの羽にあたりテレゴノシスが錐揉みしながらライズの近くへと墜落した。
「げっ!?マジかよ…」
自身から1メートルも離れていない場所に落ちたテレゴノシスを見ながらライズが驚きの声をあげると、声にきづいたテレゴノシスがライズを一瞬みたあと、起き上がりダラリとした右羽を無理やり動かし飛び上がろうとバタバタれはじめた。
「あばれんな!こっちにあいつらがきちまうだろ」
「………………」
テレゴノシスが墜落し死んだと思っているのか、それともマウンテンベアの相手でそれどころではないのかわからないがゴブリンたちはテレゴノシスを追ってこなかったのでライズは今のうちに逃げようとしたがテレゴノシスがあばれたので必死に小声で声をかけた。
「………………」
「なんだよ」
そんなライズをじっと見つめた後、ライズが尋ねるとまたゴブリンたちの方をみてテレゴノシスがバタバタしはじめた。その姿は真っ白で綺麗だった体が土や草の汁がつき薄汚れ、墜落した際におったのか左足もうごかせなく嘴からは血が垂れていた。
「おまえ…そりゃぁ無理だろ…なんでそんなに…」
「ピィ」
死に急ぐかのような行動をとるテレゴノシスに黙っていてもマウンテンベアがゴブリンの群れを壊滅させるのにと思いながらライズが尋ねると、テレゴノシスはライズを一瞬見た後、割れた卵や飛び散った羽毛をみて再度、なにかを訴える様にライズを見た。
「そうか…やられた家族や仲間の為か…」
「………………」
ライズがテレゴノシスの伝えたいことを理解し口に出すとテレゴノシスは再び目線をゴブリンたちに向けバタバタしだした。
「くそっ!…おい!これを飲め!嘴がいかれて魔法はうてねぇみてぇだが飲むだけならできんだろ!」
テレゴノシスの思いと行動を目にし、村を守るために死んでいった仲間をおもいだしライズはいてもたってもいられなくなり懐からセナからもらったポーションを取り出しテレゴノシスへと近づいた。
「ピィー」
「うっせぇよ!俺だって馬鹿な事してるって思ってるわ!…けどよ…家族や仲間の仇はとれるならてめぇでとらねぇとよ…おめぇだって先に進めねぇじゃねぇか…」
疑うような目で少し呆れたように声を上げたテレゴノシスにライズが苦々しい顔で言いながらポーションをテレゴノシスの嘴にあてがった。
「どんくれぇの効果があるかわかんねぇけどあいつが作ったもんだ、ぜってぇおめぇの力にはなれると思うぜ?すげぇんだよ俺の親友はよ!」
ライズの表情を見て恐る恐るテレゴノシスがポーションに嘴をつっこんで飲み始めた。
「どうだ?」
「ピィ」
ポーションを半分ほど呑み込んだ後、少々バタバタとしたあとテレゴノシスがすくっと起き上がった。
「嘴と足はなんとかなったみてぇだが羽はまだ無理そうだな…」
テレゴノシスがヒョコヒョコと左足を庇いながらもゴブリンに向かっていきそうになるのをみたライズが症状を見て意を決したような顔をした。
「ピ!?」
「ちくしょう!乗り掛かった舟だ!いいか!やばくなったら逃げるからな!」
ライズが突然後ろからテレゴノシスを両手で捕まえた後、自身の頭の上にのせるとハルバードを握り締め勢いよく走り始めた。
「どうしたよ」
昼食を取り終え再び歩き出したライズ達が30分ほど奥へと進むとライズが周りを見渡したりしゃがんで地面を触ると何かを考えはじめた。
「ちっとおかしいんだ」
「だから何がだよ」
「ああ、この辺も人が入って荒れちゃぁいるが荒れ方が他となんかちげぇんだよなぁ」
猟師の1人の言葉にライズが頭を掻きながら何処が他と違うのか考えながら答えた。
「ライズ殿、抽象的でもいいので何処が気になったか教えてください」
「抽象的つってもなぁ…なんか人がいたわりに綺麗な感じがするんだよ」
人が歩き草が踏み荒らされ小枝なども折れており獣道まで少々荒れている場所を見て騎士達はライズの言っている意味を理解できずにいた。
「あぁ…言われてみればそうかもな」
「ああ、生きてる跡がねぇ」
「どういう意味ですか?」
ライズの言葉を聞き猟師達が改めて注意深く周りを見渡しながら同意するように答えたが未だ騎士達は理解できずにいた。
「ああ…人が居たら何かを食ったり、こんだけ奥だから魔物や動物にもかちあうだろ?その痕跡がねぇんだよ」
「しかもこれだけ歩いた跡があるってことはそこそこの人数が居たはずだしな」
「なるほど…」
「とりあえずこっからは周りに注意して進むぜ?最悪森から出る事も想定してな」
ライズの指示にそれぞれが頷き注意深く進みはじめた。
「ライズ…これ」
「…やべぇな」
「どうしたんですか?」
歩きはじめて30分ほど経った頃、猟師の1人が太い木の幹を見ながらライズに声を掛けるとライズは木を見た後しゃがみこみ何かを探す動作をし、それを見つけると額に汗を浮かべ少々焦りはじめた。
「見てみろよ」
「戦闘でもあったんですか!?」
ライズが焦り何を探していたのか聞いてきた騎士がライズの指差す方をみて驚いた。
「いや…こりゃぁ狩りの跡だな」
「あぁ…」
頭を掻きながら答えた猟師の1人にライズが頷いた。
「狩り?いったい何を狩ったらこのようなことになるんですか?!」
最初にみつけた木の幹についた傷跡と地面についた足跡を追い先に進むと急に森が少し開けた場所へと繋がっており、探るように木陰に隠れながらその場を見ると木々が折れ、地面が数カ所抉れさらによく見ると無数の血痕が飛び散っていた。
「魔法の痕跡までありますし…よく見ると魔物の血痕までありますね」
「あぁ…かなり派手な狩りをしたみてぇだな」
「痕跡からかなりの量ですよね?どうやって運んでいるのか…マジックバッグ持ちもいるんでしょうか」
「おいライズこの二人勘違いしてるみてぇだぜ?」
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「え?!ライズ殿なににですか?」
「たぶんマウンテンベアだな」
「あぁ」
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「いやいや主クラスならやりかねねぇよ?大方てめぇのテリトリーを荒らされて出てきたんだろうよ」
「たぶんな」
「なんと…」
「とりあえずここまでだな…これ以上進むのはさすがにやべぇこっから一旦森をでようぜ」
「あぁ地図にものせといたからよ小隊長に言ってこの辺封鎖してもらうぜ」
ライズの言葉に地図を見せながら猟師の一人が答え、全員が頷きその後ちがうルートを通り森の出口を目指した。
「ん?皆とまれ!」
「ああ?どうしたよライズ」
1時間ほど歩き森の出口まで半分といったところでライズが全員を止め森の奥をみつめた。
「なんか向こうが騒がしい気がする…俺ちっと見てくるわ」
「おいおい、一人で行くのかよ」
「あぁ、偵察がてらな、こっちに害がなさそうならさっさと帰ってくっから大丈夫だ」
「わかった。じゃあ…俺らはいつも通り動くぜ?」
「ああ、わりぃが頼む」
ライズと猟師達がかるく打合せのようなものをしおえるとライズは森の奥へと消えていった。
「さて1時間休憩しますか」
「あのいつも通りとは?」
「あぁ俺らの村じゃあ、森で単独行動するとき1時間だけ皆まってそれで来なけりゃ助けを呼びに村にもどんだよ」
「え?では!」
「あぁライズが戻らなきゃ一旦俺らだけで森をでる」
「んで応援をよんで…そうだなぁこの時間だから助けに行くのは明日の朝だな」
「なっ!?それではライズ殿に何かあった場合間に合わないではないですかっ!」
「まぁそうだな」
猟師たちの言葉を聞き騎士たちが興奮したように立ち上がった。
「まぁ、落ち着けよ。休めるときに休まなきゃ持たないぜ?」
「そうそう。それにだ狩りでの単独行動っつうのはよ?それくれぇの覚悟でやらなきゃならねぇもんなんだよ」
「いや!しかしですね!」
「無理して全滅だけは避けなきゃならねぇ…あいつはそれもわかってる」
「あぁ…それにただでやられるヤツでもねぇ…やばかったらこっちに害がでねぇように動くはずだ…そうなりゃどのみち間に合わねぇ」
「そんな!では今からでも合流を!」
「やめとけ俺らが行ったらリスクがあがる…あいつが森で本気だしたら誰もついてけねぇよ」
「くっ!」
「命のやり取りだからよ狩りは」
「命を掛けてほかの命をいただくだからもらった命は無駄にしねぇ…これがエルの教えだからよ」
「もらった中には生きて帰ってきた自分の命もふくまれてるけどな!」
「強いですね…」
「強がってるだけどな!」
猟師達の言葉を聞き、騎士たちは落ち着きを取り戻し腰を掛けた。
「思ったよりちけぇな…」
みんなと別れ周囲を警戒しながら10分ほど森の奥へと進んだライズが何かをみつけ身をかがめ様子を見た。
「グガァ!」
「グギャギャギャギャ!」
「ピィーーー!!!」
「どうなりゃあんなになんだ?そもそもテレゴノシスがなんでこっちにきてんだよ…」
ライズが見た光景はゴブリンの群れがマウンテンベアを攻撃し、マウンテンベアとテレゴノシスがゴブリンを攻撃していた。
「いったいどうなってやがんだ?…ん!?ありゃぁ…」
意味が分からずあたりを見渡していたライズが何かを見つけ苦い顔をした。
「逃げてきた奴ら…テレゴノシスの巣襲ってからこっちにきてやがったのか…」
シュバイン軍から逃走した傭兵や冒険者くずれだったものがエルの森に潜んでいたさい、テレゴノシスの巣を襲い卵や雛をうばい親テレゴノシスから逃げるためこちらの森にきてゴブリンの群れに襲われ、逃げた先がマウンテンベアのテリトリーだったと元人だった塊の脇に割れて散らばった卵らしき殻や飛び散った羽毛をみてライズが推測した。
「さて…あいつらのやり取りだけだしこっちまで被害はなさそうだな」
地上で襲い来るゴブリンの群れを薙ぎ払うマウンテンベアと上空から急降下し攻撃したり魔法をうちだすテレゴノシスをみてライズが引き返そうとした。
「グギャ!」
「ピッ!」
ライズが細心の注意を払いながら後退した瞬間、ゴブリンの1匹がやけくそ気味に投げつけたボロボロに錆びたナイフが降下しスピードにのったテレゴノシスの羽にあたりテレゴノシスが錐揉みしながらライズの近くへと墜落した。
「げっ!?マジかよ…」
自身から1メートルも離れていない場所に落ちたテレゴノシスを見ながらライズが驚きの声をあげると、声にきづいたテレゴノシスがライズを一瞬みたあと、起き上がりダラリとした右羽を無理やり動かし飛び上がろうとバタバタれはじめた。
「あばれんな!こっちにあいつらがきちまうだろ」
「………………」
テレゴノシスが墜落し死んだと思っているのか、それともマウンテンベアの相手でそれどころではないのかわからないがゴブリンたちはテレゴノシスを追ってこなかったのでライズは今のうちに逃げようとしたがテレゴノシスがあばれたので必死に小声で声をかけた。
「………………」
「なんだよ」
そんなライズをじっと見つめた後、ライズが尋ねるとまたゴブリンたちの方をみてテレゴノシスがバタバタしはじめた。その姿は真っ白で綺麗だった体が土や草の汁がつき薄汚れ、墜落した際におったのか左足もうごかせなく嘴からは血が垂れていた。
「おまえ…そりゃぁ無理だろ…なんでそんなに…」
「ピィ」
死に急ぐかのような行動をとるテレゴノシスに黙っていてもマウンテンベアがゴブリンの群れを壊滅させるのにと思いながらライズが尋ねると、テレゴノシスはライズを一瞬見た後、割れた卵や飛び散った羽毛をみて再度、なにかを訴える様にライズを見た。
「そうか…やられた家族や仲間の為か…」
「………………」
ライズがテレゴノシスの伝えたいことを理解し口に出すとテレゴノシスは再び目線をゴブリンたちに向けバタバタしだした。
「くそっ!…おい!これを飲め!嘴がいかれて魔法はうてねぇみてぇだが飲むだけならできんだろ!」
テレゴノシスの思いと行動を目にし、村を守るために死んでいった仲間をおもいだしライズはいてもたってもいられなくなり懐からセナからもらったポーションを取り出しテレゴノシスへと近づいた。
「ピィー」
「うっせぇよ!俺だって馬鹿な事してるって思ってるわ!…けどよ…家族や仲間の仇はとれるならてめぇでとらねぇとよ…おめぇだって先に進めねぇじゃねぇか…」
疑うような目で少し呆れたように声を上げたテレゴノシスにライズが苦々しい顔で言いながらポーションをテレゴノシスの嘴にあてがった。
「どんくれぇの効果があるかわかんねぇけどあいつが作ったもんだ、ぜってぇおめぇの力にはなれると思うぜ?すげぇんだよ俺の親友はよ!」
ライズの表情を見て恐る恐るテレゴノシスがポーションに嘴をつっこんで飲み始めた。
「どうだ?」
「ピィ」
ポーションを半分ほど呑み込んだ後、少々バタバタとしたあとテレゴノシスがすくっと起き上がった。
「嘴と足はなんとかなったみてぇだが羽はまだ無理そうだな…」
テレゴノシスがヒョコヒョコと左足を庇いながらもゴブリンに向かっていきそうになるのをみたライズが症状を見て意を決したような顔をした。
「ピ!?」
「ちくしょう!乗り掛かった舟だ!いいか!やばくなったら逃げるからな!」
ライズが突然後ろからテレゴノシスを両手で捕まえた後、自身の頭の上にのせるとハルバードを握り締め勢いよく走り始めた。
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