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第5章 ストラトス帝国編

絡むとこうなる

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 「アレストラ王妃様、リネア王国アマリウス聖教より無事到着いたしました」

 「ご苦労様です…無事に到着したこと心から嬉しく思います…ところで…アリアちゃん?セナ様も正式な場ではないから楽にして頂戴?」

 リストニアを出発しいくつかの街をへて無事に帝国へとたどり着いたセナ達がアリアを先頭にアレストラへと膝をつき到着をしらせると堅苦しい挨拶を終えたアレストラが一息吐いて笑顔でいった。

 「疲れたでしょ?アリアちゃん顔色が少し悪いみたいね、今日はゆっくり休んでね」

 「いえ…大丈夫です」

 「失礼ながら…アリア様は帝国兵にご両親を…」

 アリアの顔をみたアレストラがねぎらいの言葉をかけると、言いずらそうにエリスが声を出した。
 
 「あれは帝国の兵では…いえ…そうね…どこの誰は関係ないわね…事実…帝国兵の格好をしたものに…ですものね…ごめんなさい…配慮が足りなかったわ」

 「いえ!帝国の兵ではないとわかってるんです…ただ…あの服を見ると…思い出してしまいまして…すいません」

 悲しそうな顔をし謝罪を口にしたアレストラへアリアが顔をあげ否定の言葉を口にした。

 トントン

 「はい」

 「失礼いたします。イース様が」

 「失礼するぞ!アリアがついたそうじゃが!?お、おぉー!!アリアよ!元気だったか!」

 気まずい雰囲気を打ち破るかのように訪れたイースがアリアをみつけ激しく抱擁した。

 「おじい様…ご無沙汰しておりました。おじい様もお元気そうでよかったです」

 イースに抱擁されさきほどの不安に満ちた顔をやわらげアリアは笑顔で抱擁しかえした。

 「あぁ元気じゃよ!旅でつかれておろう?」

 「大丈夫です。セナがエリス達も誘ってくれたから楽しく来れました」

 「おぉーおぉーそうかそうか…セナ殿、此度の件ひきうけてくれたこと、並びに心遣い感謝するぞ。エリス殿達も此度はすまんな、感謝する」

 「いえ、私はできることがあったら必ず手伝うと約束してましたから」
 
 「アリアはですから気にしないでください!」

 「コニーありがとう!」

 「そうかそうか…ひとつよろしくお願いする」

 「はい!任せてください!!」

 コニーの言葉にアリアが心からうれしそうな笑顔を浮かべたのをみてただの好好爺になりさがったイースが護衛を引き受けてくれた面々をみわたし頭を下げた。

 「でも、おじい様?王妃様がおられるのにぶしつけな入室はひかえてくださいね」

 「ふふふっ私室ではないから大丈夫よ」

 「いや、そうじゃな…すまんかったのぉアレス」

 アリアが人差し指をたて注意すると申し訳なさそうに肩を落としイースが謝罪をした。

 「さすがの神腕も形無しだね」

 「うるさいわっ!」

 「アディオンさん!」

 イースの様子に威厳のかけらもなくセナやアレストラが苦笑しているとドアが急に開き、腰に手を当て胸を張ったアディオンがあらわれた。

 「やぁセナ君久しぶりだね元気そうで何よりだよ」

 「はい。お久しぶりです。アディオンさんもお変わりなく何よりです」

 セナをみつけるとにこやかに挨拶をしてきたアディオンにセナも笑顔で答えた。

 「さっきスカーレットから向こうのことをきいたよ?君また随分おもしろそうなことをしたそうじゃないか」

 「今回は面白いことは何一つなかったですよ…」

 「ふふふっ変わってないようでよかったよ」

 アディオンの言葉にセナが表情を少し曇らせると、アディオンはセナの考え方など根本的な部分に変化がないことに少し安堵し柔らかな笑顔を向けた。

 「アディオン様?お兄様方の容態は?」

 「ん?あぁ安定しているよ。セナ君に会うついでに少しの間なら面会も可能だと伝えに来たんだよ」

 「ついでですか…四大国の1つの王も形無しですわね…」

 「それはそうだよ。前にも言ったけどアレス、ボクはこの国がどうなろうと興味はないからね。セナ君のついでくらいだとしても助力したことに感謝をしてもらいたいくらいだよ」

 「そ…そうですわね…感謝しておりますわ」

 本当に興味なさそうにいうアディオンにアレストラだけではなくエリス達まで驚愕の表情を浮かべた。

 「うんうん。あぁそうだ!セナ君、スカーレットから話を聞いた他の3人が君の新しい力を見たいと騒いでいたよ?」

 「新しい力ですか?」

 アレストラの感謝をきき満足げに頷いたがすぐにセナの話題へとかえ意地の悪い笑顔を浮かべ言ったが、セナは自身の新しい力に思い当たる節がなく困惑した顔をした。

 「セナ様…龍気や燐気の属性変化についてかと」

 「あぁ!あれですか」

 ヤオに耳打ちされ気づいたセナにアディオンは苦笑をうかべ頷いた。

 「ほう…小僧さらに腕をあげたというのか?」

 「いえ、腕を上げたとかでは…」

 「失礼ながらイース殿」

 「なんじゃ」

 セナとアディオンの会話を聞きイースが品定めするかのようにセナをみるとヤオとタオが視線を遮るようにセナの前にたち声をかけた。

 「大変申し上げにくいのですが」

 「言ってくれてかまわんよ」

 「では、はっきり申し上げますわ…イース様では…いえでは最早セナ様の真の実力を見極めることができる方はおりませんわ」

 「ほう?随分なことをいいよるのぉ…今この国には儂だけではなくケンオウ2人もおるが見解に間違いはないか?」

 「間違いございませんわ」

 「いかな我らとて過大評価は主の死を招きますゆえいたしませぬ…エイケン殿、サイ殿そしてイース殿が一斉に戦いを挑んでも勝機はないものと確信しておりまする」

 「そなたらがそこまでいうほどか」

 「はい…現に我らではもはや反応すらできませぬゆえ」

 「なんとっ!にわかには信じられんな…」

 「事実にございます」

 「…………」

 バン!

 「聞き捨てならねぇなぁ…いくらなんでも俺らが束でかかってもかてねぇって?とうとう耄碌したか?あぁん!?」

 「耄碌などしておりませぬ。事実なだけのこと」

 「ほうほう……よーくわかったぜ……」

 「まてエイケン、ヤオ殿とタオ殿それにスカーレットのいう言葉が真実かどうかなど試してみればわかるではないか」
 
 「師匠!」

 話を聞いていたイースやアレストラは誇張するわけでもなく淡々と述べるヤオとタオに暗に事実だと突き付けられているようで言葉を失ってる中、スカーレットから話を聞きセナに会いに来たところたまたま話を聞いてしまったエイケンとサイがドアを勢いよく開け放ち、二人を見たヤオとタオが未だ見解を変えぬことに獰猛な笑みを浮かべ、あとからついてきたスカーレットは顔を蒼くして自分が伝えてしまったことを悔いた。

 「よし!ならこれから闘技場で実際に試してみよう!」

 「そうだな」

 「おうよ!」

 話の展開を楽しむようにアディオンがいうとサイとエイケンが同意した。

 「なんでこんなことに……ちょっとまってくださいよ!僕たちまだこの国に着いたばかりで皇帝様にもお目通りしてないんですよ!?」

 「あぁ?んな死にかけの小物なんかどうでもいいだろ!」

 「うむ。エイケンの言う通りだ。そんなことはどうでもいい、さっさと行くぞセナ殿」

 「あっはっは!どうせレオは動けないんだからどこにもいかないよ!そんなの後回しでいいから早く新しい力ってやつをボクにもみせてよ!」

 「小物…………そんなこと…………さすがに可愛そうになってきたわ…………お兄様」

 「すごい展開すぎてついていけません…………」

 ナンバーズの勢いに兄を思い憐れむアレストラとコニーがやっと声をだした。

 「どうしよう……おじい様」

 「やらせるしかあるまいて……さすがの儂もあやつらに割って入ることはできんよ」

 おろおろするセナをみてアリアが助けを求める様にイースの袖をにぎりいうがイースは首を横に振り成り行きを見守ることにしたようだった。

 「でも相手はケンオウ様たちよ?怪我しちゃうんじゃ…」

 「歌姫様大丈夫ですわ」

 「でも」

 「ほう、歌姫様はご自身をお守りすると誓ったセナ様をご信頼になられておらぬということですかな?」

 「なっ!?」

 不安げな顔をするアリアにタオとヤオが声をかけた。

 「信じてるわよ!セナのことは世界で一番私が信じてるんだからっ!」

 「ほう?そのようには見えませんでしたが」

 「なにいっちゃってるのかな!私はケンオウ様たちが怪我しないか心配してただけよ!…あ…」

 売り言葉に買い言葉で叫ぶように言ったアリアだったがサイとエイケンの視線を感じ焦って両手で口をふさいだが時すでに遅しだった。

 「ご心配いたみいる」

 「ちっとセナの実力でもみてやるかと思ったが…そこまで言われちゃぁ本気でやるしかねぇなぁーあ」

 サイとエイケンが獰猛な笑いを浮かべアリアにいった。

 「ひぃ!セナごめん!でも信じてるからね!」

 「…アリア」

 必死に手を合わせて謝罪するアリアをげんなりした顔でセナは見つめた。

 「このままでは収拾がつかんのぉ…セナ殿…すまんがやってやってくれんか」

 「そうだよ!どうせそこの二人は実際に体験しないと元々納得するタイプじゃないしね!サクッとやっちゃってよ!」

 「えぇ…そうね…」

 イース、アディオン、アレストラの言葉と視線にセナは周りを見渡すとアリアが祈るようにセナを見返し、ヤオとタオは恭しく一礼し、エリスは期待しているように笑顔でグッと自身の顔の前で拳を握り、マインは笑顔で頷き、コニーは満面の笑みでサムズアップをしたとおもうとそのまま首を掻っ切るポーズをした。

 「さぁさぁ君は仲間の期待を裏切るような子じゃないだろ?あきらめ時だよセナ君」

 「…はぁー…そうみたいですね」

 肩をやさしくポンポンと叩きながらいうアディオンの言葉にぐったりと項垂れながらセナが言い、全員で闘技場へと向かうことになった。

 「しかしアディオン、主が絡むとどうしても物事すんなり進まんのぉ」

 「くっくっく。たのしいでしょ?」

 「…楽しめない」

 イースの言葉に真っ黒な笑顔を浮かべ言うアディオンをみながらげんなりしたようにスカーレットがつぶやいた。
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