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41話
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「ふぅ~…セイやっと完成したな!」
「うん!お父さんも皆さんもありがとうございました!」
俺は自分の家の近くの土地1区画分の更地に立った小さな小屋と大き目な倉庫を前に父と商会で働いてる従業員達とともに達成感に浸った。
=============================
「セイよ、学園での件で褒美がでる」
「え!?」
「今回はアンジェだけではなく王女に宰相の娘、近衛騎士団長の娘の4人助けたのだ、褒美は免れんぞ」
ある日公爵家へ呼び出されハスクにそのように言われた。俺はできるだけ目立ちたくないしできればメリダやカリン、マチルダとの接点をこれ以上増やしたくもないので本来なら褒章や褒美は嬉しいのだと思うが俺は心底嫌だった。
「セイ、勲章を授与されることとなるはずだが副賞には金と何かもらえるはずだ」
「く、勲章にございますか」
「ああ、名誉勲章だが受け取れば准男爵になる」
「え…」
「1代限りの名誉貴族だが、貴族にはかわりないな」
「そんな…僕が貴族になるなど…無理です…」
「うむ、我らはそう進言した。特にカリーナとハンスが強く反対しておったしな」
「ハスク様以外にも何かおっしゃってくださった方がおられるのですか?」
「ああ、我が家とは違いホマスそれにグラドスそれぞれが准男爵に賛成を進言した」
「えぇ…そ、それでどうなるのでしょうか…」
「ふっ!王家には幾つか貸しがある押し切ったゆえ安心するがいい」
「ハスク様!!ありがとうございます!!」
俺は勝ち誇った顔をしたハスクにある種尊敬の念すら抱き感謝した。
「ゆえにセイは准男爵ではなく王国錬金術師を授与することになった」
「えぇぇ!?」
「それでハンスが金一封のほかに土地1区画と工房を副賞にと進言しこれも押し通したが問題ないな?」
「錬金術師などしかも国に認められた錬金術師ですございますよね!?荷が重すぎです!」
前の世界でいう研究者と様々な職人が合わさったような職が錬金術師と呼ばれその中でも実績などが認められたトップクラスの人達だけが国にみとめられた王国錬金術師とよばれている。俺は賢人だけでも胃が痛む思いをしているのにこれ以上の肩書は正直耐え切れずキリキリと痛む胃に耐えながらなんとか辞退の言い訳を必死に考えた。
「ちなみにだがセイ」
「な、なんでございますか」
「いつもの我が家からの打診ではなく国からゆえ断れば反逆罪になりかねんぞ?」
「う…わ、わかりました。ありがたくいただきます…」
「うむ、では日程が決まり次第知らせを送る、安心せよ城には私とハンスも同行するゆえ」
「はぁ~…それは心強いです…何から何までありがとうございます…」
===============================
あのあと城で授与式を行い俺は王国錬金術師となってホルマトロ家、ホマス家・グラドス家それに王家のホーネット家が協力してくれ賜った土地の整備や建築物の資材の資金などを提供してくれ父は自分の商会を使い仕入れと人員を確保してくれた。
「どうだ?自分の城の完成だ!」
「こんな広い場所をいただけて嬉しいけど…本当にいいのかなって思うよ」
「あっはっは!もうもらってしまっているんだそんなことを考えてもしょうがない。それよりもここで何をするかを考えた方がずっと楽しいぞ?」
「ははっ…そうだね」
父が笑顔でバンバンと背中をたたきながら言ってきたが思考を切り替えれるのであれば苦労はしていない。
「とりあえず協力して頂いた方々には御礼を言いに行くよ」
「ああ、それがいいな!」
「あとは手伝ってくれた皆には家で料理をつくってあるから持ち帰ってもらってほしい」
「わかった」
俺の言葉に父が嬉しそうに答え建設に手を貸してくれた商会の人々に声をかけ家へと向かっていった。
「さてと…」
俺は工房の中に入って机を前に御礼の品を作ることにした。工房の中には協力してくれた4つの貴族から頂いた高級な各種道具などが置いてあり、隣接する倉庫内には工房では作ったり保管できないサイズのものを作れるようにもなっていた。
======================================
「ご連絡が遅れ申し訳ありませんが、無事に工房ができました。ハスク様はじめホルマトロ家の皆さんのご助力誠に感謝いたします」
「ふっ、セイよ今更そのような硬い挨拶など不要だが無事に完成したようでなによりだ。今後はあそこを自由な発想を形に変える場として有効に使ってくれることを祈っておるよ」
「はい!ありがとうございます!!」
俺の挨拶に柔らかい笑顔を向けたハスクに俺も感謝した。
「失礼いたします!セイちゃん!!」
「失礼します!セイ!!」
「失礼いたします!」
「お父様!セイはまだおられますの!?」
バンと音が聞こえカリーナがものすごい勢いで入ってくると続けざまにハンスとアメリア最後にアンジェリーナが同じように部屋へとなだれ込んできた。
「どうしたというのだ!少し落ち着きなさい!」
「騒がしくして申し訳ありませんですが!セイちゃん!」
「は、はい!」
「この日傘と手袋はなにからできておりますの!」
「セイ!このシャツの素材もだ!」
ものすごい勢いでカリーナとハンスが俺が持ってきた品を差し出し尋ねてきた。
「それは銀糸ですが…」
「それはなんですの?」
「言葉のとおり銀でできた糸で編み込んだものです」
「セイ!金属を糸に変えたのかい!?」
「ガングさんに教えてもらったんです魔銀などはある量の熱と圧を加えると強度を損なわずどこまでも伸ばせると」
「な、なるほど…それで糸状にして編み込んだという事か…」
「細いですから柔軟性が生まれますから布状にできないかなと試行錯誤しました」
「そ、そうか」
「はい、ただものすごく高価だったので褒章の際に頂いたお金で2つだけしかインゴットが買えなかったので皆さんにお納めした品しか作れませんでした」
「で、ではこれは我が家にしかないのかい?」
「シャツは護身用に父に1着手渡してます」
「護身用?」
「はい、元が金属なので刃物で切れたり刺さったりしませんから」
「す、すごいねそれは」
「はい、ですからハスク様とハンス様にお渡ししました。外出する際服の下に来ていただければと思いまして」
「そ、そうか…」
「カリーナ様やアメリア様、そしてアンジェリーナ様にお渡しした品は装飾の刺繍部分に金属糸とすごく小さいですが宝石をいくつか使ってあります」
「まぁ!ですからあのように綺麗に!」
「はい、刺繍は僕にはできないので魔銀と魔金の糸を使い流行りのデザインで刺繍してもらいました」
「そうなのですね!」
「それぞれお三方がお好きな夏の花をモチーフにした日傘も同じ手法です。女性の好みのデザイン等はほんとうに疎くてお気に召していただければ幸いです」
「まぁ!まぁ!まぁ!もう!セイちゃんがおつくりになられたものを気に入らないわけありませんわ!」
「うわっぷ!!」
「お母様!セイが苦しんでおられます!お離しください!!」
「君にお金と設備を与えるとこうなるということが身に染みてわかったよ…ありがとうセイ」
「それにしても流石アンジェちゃんね」
「なにがですの?お姉さま」
「アンジェちゃんがおっしゃったとおりセイちゃんは賢人で錬金術師になりましたわね!」
「そんなこと当然ですわ!セイですもの!」
クスクスと嬉しそうに笑いながら言ったアメリアの言葉に当然だと胸を張ったアンジェリーナを今日もホルマトロ家の面々は生暖かい目で微笑ましくみていた。
「うん!お父さんも皆さんもありがとうございました!」
俺は自分の家の近くの土地1区画分の更地に立った小さな小屋と大き目な倉庫を前に父と商会で働いてる従業員達とともに達成感に浸った。
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「セイよ、学園での件で褒美がでる」
「え!?」
「今回はアンジェだけではなく王女に宰相の娘、近衛騎士団長の娘の4人助けたのだ、褒美は免れんぞ」
ある日公爵家へ呼び出されハスクにそのように言われた。俺はできるだけ目立ちたくないしできればメリダやカリン、マチルダとの接点をこれ以上増やしたくもないので本来なら褒章や褒美は嬉しいのだと思うが俺は心底嫌だった。
「セイ、勲章を授与されることとなるはずだが副賞には金と何かもらえるはずだ」
「く、勲章にございますか」
「ああ、名誉勲章だが受け取れば准男爵になる」
「え…」
「1代限りの名誉貴族だが、貴族にはかわりないな」
「そんな…僕が貴族になるなど…無理です…」
「うむ、我らはそう進言した。特にカリーナとハンスが強く反対しておったしな」
「ハスク様以外にも何かおっしゃってくださった方がおられるのですか?」
「ああ、我が家とは違いホマスそれにグラドスそれぞれが准男爵に賛成を進言した」
「えぇ…そ、それでどうなるのでしょうか…」
「ふっ!王家には幾つか貸しがある押し切ったゆえ安心するがいい」
「ハスク様!!ありがとうございます!!」
俺は勝ち誇った顔をしたハスクにある種尊敬の念すら抱き感謝した。
「ゆえにセイは准男爵ではなく王国錬金術師を授与することになった」
「えぇぇ!?」
「それでハンスが金一封のほかに土地1区画と工房を副賞にと進言しこれも押し通したが問題ないな?」
「錬金術師などしかも国に認められた錬金術師ですございますよね!?荷が重すぎです!」
前の世界でいう研究者と様々な職人が合わさったような職が錬金術師と呼ばれその中でも実績などが認められたトップクラスの人達だけが国にみとめられた王国錬金術師とよばれている。俺は賢人だけでも胃が痛む思いをしているのにこれ以上の肩書は正直耐え切れずキリキリと痛む胃に耐えながらなんとか辞退の言い訳を必死に考えた。
「ちなみにだがセイ」
「な、なんでございますか」
「いつもの我が家からの打診ではなく国からゆえ断れば反逆罪になりかねんぞ?」
「う…わ、わかりました。ありがたくいただきます…」
「うむ、では日程が決まり次第知らせを送る、安心せよ城には私とハンスも同行するゆえ」
「はぁ~…それは心強いです…何から何までありがとうございます…」
===============================
あのあと城で授与式を行い俺は王国錬金術師となってホルマトロ家、ホマス家・グラドス家それに王家のホーネット家が協力してくれ賜った土地の整備や建築物の資材の資金などを提供してくれ父は自分の商会を使い仕入れと人員を確保してくれた。
「どうだ?自分の城の完成だ!」
「こんな広い場所をいただけて嬉しいけど…本当にいいのかなって思うよ」
「あっはっは!もうもらってしまっているんだそんなことを考えてもしょうがない。それよりもここで何をするかを考えた方がずっと楽しいぞ?」
「ははっ…そうだね」
父が笑顔でバンバンと背中をたたきながら言ってきたが思考を切り替えれるのであれば苦労はしていない。
「とりあえず協力して頂いた方々には御礼を言いに行くよ」
「ああ、それがいいな!」
「あとは手伝ってくれた皆には家で料理をつくってあるから持ち帰ってもらってほしい」
「わかった」
俺の言葉に父が嬉しそうに答え建設に手を貸してくれた商会の人々に声をかけ家へと向かっていった。
「さてと…」
俺は工房の中に入って机を前に御礼の品を作ることにした。工房の中には協力してくれた4つの貴族から頂いた高級な各種道具などが置いてあり、隣接する倉庫内には工房では作ったり保管できないサイズのものを作れるようにもなっていた。
======================================
「ご連絡が遅れ申し訳ありませんが、無事に工房ができました。ハスク様はじめホルマトロ家の皆さんのご助力誠に感謝いたします」
「ふっ、セイよ今更そのような硬い挨拶など不要だが無事に完成したようでなによりだ。今後はあそこを自由な発想を形に変える場として有効に使ってくれることを祈っておるよ」
「はい!ありがとうございます!!」
俺の挨拶に柔らかい笑顔を向けたハスクに俺も感謝した。
「失礼いたします!セイちゃん!!」
「失礼します!セイ!!」
「失礼いたします!」
「お父様!セイはまだおられますの!?」
バンと音が聞こえカリーナがものすごい勢いで入ってくると続けざまにハンスとアメリア最後にアンジェリーナが同じように部屋へとなだれ込んできた。
「どうしたというのだ!少し落ち着きなさい!」
「騒がしくして申し訳ありませんですが!セイちゃん!」
「は、はい!」
「この日傘と手袋はなにからできておりますの!」
「セイ!このシャツの素材もだ!」
ものすごい勢いでカリーナとハンスが俺が持ってきた品を差し出し尋ねてきた。
「それは銀糸ですが…」
「それはなんですの?」
「言葉のとおり銀でできた糸で編み込んだものです」
「セイ!金属を糸に変えたのかい!?」
「ガングさんに教えてもらったんです魔銀などはある量の熱と圧を加えると強度を損なわずどこまでも伸ばせると」
「な、なるほど…それで糸状にして編み込んだという事か…」
「細いですから柔軟性が生まれますから布状にできないかなと試行錯誤しました」
「そ、そうか」
「はい、ただものすごく高価だったので褒章の際に頂いたお金で2つだけしかインゴットが買えなかったので皆さんにお納めした品しか作れませんでした」
「で、ではこれは我が家にしかないのかい?」
「シャツは護身用に父に1着手渡してます」
「護身用?」
「はい、元が金属なので刃物で切れたり刺さったりしませんから」
「す、すごいねそれは」
「はい、ですからハスク様とハンス様にお渡ししました。外出する際服の下に来ていただければと思いまして」
「そ、そうか…」
「カリーナ様やアメリア様、そしてアンジェリーナ様にお渡しした品は装飾の刺繍部分に金属糸とすごく小さいですが宝石をいくつか使ってあります」
「まぁ!ですからあのように綺麗に!」
「はい、刺繍は僕にはできないので魔銀と魔金の糸を使い流行りのデザインで刺繍してもらいました」
「そうなのですね!」
「それぞれお三方がお好きな夏の花をモチーフにした日傘も同じ手法です。女性の好みのデザイン等はほんとうに疎くてお気に召していただければ幸いです」
「まぁ!まぁ!まぁ!もう!セイちゃんがおつくりになられたものを気に入らないわけありませんわ!」
「うわっぷ!!」
「お母様!セイが苦しんでおられます!お離しください!!」
「君にお金と設備を与えるとこうなるということが身に染みてわかったよ…ありがとうセイ」
「それにしても流石アンジェちゃんね」
「なにがですの?お姉さま」
「アンジェちゃんがおっしゃったとおりセイちゃんは賢人で錬金術師になりましたわね!」
「そんなこと当然ですわ!セイですもの!」
クスクスと嬉しそうに笑いながら言ったアメリアの言葉に当然だと胸を張ったアンジェリーナを今日もホルマトロ家の面々は生暖かい目で微笑ましくみていた。
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